気仙沼線BRTの志津川駅前、宮城県南三陸町の中心部に「南三陸さんさん商店街」があります。
BRTの駅からすぐで、豊富な飲食店の他にコンビニもあり、フードコートやトイレも用意されているので休憩にも便利。観光案内所もあるので、観光の拠点として私もよく利用しています。
もともと、今の場所は東日本大震災で被災し、川の上流に遡ったところに仮設商店街として2012年2月にオープンしていました*1。今の場所に本設商店街がオープンしたのは2017年3月。30店舗ほどが集まる大型の商店街として、日中にはいつも賑わいを見せています。
2019年10月~12月にかけて何度か訪問したので、その範囲でご紹介したいと思います(基本的に食べ物がメインになります)。
- レンタサイクルも南三陸さんさん商店街で
- 木の温もりと全体的な一体感が醸し出す居心地の良さ
- 南三陸町の名物、南三陸キラキラ丼とさんこめし
- スイーツ、スナック、惣菜系。気が付けばどれもタコ。
- 目に焼き付けておくべき、震災の記憶
レンタサイクルも南三陸さんさん商店街で
BRTで志津川を訪れ、さらに付近へ移動するならレンタサイクルが便利です。
私が「南三陸町 レンタサイクル」で検索するとハマってしまったので最初に書いておきますが、レンタサイクルもこの南三陸さんさん商店街にある観光案内所(インフォメーションセンター)で借りられます。
Webで表示される検索結果から情報を調べていくと、「南三陸ポータルセンター」というところで借りられるように見えます。
上のページ、よく見ると下の方の「お問い合わせ先・貸出」には「南三陸さんさん商店街内インフォメーションセンター」と書いてあるのですが、ページの上の方の写真に映っているのが「南三陸ポータルセンター」なので、そちらを見て早合点してしまいそうになります。
商店街の方のWebサイトにはレンタサイクルに関する記述がないので、それも勘違いに拍車をかけてしまいます。
それで、川沿いに1.5kmほど遡って南三陸ポータルセンターを訪ねたところ、「もう町の中心が移ったので移転したんです」とのことで、ありがたいことに商店街まで車で送っていただけましたが、Webサイトの更新が追い付いていないようで、いろいろと紛らわしいのでご注意ください。
なお、料金は普通の自転車(変速付き)が500円/3時間、電動アシスト付きが700円/3時間になります。
木の温もりと全体的な一体感が醸し出す居心地の良さ
商店街の全体的な外観や特徴などについて紹介します。
看板と広い駐車場。昼前になると車が続々とやってきます。
国道45号側から歩いて入っていくとまず目に留まるのが、この巨大なモアイ像。
南三陸町の名物であるモアイ像ですが、その中でもひときわ巨大でシンボルとなるのがこの像です。
チリ地震津波以降の縁があるという由来については下記をご覧ください。
商店街の外観は以下のような感じです。
南三陸杉を使用した建物に、飲食店、日用品店、コンビニ、お土産屋、鮮魚屋などが軒を連ねます。
商店に囲まれた中央にあるフードコート「さんさんコート」(写真右側)。これは10月下旬の撮影。
こちらは11月上旬の撮影。上と比べると、周囲に窓や扉がはめ込まれたのがわかります。基本的には開放感を重視しつつも、寒くなる時期にはこうして防寒対策も採られています。
周辺のお店で買ったものを食べたり、一部の飲食店では店内ではなくここで食べることもできるようです。
さんさんコートはイベント会場にもなります。中にはストリートピアノも置かれています。
年の瀬には各店舗で参加券が配られる抽選会が催され、とても賑わっていました。賑わい過ぎているので後で行こうと思ったら、もう抽選会は終わってしまっていました。残念。
さんさんコートの中には小型のモアイ像(最愛像)と、タコの像があります。なんでも、タコは英語でオクトパスなので「置くとパス(合格)」という縁起物なのだとか。
冬には国道に面した場所にイルミネーションが置かれます。
てっぺんに、さんさんと輝く太陽がデザインされているのがほっこりします。
全般的な印象として、
- 木の温もりを感じられる建物。
- 店舗の先に庇が張り出し、縁側を設けることで、通路と店舗の明確な仕切りをなくし、それが中央のさんさんコートを包み込む形で商店街全体に一体感が生み出されている。
- モアイ像、タコ、太陽といった明るくユーモラスなモチーフが各所に配置されている。
ということで、非常に居心地がいい場所だと思います。
滞在中、ついつい立ち寄ってしまうのはこうした魅力があるからなのでしょう。
南三陸町の名物、南三陸キラキラ丼とさんこめし
南三陸町の名物となっている「南三陸キラキラ丼」。1/18~2/2の期間で運行される、山手線の「行くぜ、東北。SPECIAL 冬のごほうび」キャンペーンのラッピング列車にも、掲出素材の1つとして南三陸キラキラ丼が用いられています。
提供しているのは南三陸さんさん商店街だけではないのですが、この商店街で提供している店舗が多く、まずはここに来れば間違いない、という感じです。
ご当地メニューによくある、「メニューの骨格を決め、後は参加店舗で工夫した料理を提供する」というパターンですが、南三陸キラキラ丼の特徴は「季節ごとに内容が変わる」という点にあります。
