4月13日に開幕した大阪・関西万博。
期間中いつでも入場できる「通期パス」を買ったので、こまめに訪ねていろいろと巡りたいと思っています。
11度目の訪問は5月18日の日曜日でした。
日本のパビリオンなどは別記事とし、ここでは海外のイベントやレストランについて書くことにします。
- スポットクーラーが登場していたゲート前
- 山形県村山市からも来援。ブルガリア共和国ナショナルデー式典
- リヒター・トリオとウズベキスタン国立交響楽団のガラコンサート
- 試験営業だったルーマニアパビリオンの夕食
- 4,900円のフルセット! 伝統料理が楽しめるポーランドパビリオンへ
- 5月18日(海外編)のまとめ:さまざまな形で見られた海外と日本の縁
スポットクーラーが登場していたゲート前
この日は午前11時からブルガリア共和国のナショナルデー式典があり、それを目指して会場へ。
10時枠で東ゲートを予約していましたが、ナショナルデー式典会場(レイガーデン)の開場が10:30であり、その前に入場待ちの列ができることを考えると、なるべく早い時間に入場する必要があります。
そのため、この頃のゲート前の状況も考慮し、9:20ごろに夢洲駅に到着。10時を少し過ぎたところで入場でき、レイガーデンにも余裕を持って到着できました。
なお、前回訪ねた5月14日や、その前の11日の時には確か見なかったはずなのですが、東ゲート前の広場にはスポットクーラーが多数配置されていました。
熱中症対策だと思いますが、こんな屋外に置いて役に立つのだろうか? と考えてしまいます。まあ、クーラーから冷風が出ていたのは確かなので、暑さで体調が気になる時に一時的に冷やす意味では役に立つのかもしれません。


山形県村山市からも来援。ブルガリア共和国ナショナルデー式典
万博でのナショナルデー式典はこれまでも何度か観覧していましたが、この日の特徴は会場に日本からの来援があったことでした。
2021年に開催された東京オリンピックにおいて、ブルガリアのホストタウンとなったのが山形県村山市。新体操チームの事前キャンプの受け入れなどの交流事業が行われ、そしてブルガリアの新体操チームは団体総合で見事金メダルを獲得したのでした。
その後も交流は続いているそうで、今回のナショナルデーにも駆け付けてこられたのでした。会場の後方には、オリンピック当時のブルガリア国旗への寄せ書きが掲出されていました。また、午後のナショナルデー記念イベントにも出演されていたようです。


式典で、日本側からは藤井外務副大臣が挨拶し、そしてブルガリアからはルメン・ラデフ大統領が壇上に立たれました。その中では、明治の主力商品でおなじみ「ブルガリアヨーグルト」についても言及がありました。ブルガリアヨーグルトが普及したきっかけは、1970年の大阪万博でブルガリアがヨーグルトを出展したことであり、そのヨーグルトは昭和天皇も召し上がられたのだとか。
それにしても、外国の国家元首が数メートルほど先の目の前でスピーチをし、それを自由に撮ることができるのが、万博という場なのだと改めて感じます。


その後のステージでは、アカペラのコーラス、民族衣装でのダンス、ピアノとソプラノの美しい楽曲など、様々なパフォーマンスが次々に繰り広げられ、ブルガリアの民族性や豊かな芸術を満喫できました。






行事のために閉館していたブルガリアパビリオン
なお、ついでなのでブルガリアパビリオンも訪ねようと思ったのですが、午後に行ってみると、この日は大統領が来られていた関係で、パビリオンで関係者の行事があったために閉館でした。
後日、5月31日に訪ねたので、パビリオンのことはまた改めて書くことにします。
リヒター・トリオとウズベキスタン国立交響楽団のガラコンサート
14:00からは、EXPOホール「シャインハット」で行われた、「Threads of Two Lands(二つの大地の絆)」と題したウズベキスタン国立交響楽団のガラコンサートへ。「ガラコンサート」とは、何らかの記念に特別に催されるコンサートで、日本語では「記念公演」「特別公演」となります。
交響楽団の他、ロシア生まれの音楽家であるキリル・リヒターを中心としたリヒター・トリオ(ピアノ・バイオリン・チェロ)が加わっています。また、最後の方には日本とウズベキスタンの音楽文化を融合した作品が初演されるという内容でした。
入場して着席すると、オーケストラ用のステージの奥に大太鼓・小太鼓が据え付けられているのが目を引きます。


