君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

実りのBRT沿線を訪ねる (5)陸前矢作駅・竹駒駅・陸前高田駅・脇ノ沢駅

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陸前高田市の米崎町内(脇ノ沢~西下間)を走る大船渡線BRT

気仙沼線BRT・大船渡線BRTの稲刈り前の風景を訪ねた記録をお届けしています。

9月下旬の4連休の2日目、朝は大船渡魚市場駅で市場が動いていることを期待したものの予想が外れ、その後小友駅、陸前高田駅を訪ねました。

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陸前高田駅前で昼食をとった後は、さらに沿線を訪ねます。

廃線処理が進む陸前矢作

まずは、陸前矢作行きのバスに乗って終点へ。折り返しの8分間で、以前は鉄道施設が残っていた駅の様子を見てきました。

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陸前矢作駅の鉄道駅舎とホーム(2020年3月撮影)

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上鹿折方面への線路(2019年10月撮影)

今年(2020年)4月1日で大船渡線気仙沼~盛間は気仙沼線の柳津~気仙沼間とともに廃線に。BRTは鉄道代行ではなく、純粋なバス路線となりました。

その後、各地に残されていた鉄道施設が次々撤去されているという話は聞いていました。

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駅舎があった場所。すっかり撤去され、電話ボックスのみが往時の姿をとどめている、といった状態です。

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次第に朽ちつつも残されていたホームは、駅名標や待合室、コンクリート部分が取り払われ、内部の盛り土のみに。

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上鹿折駅へ続く線路は、線路が取り払われ、踏切や信号機などが空しく残った状態でした。これもいずれは撤去されるのでしょう。

廃線はBRTでの本復旧が決まった時点で確定していた将来であり、あとは手続きだけの問題でした。

遺構を残そうと思うなら、地元が望めば(そしてしかるべき費用を出せば)残せたのでしょうが、地元がそれを選択しなかったということを我々は受け入れるよりありません。

改めての感慨があるわけではありませんが、こうして変化を見守っていくことも、今の自分がなすべきことの1つではあるのでしょう。

竹駒駅付近、落橋した気仙川にて

折り返しの陸前高田行きに乗り、竹駒駅へ。

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この付近も田園が広がっているので、どこかでいい感じで撮れる場所がないか探してみたかったのです。

ただ、以前はなかった目立つ建物が建っていたり、すでに刈り取りが始まっていたり、次のバスが来るまでの時間的な制約があったりして、田園風景としては撮る場所が見つかりませんでした。

陸前矢作方面に進むと、途中で気仙川を渡ります。

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大船渡線が走っていた気仙川の橋梁。岩手県の治水対策が進んでいない影響で、落橋したまま残されており、BRTはこの前後だけ一般道に迂回しています。

左上の白い建物をバックに、BRTのバスと竹駒駅がチラッと見えていますが、さすがに無理やり感は否めないですね。

それにしても、海とは無縁なこの場所にまで大津波が遡上してきたことを物語る、貴重な遺構だと思います。

仮に将来、ここに専用道を通すとしても、この遺構は何らかの形で残してはどうかと思ってしまいます。

晴れた陸前高田駅で

陸前高田駅に戻って、盛行きに乗り換え。少し時間があるので、また駅の隣の「まちの縁側」のテラスに行ってみました。

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盛行きの便が奇跡の一本松駅から向かってきました。

午前中にも同じような構図で撮ったのですが(前の記事参照)、その時は曇りだったのに対し、午後から晴れてきたので全然印象が違いますね。

さて、向かったのはこれまでほとんどスルーしていた脇ノ沢駅になります。

脇ノ沢駅からリンゴ育つ高台へ

大船渡線BRTは、脇ノ沢駅や西下駅の付近で、「アップルロード」と呼ばれる主要道を通ります。

この道路は山裾の高台側を通るので、場所によっては海沿いの風景や広田湾を見下ろす眺望がちらちらっと見えたりするのです。

これをなんとか俯瞰で撮れる場所がないかとずっと思っていたのですが、Googleストリートビューで調べてみるとよさげな場所が見つかったので、訪ねてみることにしました。

脇ノ沢駅の東側から、さらに山の方へ上っていきます。

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道の両側に広がるのはリンゴの果樹園。陸前高田ではブドウやリンゴの栽培がおこなわれていて、マスカットサイダーは地元の名産品だし、大船渡のJAでは陸前高田産リンゴ100%ジュースも作っていますが、リンゴが栽培されているところを見るのは初めてでした。

「アップルロード」という名前も、由来は検索してもよくわかりませんでしたが、きっとこれが由来なのでしょう。

登っていった先、目指していた地点近くには、立山観音堂というお堂がありました。

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調べてみると、今の場所よりも低地にあった観音堂で、津波で流失した後にこの場所に再建されたそうです。

この観音堂付近からはアップルロードや海沿いの低地の風景、そして広田湾や唐桑半島まで見渡すことができます。

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上の写真でバスの真上、広田湾の対岸に入り江らしき地形が見えますが、たぶんあの場所が気仙沼市の大沢地区、BRTでいえば唐桑大沢駅の付近になるのではないかと思います。

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リアス海岸らしい入り組んだ地形や、のどかな農村の風景が郷愁を誘います。このあたりは海沿いの平地が少なく、津波で被災した場所はまだしも広くはなかったようです。

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こちらは、旧脇ノ沢駅の方向に向かって広がる水田や果樹園の一帯。

陸前高田の風景としてお薦めしたい、期待していた以上に素敵な景色に出会うことができました。

3日目・4日目へと続きます。

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