- 3月1日~4月30日 「キラキラ春つげ丼」
春野菜と旬の海産物をふんだんに盛り付けた丼 - 5月1日~8月31日 「キラキラうに丼」
南三陸産のウニを贅沢に盛り付けた丼 - 9月1日~10月31日 「キラキラ秋旨丼」
秋が旬の味覚を盛り込んだ丼 - 11月1日~2月28日 「キラキラいくら丼」
南三陸産のイクラが覆いつくす丼。もともとはイクラが光り輝くさまから「キラキラ丼」と名付けられたそう。
商店街の中の「かいせんどころ 梁」さんでキラキラいくら丼をいただきました。
味はどの店も甲乙つけがたいのですが、こちらは桶に盛り付けられているのが特徴で、見た目にも楽しい一品になっています。
季節によってメニューは変わるし、また店ごとにも違いがあるので、何度リピートしてもそうそう飽きないというのはうまい仕掛けだと思います。
もう1つの看板メニューになりつつあるのが「さんこめし」です。
こちらは弁慶鮨さんでいただきました。
「はらこめし」「あなごめし」「たこめし」の3つを合体させたのが「さんこめし」。ご飯はそれらのだしをベースにした炊き込みご飯ということで、海鮮丼によく用いられる白飯や酢飯とはまた違う美味しさがあります。こちらは10/1~2/29の秋冬限定とのこと。
もちろん、他にも豊富な海鮮メニューがあります。
休日の昼間はとても混雑して、11時の開店と同時ぐらいに行く勢いじゃないと待たされることもありそうですが、夜はそうでもないので、ゆっくり食べたいなら夜が狙い目です。
スイーツ、スナック、惣菜系。気が付けばどれもタコ。
バス待ちなど、ちょっと時間がある時にゆっくりするための惣菜やスイーツの店もあります。
山内鮮魚店さんの「たこカレーパン」「さばカレーパン」(左側)と、海鮮マルセンさんのカキフライ(右上)、かまぼこコロッケ(右下)。
たこカレーパンは、風味としては普通のカレーパンっぽいのですが(タコが入っているのかはよくわかりませんでした)、衣の部分が真っ赤で、「ああ、タコだw」という感じの見た目です。
さばカレーパンは、これはしっかり鯖の味がします。カレーパンに違和感なく溶け込んで美味しかったです。
カキフライは、当日風がとても強くて、店からさんさんコートに持ってくるまでの間に冷めてしまっていたので正直微妙でしたが、かまぼこコロッケは「あり」だと思いました。ジャガイモの代わりにかまぼこを使い、刻んだ野菜を混ぜて揚げてあります。かまぼこの柔らかい食感は、ジャガイモのホクホク感と置き換えても遜色ありません。
写真で2つのコロッケの形が違うように見えるのは、ノーマル味とチーズ味で形が違うためです。
こちらはマルセンさんのタコバーガー。
タコのメンチカツをタルタルソースで味付けしています。シンプルなバーガーですが、タコの旨味が感じられて、タルタルソースとも好相性でした。
菓房 山清さんの「タコぷりん」と「仙台いちごのバターサンド」。
こちらの名物と言えばタコぷりんで、名前はプリンですが要は刻んだタコを入れたキッシュです。
「生地に刻んだタコを混ぜて焼く」という意味ではたこ焼きと同類と言えるかもしれませんが、タコがキッシュの生地と違和感なく溶け合ってとても美味しいです。
こちらはVegeCafeさんのタコソフトクリーム(左)と梨ジュース(右)。
下の赤い部分はトマトのコンポートとのことで、タコ成分はカップの絵柄とトマトの色だけです。
コンポートによって薄く甘みをつけているからだと思いますが、トマトの酸味が抑えられ、えぐみもなく、トマトの果実のおいしさとソフトクリームのハーモニーを楽しむことができます。
梨ジュースはしぼりたてジュースなのですが、注文したら、まず梨を冷蔵庫から取り出してナイフで切るところから始まったのでびっくりしました。適当な大きさに切り、種を取って、皮はそのままでミキサーにかける。確か最後はそれを濾していたと思いますが、それだけ手間をかけて提供されるので、先に渡されたタコソフトクリームの方が溶け始めてしまってるわけです。
目に焼き付けておくべき、震災の記憶
商店街には、写真屋さんが1軒あります。いわゆる町の写真屋さんなのですが、以前の町の様子、震災で津波が町を襲った瞬間、そしてそれ以降の復興の過程をずっと記録されていて、「南三陸の記憶」として常設の写真展を設けられています。
「以前はこの10m真下に店がありました」という紹介文にはドキッとさせられます。
内部の展示は撮影禁止ですが、外に展示されているこの2枚が、まさに写真展の象徴と言えるかと思います。
ポストカードが販売されているので、昔の気仙沼線が被写体になっていた3枚を購入しました。
私もいろいろと写真を撮っていますが、写真展を見ていると、「写真を撮ることの意味」を考えさせられます。
もちろんいい写真を撮るという自己満足の面はあるのでしょうが、それだけではなく、誰に何を伝えるために撮るのかということも意識していければ、と考えたりしました。
以上、志津川駅前にある「南三陸さんさん商店街」の紹介になります。
何度も訪れている分、分量がとても多くなってしまいましたが、他にもまだまだお店がありますので、機会があれば立ち寄ってみていただければと思います。
南三陸町のもう1つの商店街、南三陸ハマーレ歌津は下記の記事をご覧ください。
*1:仮設時代の場所はこちら。