君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

幻想的な霞の町 ~雨が降った陸前高田にて

f:id:katayoku_no_hito:20200305235502j:plain

霞がかった陸前高田市街を行く大船渡線BRT。奇跡の一本松駅付近から撮影

雨の日は、陸前高田に行きたくなるのです。

気仙沼線BRT・大船渡線BRTが走る三陸沿岸では、海岸線が基本的に南北方向で、東に向かって開けた町が多いのですが、その中でも陸前高田市は南の広田湾に向かって開けているせいか、気候が他の場所とは少し違うように感じます(気のせいかもしれません)。

特徴的なのは、雨が降ると、山に霞がかかって幻想的な風景になることです。同じような風景は気仙沼駅付近などでも見られるのですが、平地が広く開けている分、よりダイナミックな景観として見ることができます。

これまではあまりちゃんと撮っていなかったのですが、2月に訪問した際、その霞の町の風景をがっつり楽しんでみることにしました。

奇跡の一本松駅付近で

朝に東京を出ると、陸前高田に着くのは昼前。朝から雨が降っていたようですが、到着した時にはやんでくれていて、そして山がもわもわっと霞がかっていました。

雨の中の撮影も覚悟していたのですが、期待以上のコンディションです。

大船渡線BRTの奇跡の一本松駅で下車。道の駅高田松原で昼食をいただいた後、少し東側の川原川付近から撮影してみることにしました。

なお、今回は写真の数がかなり多くなるので、適当に流し見していただければと思います。

f:id:katayoku_no_hito:20200305000323j:plain

まずは市街地方面を撮影。BRTを入れて撮るのが主目的ではあるのですが、靄の形は刻一刻と変わっていくので、BRTにこだわらず、いいと思ったところでどんどん撮っていきます。

奥に見えるのは、陸前高田を囲む400~500mの山並みの中でも最高峰となる、標高874mの氷上山です。

f:id:katayoku_no_hito:20200305235601j:plain

東側、米崎方面を撮影。山の斜面にかかる靄がとてもいい感じです。

右下のマンションらしき建物は、震災遺構となった下宿(しもじゅく)定住促進住宅です。

f:id:katayoku_no_hito:20200305000944j:plain

再建中の球場。陸前高田市楽天野球団のパートナーシップ協定に基づき、「楽天イーグルス奇跡の一本松球場」と名付けられるそうです。将来、ここでプロ野球の公式戦が行われることもあるのでしょうか。

最速163km/hで知られる千葉ロッテマリーンズの佐々木投手は陸前高田出身。ここで投球することになれば盛り上がりそうですね。

f:id:katayoku_no_hito:20200305001427j:plain

再び東側を撮影。幻想的な山の風景と、復興が進む町の対比がいいなあと思います。

f:id:katayoku_no_hito:20200305001554j:plain

また中心市街地方面。左下の建物は再建された市民文化会館「奇跡の一本松ホール」。4月オープン予定とのことです。

f:id:katayoku_no_hito:20200305001824j:plain

再び東方向。今度は海岸沿いの池を入れて撮影してみました。

f:id:katayoku_no_hito:20200305001918j:plain

盛行きのBRT。先ほど紹介した、奇跡の一本松球場の隣を通り過ぎるところで撮影。靄の形がイマイチな感じはしますが、なかなか両立は困難です。

f:id:katayoku_no_hito:20200305002047j:plain

このバスが川原川を渡り、中心部へ入っていくところで撮影。

f:id:katayoku_no_hito:20200305235502j:plain

そして、同じバスが陸前高田駅で折り返し、東へ向かうところで撮影。高台へ続く町の奥行き感が素敵だと思います。

普通なら、ブルーシートがちょっと目立つと言いたくなるところなのですが、この辺はどこをどう切っても復興工事を切り離すのは無理です。仕方ないとか必要悪とかいう話ではなく、「復興に向かう町」というのが、この場所の最大の特長なのです。それを無理に切るぐらいなら、ここで撮る意味はないと思っています。

復興に向かう風景は「隠すべき部分」ではなく、東日本大震災も含めた歴史の上にある、今の町の姿なのです。

f:id:katayoku_no_hito:20200305003002j:plain

今度は気仙沼に向かう便を撮影。市民文化会館と一緒に撮ろうと思ったのですが、この場所だとちょっと嵩上げした土地に隠れてしまいますね。

それよりも、ダイナミックな霞の形が見事な瞬間だと思います。

f:id:katayoku_no_hito:20200305003211j:plain

上のバスが奇跡の一本松駅に向かってくるところを撮影。

f:id:katayoku_no_hito:20200305003322j:plain

少し西側に移って、陸前高田駅と、その向こうに見える複合商業施設「アバッセたかた」を撮影。霞の表情はいいのだけど、真ん中の電線が……

撮影場所の付近も工事中で、もう少し前で撮影できれば電線を入れないで済むのですが、今のところは我慢するしかありません。

陸前今泉駅を見に行くついでに

a-train.hateblo.jp

上記の記事で紹介した、3月14日に開業する陸前今泉駅の様子を見に行くついでに、いろいろと撮影しました。

f:id:katayoku_no_hito:20200305003932j:plain

奇跡の一本松と、震災遺構の旧ユースホステル。復興祈念公園の一部として整備が進められています。

f:id:katayoku_no_hito:20200305004031j:plain

同じく震災遺構の旧気仙中学校。河口近くの川沿いに立地していたら、大津波が来たらひとたまりもありません。

震災の少し前に赴任した校長は、まず津波の際の避難場所を確認。震災の時には、所定の避難場所であった遠くの小学校ではなく、写真の左奥に見える近くの高台に生徒を避難させ、難を逃れたそうです。この話は復興祈念公園にある東日本大震災津波伝承館「いわてTSUNAMIメモリアル」で紹介されています。

