
大阪・関西万博会場内で自由に弾けた2台のピアノ
大阪・関西万博の会場には、来場者が自由に弾けるピアノが2台ありました。
1台はシグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」の予約不要エリアに常設されていたグランドピアノで、もう1台は、9月17日から会場西側の休憩スペースに設置されたアップライトピアノでした。
クラゲ館のピアノは、さまざまなクラゲの絵が描かれた可愛らしいデザインでした。
ここに自由に弾けるピアノがあると知ったのは9月に入ってから。予約が取れないパビリオンには、そもそも近寄ろうともしていなかったのです。ピアノが弾けることを最初から知っていたら、もっと入り浸っていたに違いありません。
場所の雰囲気として、親子で来られて子どもさんが遊ぶ場所、という感じになっていたので、子どもさんが順番を待っている時は控えて、誰も待っていないタイミングを見計らって弾くようにしていました。

9月17日からは、未来社会ショーケース事業「アート万博」のひとつ、「音でつなぐEXPO2025~Uniting the EXPO in Harmony」と題して、ミャクミャクやこみゃくがデザインされたアップライトピアノ(いわゆるミャクミャクピアノ)が設置されていました。
設置されたのは、会場の西ゲートのさらに西側にある、レストランなどのマーケットプレイスに隣接した休憩所の中でした。
ピアノのそばには係員の方が常駐されていて、順番待ちの管理とか、ピアノをバックにした記念撮影とか、いろんな対応をされていました。
この9月後半以降の時期は、入場予約は毎日朝7時頃にある程度解放される2日後の西ゲートの予約しか取れなかったので、西ゲートから入場するとまずはミャクミャクピアノに向かい、それから会場内のパビリオンやイベントに向かう、ということが定番になっていました。

ピアノを弾く時はひとりのパフォーマーのつもりだった
これらの万博のピアノでは、テーマソングの「この地球(ほし)の続きを」や、噴水ショー「アオと夜の虹のパレード」の楽曲「にじまつり」、そして毎日夜に行われていた地球共感覚セレモニー「One World, One Planet.」の曲を弾いていました。
ストリートピアノで弾く曲は、自分本位で何でもいいとは思うのですが、私の考え方としては、周囲に聴いている人がいる以上は、聴く人にとって何がいいか、ということをできるだけ重視したいと思っています。万博会場で弾くなら、万博にちなんだ曲ということになってきます。
万博会場では、各パビリオンやイベントステージなどで毎日、さまざまなパフォーマンスが繰り広げられていました。自分もうまくはないけれど、ピアノに向かう以上はこうした方々と同じ一人のパフォーマーだ、という心構えだけは持っていました(といって、なかなかそれが演奏に反映されるわけではないのですが)。
この万博が始まる少し前、会場に近い大阪南港に設置されたストリートピアノに関する「練習は家でしてきてください」というきつめの注意書きが、「上手い人だけが弾け、下手な人間は弾くなということか」と物議をかもしたことがありました。でも、その乱暴な区分は間違っていると思いました。
下手な人が、やさしい曲を練習してしっかり弾く。それも充分パフォーマンスになるはずなのです。
クラゲ館のピアノで「にじまつり」と「One World, One Planet.」を初めて弾いた翌日の昼、大屋根リングの下でレジャーシートを広げ、シンガポール館で買ってきたランチを食べようとしていたら、「昨日ピアノ弾いていた方ですよね?」と声をかけられてびっくりしたのが印象に残っています。
連日、会場でピアノを弾いていると、横でスマホで撮っている方がいるのもちらちらと見ていました。
ある日、群馬から来られたという方は、最後の万博の夜で「いい記念になりました」と言ってくださいました。
実は採譜が全然間違っていたり、結構恥ずかしいこともあったのですが、ひとりのパフォーマーとしての役目は、少しは担えたのかなと思ったりしています。
One World, One Planet.のピアノアレンジ
万博会場で弾くためにアレンジした「One World, One Planet.」の楽譜を載せておきたいと思います。
「One World, One Planet.」は、メインテーマの部分だけで8分くらいあるのですが、そのうち、前半の効果音的な部分を除いた、中盤から最後(ドローンショーで言えば、2つの台形が重なり合うところから、願いの樹が空に消えていくところまで)の部分を弾いていました。
上に書いた通り、難しくて弾けないよりも、やさしくてもちゃんと弾けるということが、ストリートピアノでは大事だと思っています。あくまで、私が弾けるレベルを前提に勝手にアレンジして弾いているだけなので、品質については一切保証しません。
なお、今回楽譜を晒すにあたって、採譜の修正や、一部のアレンジ見直しなどの手直しをしています。



この楽譜で弾いてみる、という人に向けていくつか補足しておきます。
- Aはやわらかく入り、8小節目に向けてのクレッシェンドも決して乱暴にならないように。盛り上げた余韻を感じつつ1小節(長さはある程度自由に)音を止め、静まったところでおもむろにBを弾き始めます。
- Cの最初4小節は、メロディの下に、原曲ではホルンの音色で演奏される内声があります。特に2小節目、4小節目のシーラ#ーシの動きが大事。
- D・E・F・Gはサビの部分。左手のオクターブの反復は、下の音でリズムをしっかり出して、上側の音は軽めにするといい感じ。Fの前半は原曲ではトランペットのソロ的な部分で、音を減らしてはいますが、弱めるというよりは単音のメロディを朗々と響かせる感じがいいと思います。
- クライマックスとなるH・Iは、これぞピアノ、という感じの部分なので、両手とも跳躍が多くて大変かもしれませんが、テンポが遅いことだしぜひ頑張っていただきたいです。