君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

大船渡線BRTから気仙沼線BRTへの直通運転

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大船渡線BRTから気仙沼線BRTへ直通する便。気仙沼駅にて撮影

東日本大震災の後、気仙沼線の前谷地~気仙沼間、大船渡線気仙沼~盛間がBRTとして運行されていますが、これまで、両線は気仙沼駅で専用道がつながっていたものの、直通運転は行われていませんでした。

実際には、バスは鉄道車両と違い、駅でそのまま折り返し運転ができないため、気仙沼駅に到着した便は、どちらも相手側の専用道に少し乗り入れて転回して戻ってくるのですが、営業運転としては乗り入れは行われていなかったわけです。

JRが運行業務を委託しているのは気仙沼線BRTがミヤコーバス、大船渡線BRT*1岩手県交通であり、両者のバスは宮城ナンバーと岩手ナンバーで分かれており、車内の運賃表示も各線内で完結しています。

つまり、気仙沼線BRTと大船渡線BRTは専用道はつながってるし車両も似ているのに、いろいろな面で完全に区切られていたのですが、今年の3月14日のダイヤ改正によって、平日の朝1便だけではありますが、大船渡線BRTの鹿折唐桑駅から、気仙沼駅を直通して気仙沼線BRTの本吉駅まで運行される便が設定されました。

(平日のみ運転)鹿折唐桑 6:59-7:03 気仙沼

→(毎日運転)気仙沼 7:05-7:45 本吉

この便は、気仙沼線BRT内は毎日運転ですが、主に通学の利便性向上を目的に、平日に限って鹿折唐桑始発となります。

これまで完全に区切られていた両線の直通運転はどのように行われているのか。以下のような点が気になります。

  1. 鹿折唐桑への回送は?
    考えられるのは「気仙沼から専用道を通ってくる」「一般道を通ってやってくる」の2つです。
  2. 気仙沼線大船渡線のどちらの車両が使われるのか
    おそらく、運行形態からいって気仙沼線の車両だと思いますが、一応押さえておきたいポイントです。
  3. 運転手は全線乗り通すのか、気仙沼駅で交代するのか
    停車時間が2分なので交代は大変だと思いますが、気になるところです。
  4. 直通乗車する際の運賃取り扱いはどうなるのか
    両線の便を気仙沼で乗り継ぐ際には、先に乗った便で行先駅まで運賃精算して、精算済証明書を発行してもらって後の便で提出する、という面倒な手続きが必要になります。直通運転の場合は?
  5. 側面の4列表示(運行区間表示)はどのようになるのか
    予想としては「鹿折唐桑気仙沼陸前階上→本吉」でしょうか。

3月23日、平日に滞在できる機会を得たので見てきました。

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大船渡市内に滞在していたこの日。大船渡駅から5:32発の気仙沼行きで鹿折唐桑へ向かいます。

冬は真っ暗だったこの時間帯も、少し明るくなってきていました。

鹿折唐桑への回送は?

6:34に鹿折唐桑に到着。本吉行きの出発は25分後です。

駅から3分ほどのところにある、専用道も一般道(県道)も俯瞰できる場所に移動して待ち構えます。

なかなか来なくて焦りますが、5分前になって一般道からようやく登場しました。

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バスは駅前までやってくると、ロータリーでいったん停車した後(おそらく行き先表示などを整えてだと思います)駅に入ってきました。

時間がないので私も急いで駅に向かいます。

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参考として、別の日に撮影した鹿折唐桑駅前のロータリー。右上の方に遮断器があり、ここで専用道と出入りする形になります。

乗客は私の他は、同じように直通運転の様子を見に来られたと思われる別の男性の方のみ。

本当なら学生さんが乗車するのでしょうが、春休みなのかウイルス対策で休校中なのか、まあいずれにしてもとにかく誰もいませんでした。

気仙沼線大船渡線のどちらの車両が使われるのか

鹿折唐桑を出たバスは、そのまま普通に専用道を進んで気仙沼に到着。

気仙沼駅では、1番線に大船渡線BRTの降車場所と気仙沼線BRTの乗車場が直列に並んでいますが、降車場は通過し、そのすぐ先にある気仙沼線BRTの乗車場に停車しました。

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私はここで下車です。気仙沼駅のコインロッカーに大きい荷物を預けて、大船渡に戻ってホテルをチェックアウトし、そしてこの日、大船渡駅前で行われた東京オリパラの聖火の展示イベント「復興の火」を見る、というアクロバティックなスケジュールだったのです。

さて、乗車してきたバスは上の写真の通り宮城ナンバー。ヘッドマークも「気仙沼線BRT 運行開始」*2。予想通り、気仙沼線の車両が使われるということで間違いなさそうです。

鹿折唐桑駅に一般道からやってきたのは、気仙沼駅を経由せず、ミヤコーバスの営業所(南気仙沼駅付近)から直接やってきたと考えるのが自然なのでしょう。

運転手は全線乗り通すのか、気仙沼駅で交代するのか

特に交代はせず、そのまま発車していきました。

一度、気仙沼線BRTの本吉駅で乗務員交代するのを見たことがありますが、乗務員が交代した後、なにしろクルマなので、運転席周りのセッティングを微妙に調整しないといけないんですね。鉄道の感覚で見ていると盲点になりやすいところ。

そんなわけで、2分の停車時間では交代は無理だと思います。安全上の観点で。

直通乗車する際の運賃取り扱いはどうなるのか

これは、今回一番感心したところ。

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車内前方の運賃表示ですが、鹿折唐桑~本吉の専用パターンがちゃんと用意されていたのでした。なので、直通乗車でも安心です。

側面の4列表示(運行区間表示)はどのようになるのか

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こんな感じでした。

まさかの気仙沼飛ばし。気仙沼ではなく、次の駅の不動の沢が表示されていました。

不動の沢陸前階上とも高校の最寄り駅なので、それを優先したのでしょうか。少し気になるものの、こんなことを駅員さんや運転手さんに聞くわけにもいかず、永遠に謎のままで終わりそうです。

 

以上、気仙沼線BRT・大船渡線BRTの直通運転についてお伝えしました。

単に1駅延ばしただけですが、「鹿折唐桑始発」という設定もおそらく初めてだし、車内の運賃表示も専用パターンが用意されているし、いろいろと手間をかけて準備されていることが窺えました。

*1:上鹿折発着便を除く。上鹿折発着便は、ミヤコーバスの一般バス路線をBRT扱いとして営業。

*2:この「運行開始」のヘッドマーク、いつまで付けてるんだろうと思いますが……。