
4月13日に開幕した大阪・関西万博。
期間中いつでも入場できる「通期パス」を買ったので、こまめに訪ねていろいろと巡りたいと思っています。
11度目の訪問は5月18日の日曜日でした。
この日については先に、海外のイベントやレストランなどについての記事を書きました。
主な内容は、
といったものでした。
- 発酵専門のレストラン。コンセプトはいいものの
- 「未来の家」を中心とした研究とアイデアの展示。飯田グループ×大阪公立大学パビリオンへ
- 意外と不自由だったモンスターハンター ブリッジ
- 5月18日(国内編)のまとめ:日本のパビリオンなどはどうしても見方が厳しくなる
発酵専門のレストラン。コンセプトはいいものの
午前中のブルガリア共和国のナショナルデー式典を観覧し、昼時になったので、近くで昼食をとることにします。
前からちょっと気になっていた、リング内の南東側にある発酵専門のレストラン「HASSHOKU」に入ってみました。
せっかく万博会場に来たのなら、海外パビリオンの料理を食べてみたいところです。ですが、それは誰もがそう思うわけで、海外パビリオンのレストランが大混雑していても、マーケットプレイスにあるような日本企業が出店しているレストランは案外空いていたりします。

バーガー、定食、パスタ、スイーツ、ドリンクなど、幅広いメニューが用意されています。その中で、冷製パスタ 合鴨スモークの塩糀レモン(1,900円)を注文。

確かに、合鴨とオイルパスタの相性は良いと思ったのですが、味はちょっと塩味が強すぎる気がしました。むしろ塩麹は余計だったのでは、という感じでした。
もちろん、人それぞれ味覚は違うし、1つのメニューを食べただけでいろいろ書くのも違うとは思うのですが、あくまでその時の個人的な印象として書くと、「発酵」へのこだわりがよくわからない、という感じを受けてしまいました。
合鴨のパスタを選んだ理由は、食事メニューで唯一2,000円以下だったという理由もあります。万博価格といっても、定食やカレーで軒並み2,500円前後という価格設定は、日本のレストランのメニューだとさすがにちょっと割高感があります。どちらかといえば、最近の為替レートを背景にした外国人向けの店舗なのかもしれません。
そもそも「発酵」をテーマにしたレストランが気になっていた理由は、以前、岩手県陸前高田市で数年前にオープンした「CAMOCY」に何度か行っていて、ここの定食やパン、総菜、カカオなどの発酵メニューがすごく良かったということがあります。もともと醤油の製造が盛んな地域で、発酵や醸造へのこだわりが感じられる施設でした。似たようなものを期待していたことが、ネガティブな感想につながっているかもしれません。
「未来の家」を中心とした研究とアイデアの展示。飯田グループ×大阪公立大学パビリオンへ
午後は、ウズベキスタン国立交響楽団のガラコンサートの後、予約が取れた飯田グループホールディングス・大阪公立大学パビリオンへ。パビリオン本体は西陣織を用いた外観、そして入場口前の屋根は扇子をモチーフとしたデザインが特徴です。

とはいえ、内部の展示は、外観から想像できるような「和」をテーマにしたものではなく、「未来の家」をメインにした、研究中のテーマやさまざまなアイデアを紹介するというものです。
メイン出展者の飯田グループホールディングスというのは、誰もが知っているような有名な企業ではないと思いますが、戸建て住宅やマンションの分譲をメインとした不動産事業者らしいです。
ちなみにこのパビリオンは、「世界最大の西陣織で包まれた建物」、「世界最大の扇子形の屋根」 という2つのギネス記録に認定されたそうです。謎過ぎる。
飯田グループ×大阪公立大学共同出展館 2つのギネス世界記録に認定!
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3291/ir_material7/248879/00.pdf
上の記事を見ると、このパビリオンは「メビウスの輪」をイメージした円形の形状になっているようなのですが、地上からだとそういったことはさっぱりわかりません。大屋根リングの、20mまで上がれる回廊からはもしかしたら見えるのかもしれませんが、どうなのでしょうね。
パビリオンに入ると、まずは展示内容を説明する映像を見てメインフロアへ入ります。
メインフロアは、中央に未来の都市を表現した巨大なジオラマがあり、その周囲にさまざまな展示があります。


「人工光合成」による住宅用エネルギーの研究
展示の一つのメインは、両者(飯田グループと大阪公立大学)で研究を進めている「人工光合成」による住宅用エネルギーの生成です。
光合成というのは、ごく単純に言えば、植物が水と二酸化炭素を取り込み、光の作用によって養分を得つつ、不要な酸素を大気中に放出するという反応ですが、その中の一つの作用として「二酸化炭素を(でんぷんなどの)有機物に固定する」というものがあります。このへん化学はまるっきりダメだったのでいろいろ調べながら書いています。
ここで目指す姿として描かれているのは、以下のようなプロセスになるようです。
- 人工光合成装置によって、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)から光の作用で蟻酸(ぎさん・formic acid/H2CO2)を生成し貯蔵する(残るO(酸素)は放出される)。
- 蟻酸から水素(H2)を取り出し、燃料電池として住宅内や車両用のエネルギーに活用する。
- 蟻酸から水素を取り出した時に残る二酸化炭素(CO2)は人工光合成装置に回収し、蟻酸の生成に利用する。
つまり、このプロセスの中では二酸化炭素は外部に放出されず、内部で固定化されるので、温室効果問題に貢献できるというものであるようです。



