君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

気仙沼線・大船渡線BRT 今春開業する新駅と、新規BRT専用道の動き

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大谷海岸駅~陸前階上駅間で完成したBRT専用道を進むバス

毎年、JR各社では3月にダイヤ改正を行っていますが、今年は3月12日(土)に行われること、そしてその内容が昨年12月にすでに発表されています。

コロナ禍の現状、および今後の需要動向を踏まえ、多くの路線で減便や減車などが行われることが特徴となっています。

一方、JR各社の中でも、JR東日本のBRT路線(気仙沼線BRT・大船渡線BRT)だけはいつも発表の時期が遅く、例えば2019年は2月14日、2020年は1月22日、2021年は1月28日の発表となっていました。

今年もまだ詳細な情報は発表されていませんが、この春に開業予定の新駅についてはすでに昨年6月に発表されて報じられています。

trafficnews.jp

新たに開業することになっているのは気仙沼線BRTの大谷まち駅(大谷海岸駅~陸前階上駅間)、東新城駅不動の沢駅~気仙沼駅間)と、大船渡線BRTの内湾入口(八日町)駅(気仙沼駅鹿折唐桑駅間)の3駅です。

このうち、大谷まち駅は新たに供用されるBRT専用道に設けられることになっていましたが、このBRT専用道については先行して、昨年12月27日に供用が開始されました。

sanrikushimpo.co.jp

これによって、気仙沼線BRTについては当初計画されたBRT専用道がすべて完成したとのことです。

これらの動きについて、1月10日に現地で見てきましたので紹介したいと思います。

大谷まち駅

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開業待ちの大谷まち駅を通過する気仙沼線BRT

大谷まち駅は、大谷海岸駅と陸前階上駅の間、大谷漁港近くで開業する予定です。位置は下図の通りです。

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これまで、大谷海岸駅から陸前階上駅付近まで、細い赤線の国道45号を走行していましたが、BRT専用道(青線)が供用開始され、BRTはすでにそちらを走行しています。

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大谷まち駅の全景

上の写真が開業を待つ大谷まち駅の全景です。すでに工事はほぼ完了しているようです。ただ、バスロケーションシステムのモニターは見えなかったので、今後取り付けるのかもしれません。

これまでのBRT専用道に設けられた駅と大きく異なるのは、上屋が片面(気仙沼方面行き)にしかないということです。

直近で開業したのは2020年3月の赤岩港駅(気仙沼線BRT)、陸前今泉駅・大船渡丸森駅・地ノ森駅・田茂山駅(大船渡線BRT)ですが、これらは一般道にある陸前今泉駅も含めて、すべて両側の乗降場に上屋が設けられ、陸前今泉駅・大船渡丸森駅には待合室も設置されました。それらと比べると、だいぶ簡素化されている感じがします。

実用性の面から言えば、上屋があるベンチでバスを待ち、バス接近のアナウンスがあれば反対側の乗り場に移るということで問題ないのかもしれませんが、雨の日なんかは短時間とはいえ傘をさして待たないといけないことを考えると、ちょっと使いにくい気はします。

ただ、以前に見た事例で言えば、茨城県日立市で運行されている、日立電鉄廃線跡を活用した「ひたちBRT」でも同様の構造だったので、特別設備が劣っているというわけでもありません。いわゆる「請願駅」(地元自治体の要請により開設する駅)であれば、地元がどれだけ費用を出せるかというところにもかかってくるのでしょう。

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ひたちBRTの日立商業高校停留所。上屋は片面のみで、ひたちBRTの多くの停留所に共通する構造。

新しいBRT専用道(大谷海岸駅~陸前階上駅間)

先にも書いた通り、大谷まち駅を含む大谷海岸駅~陸前階上駅間で、新たにBRT専用道が完成し、供用が開始されています。

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大谷海岸の海岸線付近に、BRT専用道の出入口が設けられています。

