JR大船渡線の気仙沼~盛間は東日本大震災以降、BRT(Bus Rapid Transit)で運行されていますが、そのルートは鹿折唐桑~陸前高田間で大きく変わりました。
山側のグレーの線が鉄道で運行されていた路線、海側の赤線が、一般道経由となった大船渡線BRTのルートになります。
鹿折唐桑~上鹿折間は並行するミヤコーバスの路線(ピンクの線)をBRTとして利用し、陸前矢作~陸前高田間はBRTの支線のような形で運行されています。
そして、中間の上鹿折~陸前矢作間はルートが途切れる形となりました。
この両端となる上鹿折駅、陸前矢作駅を訪ねてみると、鉄道駅のホームが残されていました。
以下は2019年10月時点の状況になります。
上鹿折駅
上鹿折駅前には鉄道と並行する県道があり、ミヤコーバスの路線バスが運行されています。
気仙沼駅前を14:00に出るバスに乗車し、上鹿折駅前で下車。少し先の鹿折金山前停留所で折り返してすぐにやってくるので、滞在時間は13分しかありません。それを逃がすと2時間20分後になります。
そこから鉄道駅の方に向かうと、ホームの手前にレンガの見た目も真新しそうな小さい駅舎。入り口や窓が板で打ち付けられていたのが切ない姿です。建物自体は潰すほどでもなく、何か別の用途に使うことも想定しているのかもしれません。
別角度から撮影。手前の白いポールは、ここに乗車券を入れて回収するものだと思います。
気仙沼方面ホームにある待合室。こちらも板が打ち付けられていました。
白く塗られた木の壁は、現役の古い駅のような感じを醸し出しているのですが……
ホームも線路も現役当時のまま残されています。ただ、放置されたせいか、ホームの一部が崩れてへこんでいるのも見えます。
陸前矢作方面の線路は柵で遮断されていました。
こちらは気仙沼方面。植物に覆われてしまい、柵に遮断されているのかどうかもよく見えませんでした。
陸前矢作駅
周囲はこんなのどかな集落が広がります。
バス転回場も整備されたBRTの陸前矢作駅。BRTのイメージカラーである赤のサインがとても目立ちます。
鉄道駅のホーム。この駅は上り上鹿折方面と下り竹駒方面のホームが縦にズレて配置されており、BRTの駅前スペースとして整地された下り方面の線路跡からは、目の前に上りホーム跡を見ることができます。
こちらの駅は、上鹿折よりも植物に覆いつくされている感が出ていました。
待合室は上鹿折駅とよく似ています。こちらも板が打ち付けられていましたが、白の塗装が比較的綺麗なまま残っています。
ホームにあったもう1つの駅名標。こちらは支柱が傾いており、植物が絡みついて朽ちつつある感が出ているのですが、その後ろでは柿が見事に実っていました。
上鹿折方面の線路。標識も踏切も、信号機も、森の奥に向かう線路もそのままなんですよね。
陸前矢作駅の駅舎。以前の写真を見ると上鹿折駅と同様に板で塞がれていたようですが、私が訪問した際には待合室として活用されていました。
BRTの陸前矢作駅は最初、少し東側の一般道上にありました。その時は使われておらず、専用道と駅が整備された時に利用を再開したのかもしれません。
どちらの駅も、8年以上使われていない割には意外に綺麗で、実はなぜか定期的に手入れされているのではないか、と感じたのが印象的でした。
他にも気仙沼線BRT・大船渡線BRTの沿線には、鉄道を思い起こさせる鉄橋跡や盛り土、使われなくなったホームなどが各地にあります。
そうしたところを訪ねてみるのも1つの楽しみ方だと思います。