JR東日本の関東甲信越・南東北を中心としたエリアのフリーきっぷ「週末パス」で2日間、甲信越地方を巡ってきたのでその記録を綴っています。
新宿から、中央線・小海線と巡って小諸へ。そして前回はしなの鉄道の小諸~篠ノ井間について書きました。
今回はその途中、上田から往復で乗車した上田電鉄になります。
上田電鉄は、上田駅から別所温泉を結ぶ11.6kmの「別所線」を運行しており、朝は上田駅付近で約20分間隔、日中以降は30分~50分間隔で運転しています。
地方都市と町はずれの温泉地を結ぶという意味では、福島駅から飯坂温泉を結ぶ福島交通飯坂線と似ているかもしれません。
片道590円、往復で1,180円かかるので、こういう鉄道も「週末パス」で乗れてしまうのは嬉しいですね。
起点の上田駅はあの方のデザイン
その起点は、北陸新幹線・しなの鉄道と接続する上田駅になります。
JRの北陸新幹線の駅看板はこの左側にありました。
戦国時代の真田家の本拠地で、その家紋である六文銭のデザインが用いられています。
上田電鉄の駅入り口にはこのような暖簾とロゴタイプが。パッと見ただけで水戸岡鋭治氏のデザインだとすぐにわかりますね。
しなの鉄道も含めて、主要な案内表示は同じような暖簾になっていました。
いわゆる「水戸岡デザイン」は、JR九州での実績をテンプレート化し、JR九州の社長の承諾のもと、他の地方鉄道の活性化のために安価で展開しているとされるもの。
全国の鉄道情報を追いかけている鉄道ファン的には、「また水戸岡か!」という感じもあるかもしれませんが、そうではない利用者や観光客にとっては、利用する車両や駅が洒落た感じでデザインされているというのは魅力的で、愛着を持てる要素になります。
その取り組みを評価こそすれ、批判する理由など全くありません。
もしワンパターンさを気にするとしたら、水戸岡氏や各クライアントの問題ではなく、地方鉄道のために仕事ができる工業デザイナーが他に出てこないという、構造的な人材不足を嘆くべきでしょう。
駅のすぐ手前で千曲川を渡り、高架線に駆け上ってやってきた上田電鉄の列車。現在運行されているのはすべて東急からの譲渡車です。
ホームは1面1線のシンプルな構造。
このベンチの感じ、特に反り返った背もたれの形状も水戸岡流ですね。
列車は15:41発。その間、15:36着のあさま622号が長野からやってきていました。
列車が発車すると、しばらくは住宅地の合間を進みますが、終点の3駅手前の中野駅あたりからは、広大な田園地帯が広がります。
そして、28分で終点の別所温泉駅に到着です。
とても味がある別所温泉駅
行程上、来た列車で5分後には折り返さないといけないので、ささっと別所温泉駅を見て回ります。
木製の柱と、「海抜約五百五十米」と表示した木板。普通、こういう表示はメートル単位で書くものですが、「約」という10m単位の表示のゆるさが絶妙です。
駅舎も含めた全景。ホームの上屋の上に掲げられた駅名、「当時なりのモダン感を追求した」という感じの駅舎、どれも興味深く、もっとじっくり見ていたいと思いました。
駅の敷地の外れにさりげなく展示されていた旧型車。これも時間を取って見てみたかったです。
乗車した車両に枠をはめ込んだ丸窓があって、これは六文銭に因んだのかなと思っていたのですが、旧型車に丸窓があって、それに因んだものだったようです。
さて、帰りの列車では、途中の大学前駅から多くの乗車がありました。その多くは親子連れで、子供の方は高校生のような感じ。
きっとどこかのオープンキャンパスの帰りなんだろうと思っていたら、ドンピシャで最寄りの長野大学でオープンキャンパスが開催されていました。
長野大学の隣には上田女子短大もあり、結構学生さんの利用も多い路線なのかもしれません。
そのまま上田駅に到着し、多くの乗客は新幹線の方へ向かっていきました。
中野からの田園地帯の風景や、味のある別所温泉駅、その先にあるまだ見ぬ別所温泉郷など、さっと乗って終わりにするには惜しく、また機会を見つけて乗ってみたいと思える鉄道でした。
この旅行記の一覧を下記にまとめましたので、気になったところを読みたい方はこちらをご参照ください。