長すぎたスピーチ
やがて5分ほど遅れてプログラムが始まり、ウズベキスタン政府代表団から2名の方が挨拶として登壇(肩書は憶えられませんでした)。普通のオーケストラコンサートではこういった形式ばった挨拶はしないと思いますが、このへんの体裁をきちんとするのがウズベキスタンという国なのかな、と思いながら聴いていました。
そして日本側から伊藤忠彦復興担当大臣が登壇。
やむを得ないことなのですが、通訳付きのスピーチはどうしても長くなるのです。さすがに3人目となると、オーケストラの演奏を心待ちにしている観客からは「そろそろ終わらんかなあ」という空気が出てきます。
この場になぜ復興担当大臣が来ているのか、大臣なら誰でもいいのかとよくわからなかったのですが、一通りの歓迎の挨拶の後、この日の翌日から始まる東日本大震災からの復興に関する展示(Build Back Better)の紹介が始まったところで、「いやそれ関係ないやろ」という感じで会場がざわつき始め、そして、これで終わりなのかと思ったらさらに博覧会協会の石毛事務総長が登壇したところで、「まだあんのw」という感じで一気にざわざわした空気に。さすがにヤジを飛ばす人はいませんでしたが、合計4人のスピーチが終わった時にはすでに30分が経過していました。
ナショナルデー式典ですら、原則としてゲスト国、日本側それぞれ1人ずつなのに、ここで2人ずつ長々とスピーチするのは何か不思議な感じでした。




背景映像による演出と組み合わせたオーケストラの演奏。撮りまくれるコンサート
それはともかくとしてようやくオーケストラが登場し、キリル・リヒターの代表曲や、管弦楽組曲「父祖の信仰」*1などが演奏されていきます。
ステージの背景には楽曲に合わせた映像が流れ、楽曲の世界観が表現されていました。
それにしても、一般的なオーケストラの演奏では撮影・録音は禁止です。万博会場のイベントではそういう規制があることは少ないのですが、いろいろと撮りながら聴くオーケストラというのも何か不思議な感覚でした。


和太鼓とコラボした世界初演の楽曲「天翔神楽(Amatobu Kagura)」
やがて、最後になって太鼓奏者が3人登場し、まずは太鼓演奏が披露された後、世界初演となる楽曲「天翔神楽(Amatobu Kagura)」が披露されました。
オーケストラ奏者が演奏する、日本の祭りで用いられるチャッパ(手拍子とも呼ばれる、手のひらサイズの金属音を出す楽器)と、小太鼓や大太鼓が刻む賑やかなリズムに乗せて、空に駆け上がるような動きから、悠々と空を飛ぶようなバイオリンのメロディが流れ、クライマックスではキリル・リヒターが銅鑼を叩いて大団円となりました。
ちょうどこの日、広島県から来ていた神楽団や高校の神楽部による神楽のステージが行われていたこともあって、タイトルからてっきり伝統芸能の神楽とのコラボだと思い込んでいました。
コンサートのパンフレットに太鼓の演奏者の情報がなかったのでいろいろ調べてみたところ、はせみきたさん、堀越唯人さん、片岡亮太さんという太鼓奏者の方々で、神楽とは関係なかったようです。
おそらく、あまり本来の意味とは関係なく、「神楽」という語感の良さからタイトルに選んだという感じなのかなと思います。
試験営業だったルーマニアパビリオンの夕食
ガラ・コンサートの後は日本の企業パビリオンを訪ね、夕食はそこからの流れでルーマニアパビリオンへ。