このあたりは大阪公立大学(大阪府立大学と大阪市立大学が合併した大学)が、前身である大阪市立大学の時代から研究に取り組んでおり、大学には人工光合成研究センターが設けられています。
ちなみに、人工光合成の可能性は住宅に限った話ではなく、さまざまな企業などが研究を進めているものの、課題はやはりエネルギー変換効率などのコスト面にあるようです。
未来の住宅デザインのアイデア展示
次のメインは、飯田グループ、大阪公立大学、インドネシアの工科大学の人たちによる住宅デザインのアイデアの展示です。
さまざまなアイデアが示されていましたが、特に気になったのは、森林管理者向けの「森と生きる森人の家」、移動可能な構造で、水害で水に流されても持続可能な「災害を受け流す住宅」、家で暮らす人が減っていくのにあわせ、風化を利用して家を縮小する「適切な風化は環境を再構築する」といったあたりでした。




いろいろおせっかい?なウェルネススマートハウス
3つ目のメインは、住宅内にさまざまな形で健康を気遣ってくれる仕組みがある「ウェルネススマートハウス」で、並んでいる人が多かったのでスルーしましたが、一部実際に体験できるスペースもあります。
朝起きたらAIがエクササイズのアドバイス。寝たら睡眠状態のチェック。トイレに行ったら排便から健康状態のチェック。こうして家の中でもあらゆる形でAIなどに管理される生活が果たして楽しいのかどうか。まあ、必要に応じてON/OFFできればいいのかもしれませんね。



こうして1階フロアをぐるっと回った後は、2階に飲食施設もあるようでしたが、入るのに時間がかかりそうだったので別の場所に行くことにしました。
意外と不自由だったモンスターハンター ブリッジ
夕食後は、大阪ヘルスケアパビリオンの企画「モンスターハンター ブリッジ」へ。
人気ゲームシリーズ「モンスターハンター」の世界を、ARデバイスを装着し、360度全面スクリーンや床の振動、音響効果などによる没入空間で楽しめるというものです。
大阪ヘルスケアパビリオンは本体となる施設がありますが、この企画は「XD HALL」という、本体から離れた建物で行われています。


ここでは、手荷物はすべてロッカーに預けるため、スマホやカメラといった撮影機材も当然持ち込めません。
なので写真はありませんが、先に感想を書くと、「モンスターハンター」というブランドに期待したようなものではなかったという感じです。
「モンスターハンター」というゲームについて簡単に触れておくと、プレイヤーは人々から依頼を受けて数々のモンスターを討伐しにいくというゲームで、討伐を繰り返して報酬で武器や防具を強化し、より強力なモンスターに挑んでいきます。
ステージもモンスターもプレイヤーも3Dで描画されていて、モンスターに切りつけたり、体当たりされて吹っ飛ばされたりといったリアルな表現が魅力の1つです。
モンスターを討伐するステージは広く、目的のモンスターは自由に動き回っているので、まずはモンスターのところにたどり着くためにステージを探索することになります。ステージでは他のいろんな生物がいたり、採取できる植物があったり、つるはしで岩を叩いて鉱物を手に入れたり、弱いモンスターを倒してその肉を焼いて食べたり、自由に行動することができます。
そういったゲームなので、ここで体験できることも、没入感のある世界を自由に探索できるようなものなのかなと期待していました。
ですがそうではなく、用意されたストーリーに沿って、お供の「アイルー」が近寄ってきたらなでてあげたり、モンスターが襲ってきたら石を投げたりといったいくつかのアクションが限定的にできるだけでした。
ただ、最後は予想外のモンスター(?)が登場してエンディングとなるので、そこはちょっと面白かったです。
ARを駆使した自由な探索という意味では、広い空間に用意されたいくつかの氷山のオブジェから、国のさまざまな表情を発見していくカナダパビリオンの方が面白かったかもしれません。


まあ、ゲームのプレイヤーになったような体験ができる、と期待するとがっかりするかもしれませんが、一部にアクションできる要素を含みつつ、ゲームに出てくるモンスターなどが登場し、ARデバイス、360度スクリーン、音響効果、床の振動といったさまざまな感覚に訴える没入型空間の体験としては充分に楽しめると思います。今回の万博では、いろんなところで「イマーシブ」(没入型の)という言葉が使われていますが、その中では抜きんでているのではないでしょうか。
5月18日(国内編)のまとめ:日本のパビリオンなどはどうしても見方が厳しくなる
これまでほとんど外国に行ったことがないので、海外のパビリオンは、まず珍しいものばかりで、その珍しさだけで価値がある、というところがあります。
それと比べると、日本のパビリオンや店舗などはどうしても満足できる水準が高めになります。
飯田グループ・大阪公立大学のパビリオンは、刺さらない人には刺さらないだろうな、という感じですが、ウェルネスも含めた住宅の未来の可能性を提示しているという点で、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマにもよく沿っているし、ポジティブな期待を感じさせる万博らしいものだったのではないかと思います。