f:id:katayoku_no_hito:20200305004510j:plain

今泉地区の気仙川沿い。この辺は農地として利用されるそうで、そのための整備が進んでいます。

f:id:katayoku_no_hito:20200305235902j:plain

いくつも重機が顔を覗かせていますが、ワタミが開設する農業テーマパーク「ワタミオーガニックランド」も絶賛工事中。2021年3月オープン予定とのことです。

f:id:katayoku_no_hito:20200305004653j:plain

復興祈念公園の目の前にある東亜リースの高田営業所。いつ見ても、重機が密集する光景には圧倒されます。この場所が陸前高田の復興を支えている、そういった力強さを感じます。

f:id:katayoku_no_hito:20200305005025j:plain

復興祈念公園内に「道の駅高田松原」が再興されるまで、同じ機能を担っていた「一本松茶屋」の跡地。

2019年5月に訪問した下記の記事の中では、一本松茶屋が現役だった頃の様子を紹介していますが、もうほとんど跡形もなくなってしまいました。

a-train.hateblo.jp

f:id:katayoku_no_hito:20200222141626j:plain

奇跡の一本松と、気仙沼行きのBRT。

もう少し前なら奥の山並みがもっと出ていたのですが、靄に隠れてしまいました。

さて、この後は小友駅へ移動して、また別の風景を探してみます。

小友駅へ

f:id:katayoku_no_hito:20200305005947j:plain

小友駅近くにある、木立に囲まれてぽつんと佇む祠。雰囲気がよかったのでついスナップしてしまいました。

f:id:katayoku_no_hito:20200305010113j:plain

小友駅から西側、「アップルロード」と呼ばれる街道付近へ向かいます。

f:id:katayoku_no_hito:20200305010205j:plain

気仙沼行きのBRT。ちょっと靄がスカスカ気味です。

f:id:katayoku_no_hito:20200305010328j:plain

f:id:katayoku_no_hito:20200305010442j:plain

f:id:katayoku_no_hito:20200305010741j:plain

続いてやってきた盛行きのBRTを、専用道に入るために折り返して進むのを利用して3か所で撮影。

霞の表情としてはイマイチなのがもどかしいところです。靄はどんどん流れていくので仕方ありません。

f:id:katayoku_no_hito:20200305010809j:plain

続いてもう一本やってきた盛行き。左下の集落のところに赤いバスがいるのがわかりますでしょうか。

f:id:katayoku_no_hito:20200305010904j:plain

f:id:katayoku_no_hito:20200305010926j:plain

これも続いて2か所で撮影。

上の便と同じような感じで撮っているのですが、靄の模様に合わせて、いい感じで切り取れるように微妙に調整しています。さっきよりは、山に流れる靄に表情が出ているのではないでしょうか。

f:id:katayoku_no_hito:20200305011256j:plain

今まで撮影していたよりさらに西側を向いて撮影。

山の間に靄が流れ込むことで立体感が強調されています。

f:id:katayoku_no_hito:20200305011454j:plain

次の気仙沼行きに乗るため小友駅へ。天候は回復基調で、時折日が照るようになってきました。

f:id:katayoku_no_hito:20200305011555j:plain

小友駅の北側に標高447mの箱根山があります。これは、山の形が比較的くっきり出ているカット。

f:id:katayoku_no_hito:20200305011907j:plain

碁石海岸口からやってきた気仙沼行きBRT。これに乗って、夕食をとるために陸前高田駅へ戻ります。

陸前高田駅へ、そして日は暮れて

f:id:katayoku_no_hito:20200305012001j:plain

陸前高田駅に戻ると17時過ぎ。夕暮れの空がちらっと覗いていました。

f:id:katayoku_no_hito:20200305012112j:plain

アバッセたかたの全景。岩手県気仙沼市に展開するスーパー「MAIYA」を中心に、様々な店舗が集まっています。

f:id:katayoku_no_hito:20200305012322j:plain

陸前高田駅から撮影した、復興祈念公園のエントランスとなる建物。

この建物や震災遺構などを含む公園全体は「高田松原津波復興祈念公園」で、この建物の中には「道の駅高田松原」と、上で紹介した「いわてTSUNAMIメモリアル」があるのですが、この建物全体としての名称がないので実は呼び方にちょっと困っています。

なお、屋根の上に6つ突き出ているのは、さらに奥にある気仙川の水門の構造物です。一番右側のところに奇跡の一本松の幹がかかっているのですが、枝葉の部分が背景に溶け込んでしまってさっぱりわからないですね。

f:id:katayoku_no_hito:20200305012820j:plain

アバッセたかたの隣にある市民文化会館。手前は芝生広場になるようです。

f:id:katayoku_no_hito:20200305012903j:plain

夕食は付近の「鶴亀鮨」さんでネギトロいくら丼。ネタがいいのでしょう、醤油なしでいただいても充分美味しい丼でした。

 

刻々と変わりゆく霞の町の風景を、たっぷりと堪能できた一日でした。

曇りや雨というと気分が乗らない場合もありますが、そんな日こそ山の表情が面白い陸前高田

三陸と言えば何といっても海の風景が代表的な景観ですが、それ以外の風景に目を向けてみても楽しいと思います。