食堂前にほとんど誰もいなかったので行ってみたら、昼営業が終わって夜の再開は6時30分からとのこと。その時6時を回ったぐらいだったので、30分弱待つだけなら、ということでそのまま入ってみることにしました。
18:30になって開店。試験営業ということでメニューを限定しての提供となっていました。後で詳しい人からいただいた情報では、この日が営業初日だったのだとか。
鶏グリエ(ボイルポトフ&ほうれん草)(2,700円)を注文。10分ほどして提供されたのですが、率直に言えばかなり微妙でした。
鶏肉のグリルと、じゃがいもとほうれん草の付け合わせなのですが、日本の食堂でこれと似たものを食べたら850円、ご飯とみそ汁のセットで1,300円ぐらいかなあ、という感じ。万博価格として2倍ぐらいまではまあ許容範囲としても、3倍はどうなのかなあ、と感じます。鶏肉はおいしかったですが、付け合わせのじゃがいもは形が崩れ、ほうれん草はクタクタになり過ぎで、おいしいという感じではなかったです。何より、どこにルーマニアらしさがあるのかが正直よくわかりませんでした。もしかしたら、添えられていた赤い塩がルーマニア産とかなのかもしれません。
他に1,500円ぐらいのメニューもあったので、そちらの方がまだ満足感があったかな、と思いました。
まあ、いろいろお試しという状況だったでしょうから、記事を公開した時点ではもっとよくなっていればと思います。
4,900円のフルセット! 伝統料理が楽しめるポーランドパビリオンへ
ルーマニアパビリオンの食事があいにくな感じだったので、もう1か所ぐらい行ってみようと思っていたら、隣のポーランドパビリオンがすぐに入れそうでした。
夜の19時前で、飲食ができる施設はどこも混んでいる中、なぜここはガラガラなのか。その理由はすぐにわかりました。2種類選べる4,900円のセットメニューしかなかったからです。
2,700円の次は4,900円か……! とたじろぎましたが、ここまで来たら意を決して入ってみることにします。入口で注文すると、飲み物はコンポートがおすすめです、と言われてさらに900円追加になりました。
なお、セット料理はAセット(ベジタリアン向け)とBセット(肉入り)が選べますが、概ね内容は同じで、Bセットで肉を使っている料理が、Aセットでは具材に野菜や果物を使ったものになっています。
席に着いたら2~3分ほどですぐに提供されました。メニューが決まっているから早いんでしょうね。


トマトスープは、日本でトマトスープというとミネストローネのようなものが多いですが、そうではなく滑らかに裏ごしされたもので、トッピングににんじんの角切りなどが入っていました。
ライ麦のブレッドは、サワードウ特有のほのかな酸味に、ハーブが香る濃厚なクリームチーズが好相性な感じでした。


ビゴスはキャベツを煮込んだ伝統的なポーランド料理。豚肉やソーセージ、玉ねぎやトマトなども含めてじっくり煮込んであるそうで、見た目よりも風味豊かな煮込み料理でした。
メインディッシュは、ポーランド料理のピエロギとキャロットサラダの盛り合わせ。
ピエロギは餃子のように具材を白い皮で包んだ料理ですが、皮は餃子より厚めです。具材はマッシュポテト、ベーコン、チーズなどで、ベーコンの旨味がたっぷり詰まっていました。
キャロットサラダはオリーブオイルや胡椒で味付けされた、さっぱりしたラぺでした。


デザートはレモンヨーグルトのケーキ。また、セット外の飲み物として注文したコンポートは、ベリー系の果実もごろごろ入った濃厚なドリンクでした。日本ではコンポートはスイーツに使われますが、ポーランドでは飲み物を指すのだそうです。
4,900円+飲み物というなかなかの値段ですが、ポーランドの伝統的な料理をいくつも楽しめるという点ではポイントが高く、統一されたデザインの食器で見た目も楽しく、一度は試してみてもよいのではないかと思いました。
この後は、大阪ヘルスケアパビリオンのモンスターハンターブリッジを楽しんで帰宅しました。
5月18日(海外編)のまとめ:さまざまな形で見られた海外と日本の縁
「海外と日本の縁」をいろいろな形で見聞きした日でした。
ブルガリアのヨーグルトと1970年の大阪万博の話はこの日初めて知ったのですが、まあ、私が知らなかったというだけで、実はよく知られた話なのでしょう。
それだけだと別に万博でなくても、調べればわかるじゃんという話なのですが、他にもオリンピックをきっかけとした縁や、音楽でのつながりの表現など、万博会場に集まったさまざまな表現から共通項を見出し、見聞を深められるのが万博の良さなのだと思います。
万博では、日本各地からも様々なイベントで出展が行われています。地方自治体の中には、独自に外国と強いつながりを持っているところもあるので、万博という場を活かして、そういったところをもっとアピールしてもいいのではないか、と感じることもあります。なのでこの日、ブルガリアのナショナルデーにちなんで、オリンピックの縁で村山市から来援があってイベントも行われていたのはとてもよかったと思います。
ウズベキスタンのような旧ソ連の中央アジアの国々は、それほどなじみがあるわけではないのですが、この日のイベントをきっかけに少し調べてみると、第二次世界大戦後のシベリア抑留から連行された日本人が、ウズベキスタン領内で建設に関わった施設が今も活用されている、みたいな話もあったりして、少しずつ知識が増えていくのもいいなと感じます。
こんな感じで、万博が終わるころにはどれだけ知識が増えているんだろう、というのもなかなか楽しみです。