君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

甲信越「週末パス」の旅 (10)2つの顔を持つえちごトキめき鉄道

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えちごトキめき鉄道の「日本海ひすいライン」を走行するET122形気動車

JR東日本関東甲信越南東北を中心としたエリアのフリーきっぷ「週末パス」で2日間、甲信越地方を巡ってきたのでその記録を綴っています。

前回は「週末パス」のエリアから外れ、大糸線南小谷駅から糸魚川まで来ました。

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今回は、北陸新幹線の長野~金沢間開業に伴って誕生した第三セクター鉄道のうちの1つ、えちごトキめき鉄道(以下「ETR」と記載します)の「日本海ひすいライン」の一部に乗車します。

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これまでの行程の概要は上の図をご覧ください。

ETRは、「妙高はねうまライン」の妙高高原直江津間、「日本海ひすいライン」の直江津糸魚川~市振(いちぶり)間の2路線があり、妙高はねうまライン」は週末パスが使えますが、「日本海ひすいライン」は使えません

そのため、糸魚川からは直江津までの切符を買っていきます。

糸魚川から直江津

糸魚川駅に乗り入れる北陸新幹線大糸線JR西日本の管轄ですが、かつて北陸本線だった部分が今ではETRの管轄です。

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大糸線の列車で糸魚川駅に到着した数分後、あいの風とやま鉄道の泊駅まで乗り入れる13:03発の下り列車が発車していきました。

ETRとあいの風とやま鉄道の境界は市振駅ですが、これは県境で機械的に切っただけで、市振駅で折り返す列車は1本もありません。

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貨物列車が通過。ETRの日本海ひすいラインは、貨物輸送の観点からは敦賀から青森まで貫く日本海縦貫線の重要な一部です。

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糸魚川駅や付近を少し見て回った後(前回の記事をご覧ください)、13:22発の直江津行きに乗車します。日本海ということで、波をモチーフにしたデザインの車両です。

泊からやってきた列車はそれなりに乗車率が高く、転換クロスシート主体の車内は窓側が埋まっていました。

この車両は外観もそうですが、車内の転換クロスシートなども、JR西日本の223系の血統を色濃く受け継いでいます。

糸魚川駅から西側は交流電化されていますが、このすぐ東側で直流に切り替わります。そのため、この区間を電車で走行するためには交流・直流に対応した交直流車両が必要になるのですが、両方式に対応するための車両は高価で、また構造上最短でも2両編成にせざるを得ません。そのため、経営基盤の弱いETRとしては導入が難しく、JR西日本姫新線で運用されている最新型のキハ122形をベースにした気動車を導入しています。

その乗り心地はさすが最新型で、大糸線で乗ってきたキハ120形とは全然違います。今では「気動車=乗り心地が悪い」という固定観念も古いかもしれませんが、それでも電車と勘違いするような快適さでした。

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車内が結構混んでいたので写真はあまりありませんが、車窓に日本海が見えてきた時にはちょっとワクワクしました。

とはいえ、日本海ひすいラインはトンネルの区間が多く、たまに地上に顔を出しては駅があり、またすぐにトンネルに潜るという感じです。

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海岸沿いにある有間川駅では、フェンスに鉢植えが飾られていました。

この駅を見下ろす場所で列車を撮るのもいいかなと思っていたのですが、別の予定を優先したので見送りになってしまいました。

下記のページで、有間川駅や周辺の見どころが紹介されています。

www.echigo-tokimeki.co.jp

また、この区間にある筒石駅はトンネル内の駅として有名なのですが、乗り通すだけだとそこまで感慨もなく……これも下車して、外に出てみて初めてその価値がわかるのかもしれません。

直江津駅にて

40分ほどで直江津駅に到着。

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ここからさらに乗り換えになりますが、20分ちょっと時間があるのでここでも駅や周辺を見てみることにします。

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横に4本並んだ列車。手前から、ETR日本海ひすいライン、JR信越本線、ETR妙高はねうまライン、一番奥が北越急行ほくほく線の列車です。

どれも1~2両の編成。この下車したホームには、かつては越後湯沢と金沢方面を結ぶ特急はくたかが発着し、6両や9両という長編成で運転していました。

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直江津駅に来たのは上の記事で書いた2014年以来5年ぶりですが、なんというか隔世の感のようなものを感じてしまいました。

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ホームに飾られた「トキテツくん」のドットアート。

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近寄ってみると、色とりどりのペットボトルのキャップをうまく利用した作品でした。

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直江津駅の入口。ETRの2つの路線が接続する扇の要であり、その本社もこの駅にあります。

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駅前通りの様子。昔ながらの店なども見られる、味わいを感じる通りです。

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一方で、駅前広場や南北の自由通路は港町の拠点駅として、港や船をイメージした感じのデザインになっていました。

ETRのもう1つの顔、妙高はねうまラインを走る車両も、ここではたくさん見ることができます。

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こちらはJR東日本E127系(新潟地区で運用されていた0番台)を譲受したもの。211系や719系などの流れをくむ前面の形状で、元JR西日本だった日本海ひすいラインとの違いがはっきりとわかります。

路線によって性格が違う鉄道、というのは多々あって、例えば物理的に離れているのが東武鉄道伊勢崎線系と東上線系、走行エリアの違いでいえば南海電鉄南海線高野線、近くでいえばお隣の第三セクター鉄道であるしなの鉄道しなの鉄道線篠ノ井~軽井沢)と北しなの線もそうした面があります。

それでも、ETRの妙高はねうまライン日本海ひすいラインのように、動力が違う(電車/気動車)、走行エリアが違う(山間部/海岸沿い)、協力関係を持つ鉄道会社が違う(JR東日本しなの鉄道JR西日本・あいの風とやま鉄道)、フリーきっぷの適用エリアも分断される、などなど、何から何まで異なる路線というのもそうそうないように思います。

大きな需要を持つエリアを通らず、経営基盤が弱い中でそうした分断を抱えるのはいろいろな苦労がありそうですが、一方で、開業時に運賃値上げをせず、初期の段階でさっそく観光列車「雪月花」を導入するなど、与えられた環境の中でできることをやってきている鉄道でもあります。

どのように切り盛りしていくのか、個人的に特に注目したい鉄道の1つです。

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改札前で駅弁の販売があったので、おすすめを聞いてみたらこの「鱈めし」だというので購入してみました。食レポは次回にします。

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次は最終回。北越急行ほくほく線に乗車した後、上越新幹線で帰路に着きます。

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この旅行記の一覧を下記にまとめましたので、気になったところを読みたい方はこちらをご参照ください。

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