2021年から2022年にかけての冬は、イルミネーションやライトアップに注目していろいろと見てきたので、その辺の紹介をしていきたいと思います。
JR双葉駅から上り列車に乗って2駅、JR夜ノ森駅で下車。今回は富岡町のイルミネーションを訪ねます。
- 町民参加型のイルミネーション企画
- 富岡町観光協会『夜の森に灯りを!』
- とみおかサポータークラブ『元気・感動・つながり』
- YONOMORIまち灯り
- 西松・フジタJVイルミネーション実行委員会『テーマパークのような感じ』
- ホッともっと・とみおか『笑顔が溢れる富岡町』
- 富岡は負けん!『ご安全に』
- ホテル芳門『希望&未来』
- まとめ
町民参加型のイルミネーション企画
富岡町では、複数のイルミネーション企画が行われていました。
富岡町でイベント運営などを行う「とみおかプラス」が主催する町民参加型の企画「とみおかイルミネーション」と、観光協会が実施する、夜の森の桜並木を彩る「YONOMORIまち灯り」の2つです。
イルミネーションの場所は、大きく分けてJR夜ノ森駅周辺と、JR富岡駅周辺に分かれます。ただ、富岡駅からはだいぶ離れた地点にもいくつか作品があり、そこまで見て回る時間と体力はなかったので諦めることにしました。
富岡町観光協会『夜の森に灯りを!』
青と白のツリー型のイルミネーションです。
光源となっているのは多数のペットボトルです。
ペットボトルにはさまざまな絵が描かれています。多くの人が絵を描いて持ち寄ったのでしょうか。たくさんの人が力を合わせて作った、という感じがとてもいいと思いました。
とみおかサポータークラブ『元気・感動・つながり』
JR夜ノ森駅からまっすぐ東に進むと、町の桜の開花基準木があり、その周囲でイルミネーションが行われていました。
この日は満月で、雲間から覗く月の雰囲気がとてもよかったのでした。そのため、画角を固定して、月と雲がいい感じになるのを待ちつつシャッターを切っていました。
地上では色とりどりのイルミネーション、空では月と雲のイルミネーション、といった幻想的な雰囲気を楽しめました。
YONOMORIまち灯り
富岡町随一の観光資源である夜の森の桜並木。開花基準木から南側の一部にライトアップが施されていました。
この日、点灯していたのは道の片側だけだったのですが、本来は両側の並木が点灯するものだったようです。片側だけだった理由はわかりませんが、完全体で見ることができなかったのはちょっと残念でした。
西松・フジタJVイルミネーション実行委員会『テーマパークのような感じ』
桜並木のライトアップの先で展示されていたのが、西松・フジタJVのイルミネーション。詳しくは調べていませんが、この地域で復興事業を行っているJVのようです。
もっとたくさんのイルミネーションがあったのですが、目の前に桜並木があるため、全体を一度に捉えることができず、比較的広くとらえられる部分だけ切り取って撮影しました。
背後はそっけないプレハブの建物ですが、柔らかい光の動きが作り出す、温かみのある雰囲気が印象的でした。
ホッともっと・とみおか『笑顔が溢れる富岡町』
駅前からもよく見えていたのがこちらのイルミネーション。
家全体を彩る力作です。この家に住んでおられる家族が、楽しんで飾り付けをしたのかな、ということを想像しました。
そして、ひとつひとつの家族が明るく過ごし、町全体の家族がそのようになれば、自然に町に活力が生まれて復興に繋がっていくのかな、なんてことを考えたりしました。
夜の森で見た満月はすでに高く昇っていました。
その満月とともに撮影。
この角度で見ると、屋根の上のトナカイが満月を見上げているような感じで、それはそれで面白いと思いました。
富岡は負けん!『ご安全に』
富岡駅から西に進み、国道6号の月の下交差点まで出ました。
この辺にいくつか作品があり、それを見て帰ることにします。
「ご安全に」の意味は謎ですが、雑多なものが集まって構成された作品で、なかなか味があって面白いと思いました。
右側の「HERE WE ARE!!!」はなんとなくわかります。復興に向けての心意気を感じます。
左側の「うなぎ押田」の看板は、もともとここにあった店舗のものだそうです。富岡町も一時は全町避難となり、東京へ避難した後、今は南隣の楢葉町で豚丼屋「豚壱」を営んでいるとか。
真ん中のお立ち台には鐘があるのですが、なんなのでしょうね。鳴らしたら願いが叶うとか? そういう、よくわからないけどいろいろ想像させる仕掛け、というのもありだと思います。
ホテル芳門『希望&未来』
同じ交差点付近にあるホテルで、玄関付近に展示されたイルミネーション。雪景色をテーマにした作品ですが、カーテンの柔らかさをうまく活用した演出がとてもいいと思いました。
ここまで見て、最終の品川行の特急ひたちで帰宅。
ちなみに、この回の「とみおかイルミ賞」は、見に行くことができなかった富岡郵便局の作品が受賞したようでした。
まとめ
福島県双葉郡は、事故を起こした福島第一原発が立地することもあり、今なお原発事故の影響は深刻で、避難指示が解除された地域でも住民の帰還はなかなか進んでいません。
すでに避難先に生活の基盤ができていて、戻るつもりはないという人が多いそうで、それも自然なことだと思います。
それでも、無人の町に光を取り戻そうとする取り組み、そして帰還した人たちで地域を盛り上げようとする取り組みは進められています。
最初はどうしても、ゴーストタウンとなった部分に目を奪われてしまいますが、決してそれだけではないということを見ていくのも、この地域のありようを理解するうえで必要なのだろうと思います。
まだ観光目的で訪ねるにはいろいろ難しいところもありますが、折に触れて訪ねる機会を持つようにしたいと考えています。