4月13日に開幕した大阪・関西万博。
期間中いつでも入場できる「通期パス」を買ったので、こまめに訪ねていろいろと巡りたいと思っています。
3回目は4月18日の訪問でした。
- 国の過去、現在地、そして未来の展望を知るマレーシアパビリオン
- オープニングイベント「Physical Twin Symphony」。言葉をもとに音楽を生み出せたら
- 真珠から石油へ。中東の島国バーレーンの産業と歴史を知る
- 自然との対立から共生への歴史、そして「コモングラウンド」を提唱するオランダパビリオン
- 大屋根リングの上から水上ショーやドローンショーを眺める
- 4月18日のまとめ:「見届け」から「楽しみ」へ
国の過去、現在地、そして未来の展望を知るマレーシアパビリオン
この日は16:30ごろ入場。最初の予約が18:00からのイベント「Physical Twin Symphony」なので、それまで別のパビリオンを見てみることにします。
なお、入場後に当日予約を試してみましたが、一覧の中で「△」(空きあり)表示になっていても、すでに予約を入れている時間と被っていたり、手続き中に他の人に先に取られてしまって取れなかったりという状態だったので諦めました。
「予約なしで入っても当日予約が取れます」と博覧会協会などはアピールしていますが、正直、混雑する日は相当難しいと思います。
そこで、予約なしで入れるパビリオンを巡ることにしました。
最初は、東ゲートから大屋根リングをくぐってすぐのところにあるアイルランドパビリオンにしようと思ったのですが、入口が見つからないまま隣のマレーシアパビリオンにたどりついてしまいました。すぐに入れそうだったのでこちらに入ることにしました。
まず出迎えられたのは、屋台を再現して、地域ごとに異なる食文化を紹介する展示でした。また、それらの中央には模型が置かれ、都市、産業、農村など国のさまざまな側面が表現されていました。




次は「進歩の道」と題されたトンネル。マレーシアは連邦国家で、連邦直轄領と13の州で構成されています。それぞれの地域の過去と現在の様子が展示されています。
この先が目指す将来像の展示。技術革新をリードし、持続可能な社会を実現する、ということが様々な形で展示されています。
パビリオンのシンボルとして置かれた「調和の樹」は、竹細工と先住民族の職人による手織りの布によるものです。民族間の調和、都市と農村の調和、様々な地域の調和、過去から未来へと続く歴史の一体性。そういったことを表現するシンボルなのかなと感じました。


出口にはフードコートとショップがあります。結構空腹だったのでここで食べておくことにしました。
注文したのは、マレーシアの屋台の定番という「ナシ・アヤム」(1600円)と、マレーシアではおなじみらしい「テータレ」というミルクティー(700円)。ミーゴレンやナシゴレン、カレーといった日本でもおなじみの料理と比べると時間がかかるらしく、後の注文が続々と提供される中で、なかなか出来てこないので少し焦りましたが、次の予約に間に合う時間で無事にありつけました。
ナシ・アヤムの鶏肉は基本的には茹でて甘辛な、ただし東南アジアらしい甘みが強めな味付けなのですが、ところどころパリッとした食感があるので、皮は軽く焼いていたりするのかもしれません。その食感がよかったです。
細長いお米は、スープか何かで薄く味付けしてあるようですが、基本的には白米でした。日本では東南アジアの米は炒めたりして食べるのが定番ですが、そのまま食べると米の甘さや水分が感じられるのは、日本の米と変わらないなと感じました。
テータレは甘いミルクティーです。日本でも紅茶はいろんなバリエーションが普及しているので、正直、あまりオリジナリティは感じませんでした。
調べてみると、インドのチャイが伝わってきたものの、スパイスが使えなかったのでチャイのように軽くスパイスが効いた味にはならず、普通に紅茶として普及していったのだとか。
値段的な面で言えば、初日の勝牛のカツサンドや、前回のオーストラリアでの値段と合わせて考えると、軽く一食(少食な人なら充分かも)で1600~2000円、飲み物やサイドメニューをつけたら3000円ぐらいというように見ておくといいのかもしれません。
オープニングイベント「Physical Twin Symphony」。言葉をもとに音楽を生み出せたら
18:00からは、7日前抽選で予約できたイベント「Physical Twin Symphony」へ。4月20日までの期間限定のイベントなので、ぜひ見ておきたかったのです。座席ブロックごとに申し込みができたので、抽選枠5つをこのイベントに全振りして第2希望で確保できました。
万博の開会式でもショーの一部が披露され、「文字を読み込ませたら音楽として出力される」という場面が表現されてとても楽しみにしていました。
会場は、東ゲートの南にあるホール「シャインハット」。開会式も行われた場所です。
ショーは大きく分けて3つに分かれていました。
最初は、「言葉を書いて入力したら、言葉やその筆跡などから感情を読み取り、音楽に変換して出力してくれる」という「Physical Twin PT2030」のこと。これを使えば、身体にハンディキャップがあっても、音楽が苦手でも、音楽として表現できるようになるテクノロジーです。
2025年の現実としては、言葉などの何らかのデータを入力すれば、既存の楽曲の学習結果をもとにして音楽を生成するというぐらいはできるようになっているのだと思います。ただ、それが人の感情に刺さるものにまでなっているかはまた別の話ですが。
音楽家に憧れていた詩人のタスノビー(演:MAINAMINDさん)が、Physical Twinを駆使して音楽を作り上げていくステージが展開されました。








