
2025年12月12日、気仙沼線BRT・大船渡線BRTで2026年3月に実施されるダイヤ改正が発表されました。改正日はJRグループ全体と同じ3月14日(土)になります。
JR東日本ニュース 気仙沼線BRT・大船渡線BRTダイヤ改正について
https://www.jreast.co.jp/press/2025/morioka/20251212_mr02.pdf
2年前からは鉄道と同日に、しかし鉄道とは別のリリースとして発表されています。
以下、ニュースリリースの内容について触れつつ、現行ダイヤとの比較をもとに今回のダイヤ改正について見ていきたいと思います。
- 今回は微調整がメイン
- 現行ダイヤとの比較
- 気仙沼線BRT下り(前谷地・柳津→気仙沼):一部の便で、気仙沼駅での鉄道との乗り継ぎ時間に余裕を持たせる
- 気仙沼線BRT上り(気仙沼→柳津・前谷地):一部の便で大きく時刻を変更。ただしその理由は謎
- 大船渡線BRT下り(気仙沼・陸前矢作→盛):三陸鉄道への乗り継ぎが一部改善
- 大船渡線BRT上り(盛→陸前矢作・気仙沼):土休日の朝に気仙沼行きの便を増発
- 13年目を迎えたBRT
今回は微調整がメイン
ニュースリリースでは、特に要点の説明もなく、いきなり各便の時刻変更についての言及が始まっています。
全体のダイヤを見てみましたが、確かに今年は核となるような変更点はなく、一部の便で鉄道との乗り継ぎを改善するなどの微調整がメインとなっているようです。
2025年3月15日に行われた、現行ダイヤへの改正では若干の減便がありましたが、今回は一部に時間帯変更などの組み換えはあるものの、全体として便数は維持されています。
現行ダイヤとの比較
ここからは、現行ダイヤと改正予定ダイヤを並べて、1便ごとに比較してどこが変わったのかを見ていきたいと思います。なお、改正予定ダイヤについてはニュースリリースで公表されたものを参照していますが、2月25日に公表された最終的な改正ダイヤで、変更がないことを確認しています。
気仙沼線BRT下り(前谷地・柳津→気仙沼):一部の便で、気仙沼駅での鉄道との乗り継ぎ時間に余裕を持たせる
気仙沼線BRTの下りでは、全体的な骨格に変更はなく、複数の便で時刻の微調整が行われていますが、特にポイントになるのは以下の2点だと思います。

まずは、ニュースリリースでも言及されている、志津川駅初発便の時刻繰り上げです。6:12発から6:10発に変更になります(表1の①)。
この便は、現行ダイヤでは気仙沼駅に7:33に到着し、大船渡線の一ノ関行きが7:39に発車するダイヤとなっています。乗り継ぎ時間が6分で大丈夫なのかというのは昨年の記事で気になることとして言及していましたが、BRTを2分繰り上げることで乗り継ぎ時間が8分となり、若干余裕を持たせる形となっています。

同様に、時刻繰り上げによって気仙沼駅での大船渡線への乗り継ぎに余裕ができているのが、前谷地駅14:27発から14:22発への繰り上げです(表2の②)。
前谷地駅では石巻線小牛田行きからの乗り継ぎ時間を10分確保しつつ、気仙沼駅での乗り継ぎ時間も6分→11分に拡大しています。
なお、このほかに気仙沼駅での乗り継ぎに余裕がない便として1921K(柳津駅8:01発)、1931K(前谷地駅9:50発)の2便がありますが(表3)、これは柳津駅や前谷地駅での乗り継ぎもカツカツなので、どちらかの鉄道のダイヤを動かさない限りどうにもならないと思います。

