君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

2021~2022年冬のイルミネーション (3)福島県双葉郡を訪ねて(双葉町編)

JR双葉駅前で行われたイルミネーション

2021年から2022年にかけての冬は、イルミネーションやライトアップに注目していろいろと見てきたので、その辺の紹介をしていきたいと思います。

前回から福島県双葉郡に入り、浪江町のJR浪江駅前の装飾や、道の駅なみえを訪ねた記録について書きました。

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今回はその南、双葉町編になります。

双葉町産業交流センターへ

浪江駅からJR常磐線に乗り、隣の双葉駅へ。そしてシャトルバスに乗り、町の唯一の産業拠点である産業交流センターへ向かいます。

JR常磐線の双葉駅

JR双葉駅と、産業交流センターを結ぶシャトルバス。後部には駅西側の再開発イメージイラストが。

双葉町産業交流センター

ご存じの通り、双葉町はまだ全町避難が続いており、この訪問(2021年12月末)の後の今年1月20日、ようやく準備宿泊が始まったばかりです。

産業と言っても、福島第一原発廃炉作業や地域の除染、放射性廃棄物の中間貯蔵、海岸の防潮堤の建設、復興祈念公園の整備……そういったものであり、農業や商業ができるようになっているわけではありません。

東日本大震災原子力災害伝承館

津波で被災した消防車の展示

かつて町の目抜き通りに掲げられていた看板の「レプリカ」

産業交流センターに隣接する原子力災害伝承館では、屋外に展示が追加されていました。

今回は内部は見ていませんが、以前訪ねた記事については下記をご覧ください。

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屋外に追加された看板は、かつて町に掲げられたものの「レプリカ」と称されていますが、正直なところ、実物は各文字の間隔がやや不揃いなのに、この看板では等間隔で配置されているなど再現度は低く、おざなりに作ったような印象もあります。実物の展示はいろいろ理由があって難しいそうですが、これを展示する意味があるんだろうか、ということを考えたりしました。

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産業交流センターの南側、中間貯蔵施設の先に見える福島第一原発

産業交流センターの屋上から海側の眺め

産業交流センターのイルミネーション

双葉町のイルミネーションは16:00に始まりました。

産業交流センター前のライトアップ

産業交流センター前では、並木に装飾する形のライトアップ。もっと暗くなると映えると思うのですが、この後富岡町で2か所巡る予定だったため、あまり時間がありません。

シャトルバスとは時間が合わなかったので、双葉駅と産業交流センターの2か所で利用できる(乗り捨てOK)シェアサイクルを利用して双葉駅に向かいます。

双葉町シェアサイクルの施錠器具

利用は無料(100円デポジット・返却式)で、100円玉を入れると鍵が押し出されて利用可能になり、返却するときは鍵を差し込むと100円玉が出てくるというシンプルなもの。スマホで利用手続きとか面倒なことは不要です。

JR常磐線から海側にかけては平坦な地形で、途中、国道6号線を横断する時に地下道を通る必要がある以外はスイスイと走れます。

双葉駅のイルミネーション

そして双葉駅へ。無人の町では、駅の普通の明かりですらイルミネーションに見えてきます。

夕暮れのJR双葉駅

壁がなく、開放感がある双葉駅の駅舎

双葉駅前のイルミネーション

双葉駅前では「みらいへのヒカリプロジェクト」と称して、震災後に初めてイルミネーションが行われ、駅に隣接する建物の周囲が青とオレンジでライトアップされていました。藤棚のイメージだそうです。

オレンジの間接照明が印象的

「夢王国ふたば」再興の第一歩として

双葉町のイルミネーションは2か所とも、デザイン面ではシンプルで地味な方だと思います。ただ、そういった話よりも、まず「無人の町に灯りをともす」ということの意味を考えさせられます。

この時、双葉駅前には、震災前の風景や暮らしを表現した「ふたばふるさとカルタ」というイラストが掲出されていました。

駅前に掲出されていた「ふたばふるさとカルタ」

その中には以前のイルミネーションに関するものもあり、駅前通りで「夢王国ふたば」によるイベントが行われていたそうです。

「ふたばふるさとカルタ」の一部

まだ先は遠い……というより、どうなるのか見通せるような状況でもありませんが、かつての暮らしを1つ1つ、少しずつでいいから取り戻そうとしていくしかないのかもしれません。

今回のシンプルなイルミネーションも、その1つなんだろうと思いながら、双葉駅を後にして次の目的地、富岡町夜ノ森駅に向かいました。

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