タイトルは「趣味としての鉄道とバスの壁」としましたが、すでに以前、その辺は下記の記事で書いていたので、実は追加して書くことがあまりありませんでした。
少し調べた限りでは、趣味として撮影されるバスの写真は車両全体をきっちり捉えたものが主流で、風景写真として撮られたものは鉄道に比べるとかなり少ないように見えます。
気仙沼線・大船渡線BRTでも風景写真として撮られたものは少なく、時には「お口直しに鉄道を撮りました」なんて言われてしまう始末。
東日本大震災でJR東日本が鉄道としての運営をあきらめた線区のうち、山田線は三陸鉄道に移管され、気仙沼線・大船渡線はBRTに転換されました。
その結果、三陸鉄道は多くの鉄道ファンが歓喜の声をもって迎え、気仙沼線・大船渡線は見向きもされなくなってしまった。そして、沿線の復興の様子や美しい風景なども、写真を通して伝えられる機会が減ってしまった。それがすごく残念に思うのです。
要は、旅行手段の観点で、あるいは撮影の被写体として、鉄道からバスに変わっただけでとたんに注目されなくなってしまう。そしてそのために沿線地域まで注目されなくなってしまう、ということがとても気になっているわけです。
「BRTは気になるから一度は乗ってみたけど、まあ結局はバスだしもういいや」という方もおられるのではないでしょうか。
そんな問題意識を持ちつつ、この半年間やってきたことの目的は、以下の2点に集約できるように思います。
まだ現実的なこととして考えているわけではありませんが、いずれ何らかの形で、撮影した作品をとりまとめて世に出したいということを思い描いていたりします。
方向性として影響を受けたのが次のツイートから始まる、まるさん(@trainjrhokkaido)の「#1日1枚札沼線」のシリーズです。
今日は札沼線ラストランのちょうど1年前になります。今日から1年間札沼線の撮りためた写真を1日1枚掲載していきます。最初の1枚は紅葉に初雪が乗った豊ケ岡駅です。
— まる (@trainjrhokkaido) 2019年5月5日
来年は閏年なんですね〜
2016.11.1 札沼線 豊ケ岡駅#1日1枚札沼線 pic.twitter.com/IPNlDRddjE
こんな感じで、気仙沼線BRT・大船渡線BRTのあらゆるシーンを撮影して、公開できたらいいなあ、という風に思ったのです。まあ、ほぼ地元の学生さんと、遠く離れた地に住むリーマンでは全然環境が違うので、さすがに366枚というのはかなり無理すぎますが。
外出自粛の時期、撮った写真を見直してみた。
とりあえずこの半年間撮影した写真から、使えそうなものを現像し直し、リスト化してみました。
すると、今のところ全部で106枚になり、クオリティなどで分類してみると以下のようになりました。
- 厳選するならぜひ残したいもの…31枚
- さらに追加するなら使いたいもの…38枚
- その他、数合わせにはまあ使えそうなもの…37枚
ただ、まだ道半ばではあります。撮影したのが主に冬の時期なので、緑豊かな風景というのがあまりなく、復興の様子や日の出、海などを主題にした写真が多いのです。それに伴い、山間部の田園地帯を走る前谷地~柳津~陸前戸倉間の写真が特に少ないことも課題です。
そんな中で、一番思い入れがあり、今回のテーマに対して象徴的と思える写真を1枚紹介します。
撮影した時のことは以前に下記の記事で書きましたし、twitterでも何度も貼ってる写真なので、すでにご覧になられた方もおられるかと思います。
当時も書きましたが、「逆光の状況で被写体をシルエットにして撮る」という定番の撮影法において、しかもこれだけの絶景を前にして、単行の気動車とバスの車体にどれほどの違いがあるだろう、というのがテーマでした。
その辺のメッセージも含めて、鉄道写真家の中井精也先生が主宰する「ゆる鉄倶楽部」の掲示板に投稿したのです*1。
だいたい半月に1回、下記の動画のように1人1作品を選んで講評をいただけるのですが……(動画の途中からの再生になります)
まさかこれだけ「素晴らしい」を連呼されるとも思わず、とてもびっくりしましたが、やってきた甲斐があったし、今後もこのまま続けていいかな、という自信にもなりました。
何かいろいろ書き足りないような気もしますが、半年間のまとめとしてはこれで終わりになります。
沿線の方々が今の事態で苦労されているのを見ていて、一刻も早く行きたくて仕方ありませんが、それが叶う日を待ち続けていたいと思います。
*1:この頃は鉄道ではないBRTの写真も、「鉄道代行」という位置づけが残っていることに甘えて投稿していましたが、もう完全に鉄道とは離れてしまったのでBRTの投稿はやめようと思っています。「鉄道にこだわる場」はそれはそれで尊重すべきだと考えますので。