気仙沼線BRT上り(気仙沼→柳津・前谷地):一部の便で大きく時刻を変更。ただしその理由は謎
気仙沼線BRTの上りダイヤでは、下りと同様、気仙沼駅での乗り継ぎを考慮したと思われる微調整が行われている他、気仙沼駅~前谷地駅間の1便で時間帯が大きく変更されています。ただ、この意図がなかなか謎なのです。
気仙沼駅発7時台の便の時刻調整
まず、気仙沼駅7:30発の便が7:32発に繰り下がります(表4の①)。大船渡線列車が7:24に到着するので、乗り継ぎ時間が6分から8分となり、若干余裕ができています。
ただ、この前の便も気仙沼駅7:15発から7:20発に繰り下げられます。この時間帯は通学需要が多く、そちらの観点での調整ということもあるかもしれません。

今回のダイヤ改正最大の謎。前谷地駅で1分乗り継ぎ!?
ニュースリリースには「ご利用状況を踏まえて、時刻を見直します。」として言及されているのが、気仙沼駅14:40発前谷地行きの10:38発への変更です(表5・表6の③)。また、これに伴って、気仙沼駅10:15発の本吉行きが10:00となります(表5の②)。おそらくこれは運行間隔の調整だと思います。


ところで、表5の前谷地駅をよく見ていただきたいのですが、追加された気仙沼駅10:38発の便は、12:58に前谷地駅に到着します。そこでの石巻線列車への乗り継ぎがどうなっているかというと、石巻行きの発車はなんとその1分後の12:59なのです。
前谷地駅では、気仙沼駅のように同一ホームで列車とBRTが発着するのではなく、駅前の広場にBRTのりばが設けられています。そこから石巻行き列車に乗り継ぐためには、駅舎を通り抜け、跨線橋を渡ってホームを移動する必要があります。普通に考えてこんな乗り継ぎは無理です。12月のリリースを見た段階では、きっと石巻線のダイヤに変更が入るのだろうと思っていたのですが、2月25日に公開された石巻線の改正ダイヤを見ても、全く変更はありませんでした。
では、小牛田行きの方はどうかというと、乗り継げる小牛田行きの列車は13:52発で54分待ちです。でもこの列車は柳津駅始発(13:30発)で、次の柳津行き(気仙沼駅11:05発)の便から乗り継ぐことができます。
つまり、この新設される便は、本来前谷地行きが担うべき石巻線との乗り継ぎには全く役に立たないのです。
もし、前谷地駅での石巻方面への乗り継ぎを実現させたいなら、気仙沼駅発を10:38ではなく10:30などにすればよく、なぜ10:38という中途半端な時間になったのかも含めてかなり謎な設定となっています。
なお、この時間帯に便を追加すること自体は、近年、午前中の便を午後に回す傾向が強く、気仙沼駅を9時・10時台に発車するのが1便ずつになっていたので、それに対する是正措置という面もあると思います。本吉駅から先の運転間隔が110分まで開いていたことに対する緩和にもなっています。
ポケモントレインとも乗り継ぎ改善。気仙沼駅発13~15時台の時刻変更
午後は、先ほども言及した14:40発の便がなくなることに伴うと思われる、周囲の便の時刻調整が入ります。
気仙沼駅13:05発の前谷地行きが13:20発に15分繰り下がります(表7の④)。これにより、臨時快速列車「ポケモントレイン気仙沼号」から、志津川・前谷地方面へ乗り継ぐことができるようになり、さらに前谷地駅では小牛田行きに乗り継ぐことができます。
また、その後の便も細かく調整されています(表7の⑤・⑥)。14:08に気仙沼駅に到着する大船渡線列車からの乗り継ぎ時間は、7分から18分に拡大します。

微調整が続く気仙沼駅発16~18時台の便
その後、16~18時台にかけても、ニュースリリースに掲載された16時台の便も含めて微調整が行われています(表8の⑦・⑧)。大船渡線列車からの乗り継ぎも10分以上空けるようになっています。