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大谷まち駅の南側では、大谷漁港に繋がる道路らしきものが造られていますが、まだ土を盛って造成中という状態。BRTのアンダーパスだけが完成していてそこを通り抜けていくという、なんか凄いことになっています。

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大谷漁港。小さな入り江に設けられたのどかな港です。

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この新規専用道の区間では、沖ノ田川を渡る橋が架けられています。その沖ノ田川を渡るところを南側から撮影。背後には大島の亀山が見えます。

5月頃、緑に覆われる時期になったらまたここで撮ってみたいと思っています。

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沖ノ田川から北側、陸前階上駅にかけては農地の中を走るので、これも季節が変わったらどう風景が変わるかというのも楽しみです。

新城駅

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工事中の東新城駅

新城駅は、気仙沼線BRTの不動の沢駅~気仙沼駅間の専用道上、国道45号と並行する箇所に設けられます。

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こちらはまだ工事中で、最終形は見通せませんでしたが、片側(柳津方面)だけ上屋ができているのを見ると、おそらく大谷まち駅と同様、片面だけ上屋ができる形になるのかな、という気がします。

なお、気仙沼駅の東側の車庫にはBRT用のバスポールが並べられていますが、その中に「東新城」と書かれているものを見かけたので、工事が完成したら置かれるのだろうと思います。

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気仙沼駅の東側の車庫に並べられているバスポール。一般道から専用道に移転したり、待合設備ができたりして不要になった駅のものが保管され、臨時の迂回運行などで利用される。

内湾入口(八日町)駅

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工事が完了していた内湾入口(八日町)駅。バスポールが置かれているだけ

大船渡線BRTの気仙沼駅鹿折唐桑駅間に設けられる内湾入口(八日町)駅は、安波山の麓、気仙沼市役所の裏手に作られています。

もともと信号付きの待避所があり、その両側に乗り場を設ける形になっています。

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「(八日町)」はこの地区の地名ですが、「内湾入口」は、地図の右下の港湾地区を「内湾(ないわん)」と呼び、気仙沼を代表する観光拠点になっていることから、その最寄りという意味で付けられるものだと思います。

これまで、JR線から内湾へのアクセスは少々不便で、気仙沼駅から路線バスに乗り継ぐなどする必要があったのですが、この駅ができることで徒歩10分以内で到達できるようになります。

また、徒歩3分ほどの市役所前にあるバス停は路線バスや高速バスの大半が集約されており、例えばミヤコーバスの仙台~気仙沼線大船渡線BRTを乗り継げるようになるので、仙台と陸前高田・大船渡方面の往来の選択肢にも入ってきます。

さらに、気仙沼市役所は近い将来移転することが決まっています。その跡地利用と地域の活性化が課題となっており、この駅は移転後の町づくりを見据えて設けられた面もあります。

そうした、いろいろ重要な役割を担う駅……だと私は思っているのですが、この駅はなんと両面とも上屋すらなく、バスポールが置かれるだけとなっています。

上屋がないということは、バスロケーションシステムのモニターもおそらく置けないでしょう。設備レベルとしては、一般道にバスポールだけ置いた駅(唐桑大沢駅や西下駅)と変わりません。なんでこんな簡素なつくりにしているんだろう、というのが不思議でなりません。

ただもしかしたら、市役所移転後の町づくりのあり方に応じて、設備を増設するようなこともあるのかもしれません。

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駅の横の木造の建物は市役所第2庁舎。かつて学校として建てられ、その後転用された

まとめ

以上、BRT路線の最近の動きである、開設予定の3駅と新たに供用開始されたBRT専用道の状況について紹介しました。

気がかりなのは駅設備が簡素化される傾向があるのかな、という点です。これまで気仙沼市が要望してきた新駅が、気仙沼向洋高校前を除いて(陸前階上駅から近い、という理由で却下されている模様)今回ですべて実現する形になるので、今後新駅が追加されるのかどうかもよくわかりませんが、今後新駅ができるとしたら、その傾向も含めて動向が気になるところです。