JR東日本の関東甲信越・南東北を中心としたエリアのフリーきっぷ「週末パス」で2日間、甲信越地方を巡ってきたのでその記録を綴っています。
1日目は新宿から中央線・小海線・しなの鉄道・上田電鉄・篠ノ井線と巡り、姨捨の夜景を眺めて松本まで来ました。
2日目はまず、松本から西へ向かう、アルピコ交通の松本電鉄上高地線を往復します。
これも「週末パス」で乗れてしまいます。
松本の朝
ホテルから見上げた空は清々しく、涼しい朝でした。松本は高地なので東京よりも涼しいということもあるのでしょうが、それでも少し前まではとても暑かったそうです。
長野らしい街の特徴として、四方を山脈に囲まれ、どこを向いても背後に山脈がそびえているということがあります。まったく山が見えない東京都心や、六甲・生駒・金剛のそれほど高くはない山並みが取り囲む大阪とは全然違う景色です。
松本駅そのものはJRが主体の駅なので、いろいろ撮った写真の紹介は次の記事に譲るとして、松本電鉄の乗り場に行きます。
実は駅構内の構造を把握していなくて、確か、JRと同じ改札内だった気がしたのですが……。
改札口の上部、一面に並ぶJR線の発車案内。これを一目見て、「松本電鉄はここじゃないな」と思い込み、彷徨うこと数分。改札口に戻ってきてよく見たら、右側に小さく、松本電鉄の発車案内があることに気づきました。
大糸線と同じホームになります。
その対面に、松本電鉄の列車が到着。朝の松本行きということで、学生さんや親子連れなど、多くの人が降車してきていました。
逆に、乗り込む人はとても少なかったです。上高地に行く人とか多いんじゃないかな?と思ったのですが、そういう人はもっと朝早くから出かけたり、前日(土曜日)から行ったりするんでしょうか。
白をベースに、アルピコ交通のシンボルである鮮やかな5色のストライプが印象的です。
元京王井の頭線の車両。こういった譲受車は元の味を活かして使う鉄道も多く、そこに懐かしさを覚える人も多いと思いますが、個人的にはその鉄道なりのデザインを施して、元のイメージを覆すぐらいの方が好きです。そういうこともあって、このデザインはかなり気に入りました。
逆光ですが反対側から。
あまり乗客がいない中を、新島々へ向けて発車しました。
松本から新島々へ
終点の「新島々」(しんしましま)というのは変わった駅名ですが、この地方では集落のことを「島」と呼んでおり、それがいくつか散在していることから「島々」と呼ぶようになったそうです。
かつては新島々駅の先に島々駅があったのですが、土砂崩れによって廃止に追い込まれたようです。
列車は、郊外の住宅地や田園の中を走り抜けていきます。
車内には、登山客向けの中吊りが多く掲出されていました。
背後に見える造花の装飾も車内を明るく彩っていました。
こちらは外国人旅行客向けの英語主体の案内掲示。
なぜかセピア調なのですが、その中で中央のキーホルダー(後述する路線キャラクター)だけがカラーで映えるという趣向のようです。
車内はロングシートですが、空いていたので向かいの窓から沿線風景がよく見えました。
北新・松本大学前駅。目の前に竹林があったので、ホワイトバランスをいじって涼しげなイメージで。
森口駅。白壁と格子状の扉が、なんとなく障子のように見えます。木造の駅舎も相まってとても味わいを感じる、降りてみたくなる駅。奥に見える鮮やかな草むらもポイントですね。
列車交換があった波田駅。
狭い島式ホームには松本行きの列車を待つ人が多く、対向列車の写真を撮るどころではなかったので、やけくそ気味にミラーに映る列車の顔を撮りました。
波田~渕東(えんどう)間の田園風景。
そうして、30分ちょっとで終点の新島々に到着しました。
新島々駅にて
新島々駅に到着した列車。
前日、上田電鉄では終点の別所温泉ですぐに折り返さざるを得なかったのですが、ここでは乗ってきた編成がそのまま折り返すのではなく、次の列車がやってきて折り返すダイヤになっています。
そのため、30分ほど時間があるので駅前を中心に見て回りました。
改札を出ると目の前はバスターミナルです。
普通なら「新島々駅」と書かれていそうなところに、「新島々バスターミナル」と掲示されているのがこの駅の特徴をよく表現している感じです。
駅前の駐車場には、列車と同じアルピコカラーをまとったバスが集まっています。
このバスターミナルは、ここを起点に上高地・乗鞍高原へ向かうバスの他、松本から高山・穂高方面に向かうバスも停車するようで、長野側の玄関口と言えそうです。
こちらは街道に面した鉄道駅としての入口。ログハウス風の外観がそれらしい雰囲気です。中に待合室や自販機・トイレなどがあり、その先が改札に通じています。待合室には、誰でも作品を掲出できるギャラリーがあり、この日は八王子在住の方の、JR中央線を中心とした絵が掲示されていました。
陽の光が当たる方向から、停車している列車を撮影。
白い車体に青空と緑が映えます。
かつては島々駅まで通じていた線路。今では留置線として使用しているそうです。
瓦屋根の堂々とした家屋。
街道沿いのなまこ壁の旅館。
ここは野辺山や軽井沢のような欧風な高原風景とは違い、日本の情緒が色濃く残る駅でした。
次の列車にラッピングされていた乗務員キャラクター。渕東駅と渚駅から取って「渕東なぎさ」だそうで、ネーミングといいキャラクターといい、鉄道むすめのキャラクターだと思いこんでいたらそうではなく、自社オリジナルのキャラなんだそうです。
帰りの列車の自動放送は、車内アナウンスとしては異様にテンションが高い、アニメの女子高生キャラっぽい口調でした。たぶん、このキャラクターがアナウンスをしている設定なのでしょう。
明るい車両と、味のある沿線風景、そして日本的な情緒の残る終着駅。
ここもまた、再び訪れたくなった鉄道でした。
まあ、そのうち上高地や、日本最高地点のバス停「2718m」には行きたいと思っているので、その時に利用することになると思います。
松本まで戻り、次は大糸線へ向かいます。
この旅行記の一覧を下記にまとめましたので、気になったところを読みたい方はこちらをご参照ください。