第2部は、香港のピアニスト「Niu Niu(牛牛)」との共演。Niu Niuの姿が、正面奥の舞台にも映し出されます。おそらく、演奏を様々な角度のカメラで録画しておいて、そのうち真横から撮った映像を、背景を透過して使用しているのではないかと思います。
ただ、残念なことに私のカメラは、舞台の奥にいるNiu Niuの姿を的確に写してはくれませんでした。肉眼ではもちろんちゃんと見えているのですが。
華麗なピアノをバックに歌い上げられた「見上げてごらん夜の星を」が圧巻でした。




第3部は、会場の観客も演奏に加わってのステージ。
数人の観客(と思われる人)がステージに上がり、Physical Twinに「Happy」「Thank You!!」の文字を書くと、それをもとに音楽が生成されます。
主題となるのがこんなフレーズで、ステージに向かって右半分の観客が前2小節を、左半分の観客が後の2小節をコーラスで歌うという形でした。




なんだか分析的に書いてしまったような気がしますが、ショーとしてはとても楽しくて、充実感しかなかった30分間でした。静と動のメリハリが効いていたのがとてもよかったのかなと思います。
真珠から石油へ。中東の島国バーレーンの産業と歴史を知る
Physical Twin Symphonyの後は、20時のオランダパビリオンの予約まで時間があったので、予約なしで入れるパビリオンを見てみることにします。
東ゲート側から、オランダパビリオンがある西ゲート側へ歩いていたら、途中にあったバーレーンパビリオンが空いてそうだったので入ってみました。
パビリオンの外観は、バーレーンの造船技術をもとに構築されたそうです。
「バーレーン」の名前は、アラビア語で「2つの海」の意味だそうで、淡水の海と海水の海があったことに由来するとのこと。国土となる島は仙台市ほどの大きさで、人口は150万人ということなのでこれも仙台市にわりと近い感じですね。
日本では、中東の産油国という以上にはあまり知られていない国ではないかと思います。少なくとも私はそれ以上のことを知りません。
ここでは、歴史的な産業を軸に、造船技術、金属造形、そしてかつて隆盛を誇った真珠養殖といった展示が中心になっていました。島国ということで、日本とは文化圏が違っても似ている部分が多いような感じがしました。ちょっと親近感が生まれたように思います。




自然との対立から共生への歴史、そして「コモングラウンド」を提唱するオランダパビリオン
そしてオランダパビリオンへ。淡く光る珠と、水の流れのような正面の波打つ造形が特徴的ですが、これが「コモングラウンド」の概念に繋がる展示のモチーフにもなっています。
最初にオーブ(LEDボール)を渡され、その端子部分を「CHARGE」と書かれた鏡面の端子に触れさせるとオレンジの光がともります。
そして展示を読み進め、都度オーブを壁の端子にタッチすると色が変わっていきます。
オランダは国土の海抜が低く、水害に悩まされてきた歴史を持ち、水に抗おうとした過去から、現在は自然との共生を重視するようになってきたとのこと。そうした経験から、現在の地球的規模の課題に向き合うために自然との協力が必要だとしています。
なお、通路のあちこちにミッフィーが隠れているので、それを探しながら進むのもよいと思います。




最後には、数多くのオーブがひとつに集まる、「コモングラウンド」を提唱する美しい映像を見て終了となります。オーブを持って歩いていたことがここに繋がるのですね。


実は最後のカフェを楽しみにしていたのですが、ほとんどの品は売り切れていました。
オランダの伝統的な菓子、ストロープワッフル1枚(400円)を購入。ミッフィー型のワッフルもメニューにあったのですが、これも売り切れでした。
薄くサクサクとしたワッフル生地の、少し苦みもある香ばしさがヨーロッパな感じ。そして、中にはキャラメルシロップが挟まれていました。「ストロープ」とはオランダ語でシロップのこと。甘すぎず食べ飽きない美味しさだと思います。
大屋根リングの上から水上ショーやドローンショーを眺める
帰りは大屋根リングの南側を通って、西ゲート側から東ゲートへ向かいます。
ちょうど、ウォータープラザで水上ショーの「アオと夜の虹のパレード」が行われていたので、裏側の大屋根リングから見物。
水が吹き上がる迫力のあるシーンもあり、光と水が織りなす美しい表現もあり、これは一度ちゃんと予約して観ないとという思いを新たにしました。


その後、続けて始まった「One World, One Planet.」のドローンショー。
これは開幕日に見たものと変わりないのですが、最後の出口案内は見てなかったので、見れて良かったです。
4月18日のまとめ:「見届け」から「楽しみ」へ
最初に万博について書いた時、「(万博の意義を語る)難しさの中で行われる万博とはどういうものなのか。これを見届けることに意味はあるのではないか」というようなことを書いていました。
その時は、まだ万博について半信半疑な感じで、どちらかというと、どんなにダメでもちゃんと向き合うのが開催地の市民としての責務、みたいな意味合いも強かったのですが、もうすっかり「楽しみ」に変わってしまっています。最初に通期パス30,000円は出しているとはいえ、ちょっとした電車賃だけでこんな素晴らしい世界があるというのは夢のようだなと思います。
とはいえ、遠方で来場が難しい方も多い中、国費も多額に投じられたイベントで楽しい楽しいだけ言っているのはちょっと無責任な感じもしています。
万博が開幕し、訪れた人は会場にあるパビリオンやイベント、グルメなどに概ね好意的な一方、外側からはそういったものは見えず、疑念や不信で見ているという二重構造があるのを感じています。
外側の目線を意識しつつ、そこに届けられる言葉を模索する必要があるかなと考えています。