※本記事は2017年5月の記録になります。
富士山というと登山、というイメージですが、頑張って山頂まで登山をしなくても、富士山を楽しむ方法はいろいろとあります。
そのうち、山梨県側から日帰りで訪問した日のことを書いておきたいと思います。
麓の河口湖駅へはJRと富士急行を利用。河口湖駅での記録は下記記事をご覧ください。
吉田口五合目へ
河口湖駅から路線バスに乗り、吉田口五合目を目指します。富士山駅を経由し、麓から五合目まで整備された「富士スバルライン」を通っていきます。所要時間は65分。
この日は、一応「晴れ」というべき天気でしたが雲が多く、道中で雲に突っ込んでいく形となりました。
基本的な話になりますが、富士山にはいくつかの登山ルートがあります。分類は諸説あるようですが、オフィシャルな紹介としては北から向かう「吉田ルート」、東から向かう「須走(すばしり)ルート」、東南から向かう「御殿場ルート」、南から向かう「富士宮ルート」の4つがあります。
それぞれのルートの五合目、2000mを超えたあたりまでは車で行くことができますが、そこから先は自力での登山。概ね一合ごとに小屋が設けられています。
最近話題になっているのは、このうち吉田ルートの五合目まで登山鉄道を敷設しよう、という話ですね。
「富士山登山鉄道」構想がいよいよ発車 霊峰の麓から5合目
富士山の山梨県側の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道」構想が再び動き出した。1月の知事選で初当選した長崎幸太郎知事の「検討する」という公約を受けて、県は有識者による勉強会を開き、6月補正予算案に基本構想策定費として約4175万円を盛り込んだ。2年後をめどに基本構想をまとめる方針だ。
この記事には、「関係者によると、今回の構想検討は首相官邸筋から長崎氏に依頼があったという。」という記述もあり、にわかにきな臭くなってきた感もありますが。
この件についてはどこかで論じる機会もあるかもしれませんが、とりあえず、そんなに夢のようにうまくいくとは思えないです、ということだけ書いておきたいと思います。
富士山への登山道は、どこもサイクリングロードにもなっているようです。歩道などない路側を数多くの自転車が登っていきます。中には、疲れてふらついている人もいます。
路線バスは、左側のそんなサイクリストを避けつつ、右側の対向車に注意しつつ、時折急カーブが連続する道を進んでいきます。運転手にしてみれば慣れたものかもしれませんが、私から見れば神業級です。
五合目が近くなると観光バスなどが駐車場にだいぶ停まっていましたが、駐車渋滞というようなことはなく、終着の「富士スバルライン五合目」バス停に無事到着。
広場は、団体客などひしめき合って大混雑していました。
麓よりはちょっと寒い(日によって寒さ加減が変わるかもしれませんが)ので、羽織れるものは必要です。また、手軽に行けると言っても2000mを超える高所になり、高山病のおそれもないわけではないので、体調には要注意ですね。
別に人混みを見に来たわけではなく、ここから見える眺望などを楽しみにしていたので、レストランに入って2階に上がります。
そこでいろんな注意書きを見て初めて知るのですが、ここには水道も電気もガスも通っておらず、水や発電用の燃料やガスは麓から毎日輸送してくるそうです。
上に書いた鉄道構想に関して、架空線集電だと架線柱を立てる必要があり、気動車だと環境問題への懸念があるので「充電式の車両にしたらどうか」という意見も見られるのですが、そもそも五合目側には充電に使えるような物資はなく、それも麓から輸送しないといけないということは考慮が必要になりそうです。
食事をとった後、テラスから外を眺めていると、ガスが濃くなったり薄くなったり、刻一刻と状況が変わっていきます。
下の2枚は山頂側を見たもの。
ひどい時になると、すぐ下にある広場すらまともに見えません。
麓にいると上空に浮かんでいる雲ですが、今、我々はその雲の真っただ中にいるんだ、ということを実感させられます。
残念ながらまともな眺望はなかったのですが、こういう状況を体験できたということだけでも有意義だったと思います。
少し下って四合目へ
さて、路線バスで少し下の「四合目大沢展望台」へ向かいます。展望台ということでどんな眺望があるのか楽しみだったのですが、五合目のこの様子では期待薄でしょうか。
バス停近くには、こじんまりとした休憩所と小さな駐車場があります。
訪れる人はほとんどなく、休憩所には軽食や飲み物もあるので、五合目の人混みとはうって変わってのんびりと休憩できる場所です。
これも山頂側。五合目ほどではないにしろ、やはりガスが覆っていて視界は望めません。麓側を撮った写真がないということは、きっと推して知るべしな状況だったのでしょう。
ただ、時間がたつにつれてこうして視界が開けることもあり、時折山頂が顔を出していました。
木がない場所は雪崩のルート。ここを雪崩が襲い、休憩所が損壊したこともあったそうです。付近には雪崩で木々がなぎ倒された痕跡も残されていました。
そのうち、下山するバスがやってきたので河口湖駅へ戻りました。
河口湖・西湖の湖畔と富岳風穴
富岳風穴 | 富士山の洞窟 天然記念物 富岳風穴・鳴沢氷穴 | 富士山・河口湖 洞窟 観光スポット
基本的には近くにある鳴沢氷穴とセットなのですが、この時はそちらは見送りました。
河口湖駅から、河口湖・西湖の湖畔を進むバスに乗ります。
美しい山並みと湖岸の風景が展開し、見飽きることがありません。
そして、富岳風穴バス停で下車し、風穴へ向かいます。
ここにもいろいろな案内があり、やはり富士山の山麓ならではの造形もあったりするのでした。
RPGの樹林のダンジョンとして出てきそうな風景。
こうして歩くこと10分ほど。
入口手前で入場券を買い、先に進みます。
入口には小さな社があります。
入ってすぐのところにある氷柱。風穴の中は夏でも涼しく、氷が解けることがないそうです。
ライトアップされた幻想的な美しさ。
縄状溶岩と呼ばれる形状。先に流れ出した溶岩の流れが遅いところに、後から次々押し寄せてきた溶岩が盛り上がることで形成されたそうです。
奥の方は天然の冷蔵庫として、種子などの保存に活用されていたそうです。
手書きの毛筆の文字に時代を感じます。
一通り見て風穴を出た後、バス停近くにある売店で富士宮焼きそばをいただいて、河口湖駅へ帰りました。
帰りのバスの車中、富士山を覆っていた雲がだんだんと取れてきていることに気づきました。
河口湖駅の記事にも貼りましたが、駅に戻ってみるとこんな素晴らしい絵が見えたのでした。
この日、五合目・四合目からの眺望はあいにくでしたが、そのもどかしさもまた新鮮でした。
湖畔の風景や神秘的な風穴も堪能でき、とても楽しかったので、この時回れなかったところも含めて、いつかまた訪れたいと思っています。
眺望についてはリベンジのために翌週、御殿場から須走口へ向かったので、改めて別の記事にしたいと思います。下記をご覧ください。