大船渡線BRT下り(気仙沼・陸前矢作→盛):三陸鉄道への乗り継ぎが一部改善
大船渡線BRTの下りでは、やはり気仙沼線BRTと同様の微調整がメインとなっていますが、一部の便では盛駅で三陸鉄道に短時間で乗り継げるようになっています。
陸前矢作駅初発便を10分繰り上げ。三陸鉄道のダイヤ改正に対応して乗り継ぎを維持
陸前矢作駅5:38発の盛行き初発便が、10分繰り上がって5:28発になります(表9の①)。
現行ダイヤでは、この便は6:38に盛駅に到着し、6:46発の三陸鉄道の列車に乗り継ぐことができます。三陸鉄道では、BRTと同日のダイヤ改正で盛駅6:33発に変更となるため、BRTの時刻を早めることで乗り継ぎが維持されます。
ただ、5分で乗り継ぎができるのかどうかは何とも言えないところがあります。ダイヤ通り着いても、そこから三陸鉄道の駅舎で切符を買って列車に乗り込むとなると結構ぎりぎりだし、BRTが遅れたら、もうそのまま列車に飛び乗って車内で精算するしかないかもしれません。
まあ、田茂山駅から盛駅までの所要時間は3分で、上りが1分なのに比べると若干の遅延も見込んだ余裕のある設定になっているので、たぶん大丈夫だろうとは思いますが。

陸前矢作駅7:08発の便を10分繰り上げ。三陸鉄道の列車へ短時間で乗り継ぎが可能に
同様に、陸前矢作駅7:08発の便が10分繰り上がって6:58発となります(表10の②)。これにより、三陸鉄道の盛駅8:03発の列車に乗り継ぎが可能になります。
また、あまり意識されていないような気はしますが、陸前高田駅で気仙沼行きの便(陸前高田駅発7:23)への乗り継ぎが確実にできるようになります。これまでは、この便の陸前高田駅着も7:23で同時刻の設定だったため、乗り継ぎができるとは言い難い面もありました。

陸前矢作駅11:50発の便(土休日運転)を新設。三陸鉄道列車に短時間で乗り継ぎ可能
昼間の時間帯では、土休日に限り、陸前矢作駅11:50発の盛行きの便が新設されます(表11の青の③・④)。この便は、盛駅で20分の待ち合わせで、13:10発の三陸鉄道の列車に乗り継ぐことができます。
また、陸前高田駅では8分の待ち合わせで、12:13発の気仙沼行きの便に乗り継ぐことができます。

なお、この便の新設に対応する減便として、まず、陸前矢作駅12:18発の陸前高田行きを毎日運転から平日のみ運転に変更します(表11の赤③)。
また、陸前矢作駅18:58発の盛行きは現行ダイヤでは毎日運転ですが、改正ダイヤでは平日は盛行き、土休日は陸前高田行きとなります(表12の赤④)。つまり、土休日は陸前高田~盛間が1枠空くことになります。
これらによって空いた土休日の枠を組み合わせ、新設便に充当しています。

最終便付近の気仙沼発の便の時刻繰り下げ
今回のダイヤ改正では、気仙沼駅発の便でもいくつか時刻変更が行われます。最終便付近では、気仙沼駅20:14発が20:21発に、20:51発の最終便が21:00発に繰り下げられます(表13の⑤)。
前者は大船渡線列車からの乗り継ぎ時間に余裕を持たせる意図ではないかと思います。
後者は、最終便までの時間が増えるというメリットの一方、(需要があるのかという話はさておき)陸前高田駅で陸前矢作行きへの乗り継ぎができなくなります。

大船渡線BRT上り(盛→陸前矢作・気仙沼):土休日の朝に気仙沼行きの便を増発
大船渡線BRTの上りでも、他と同様に微調整がメインとなっていますが、大きな変更点としては、これまで運転間隔が2時間半開いていた土休日の朝の陸前高田~気仙沼間に便が追加されます。
陸前高田駅発初発便の時刻繰り上げ
陸前高田駅初発便の時刻を5:09発から5:05発に繰り上げます(表14の①)。この便は気仙沼駅で一ノ関行きの列車に乗り継げますが、乗り継ぎ時間が6分から10分となり、余裕ができる形になります。

土休日に陸前高田駅7:23発の気仙沼行きの便を新設
これまでのダイヤでは、土休日の朝は陸前高田~気仙沼間の便数が少なく、陸前高田駅発で言えば6:29発の次は8:53発までありませんでした。
この間を埋める形で、陸前高田駅7:23発気仙沼行き(土休日運転)の便が新設されます(表15の②)。なお、平日は盛駅6:40発気仙沼行きとして運転している便を、陸前高田駅発として区間運転する形になります。

この増発に対応する減便として、毎日運転している陸前高田駅10:43発気仙沼行きの便を、平日のみ運転に変更します(表16の②)。これにより陸前高田~気仙沼間の土休日の枠が空くため、それを7:23発の便に充当している形です。

陸前高田発陸前矢作行きの便の時刻変更
陸前高田駅10:03発の陸前矢作行きが、9:40発に変更となります(表17の③)。これにより、盛駅9:10発気仙沼行きの便からの乗り継ぎはできなくなります。
一方、陸前高田駅~陸前矢作駅間で見ると、前の便が陸前高田駅8:23発、後の便が10:33発のため、概ねその中間に便を移動させることで運転間隔を均等化させる形になります。

盛駅発15時台の時刻変更
その他、いくつかの便で数分~10分程度の時刻変更が行われていますが、乗り継ぎの面で影響がありそうな変更としては、盛駅15:10発の気仙沼行きを15:14発に繰り下げます。
三陸鉄道で2025年11月1日に行われたダイヤ改正と合わせて、三陸鉄道列車からの乗り継ぎ時間が5分→16分に拡大されます。
また、陸前高田駅では陸前矢作駅発の便からの乗り継ぎが可能になります。現行ダイヤでは、陸前矢作駅発の便の陸前高田着、およびこの便の陸前高田駅発が同じ15:53のため、乗り継ぎができるかどうかは微妙でした。

13年目を迎えたBRT
気仙沼線BRTの本開業が2012年12月、大船渡線BRTの運行開始が2013年3月なので、どちらも運行を開始して13年になります。
昨年のダイヤ改正では若干の減便があり、今回はダイヤ上の減便はありませんでしたが、伝聞によると新しく中型路線バスが導入されているそうです。これまで気仙沼線BRT、大船渡線BRTはいずれも大型路線バスに統一して運行されてきましたので、車両の面でコストダウンを図っているということかもしれません。
また、陸前高田駅に設けられているみどりの窓口は、近年は毎日営業していましたが、2025年9月1日以降は週3日の営業に変更されています。

震災復興支援ということもあってか、手厚いサービスを継続してきたBRTですが、減便や車両サイズの小型化、窓口営業の縮小というように、徐々にサービスの縮小が進んでいます。
津軽線(蟹田~三厩間)での、バスやデマンドタクシーへの転換や、久留里線(久留里~上総亀山間)でのバス転換においては、JR東日本は18年という年数を定めて、転換後の交通を支援することになっています。このことを考えると、その18年という数字に近づいていくこれからのBRTも、急にサービス終了ということはないでしょうが、さらにいろいろな変化が出てくるのかもしれません。
一方で、2025年2月から3月にかけて発生した大船渡市の大規模山林火災に対して、JR東日本は大船渡線BRTのバスに応援ヘッドマークを掲げ(本記事の冒頭の写真)、観光支援、産業復興支援など様々な取り組みをしています。BRTであってもJR東日本の営業エリアだということがはっきりと表れている一例です。
BRTと地域の関係がどのようになっていくのか、ダイヤの面も含めて、引き続き見ていきたいと考えています。