JR掛川駅の北口を出て、まっすぐ北に進むと、10分ほどで山内一豊が建立した名城・掛川城があります。
緑橋と書かれた橋を渡ると城郭へ。
城郭の中は「掛川城公園」として整備されており、こうした広場もあります。キャッチボールをする親子、何か話をしている学生さん、思い思いの過ごし方を。
公園内には様々な施設があるのですが、この後、天竜浜名湖鉄道に乗るという時間の都合もあり、「二の丸茶室」「天守閣」の2か所に絞って見ることにしました。
将棋タイトル戦でも使われる「二の丸茶室」
二の丸茶室は、茶の名産地として、茶の文化に親しむために作られた茶室。入室して抹茶・和菓子をいただくことができるほか、茶室自体や茶道具の貸し出しも行っているようです。
まずは庭を歩いてみます。
情緒を感じる作りですが、掃除用と思われるバケツと雑巾がしまわれているあたりに日常感があります。
茶室の窓から見えるところに、小さな庭園がありました。
これを茶室の中から見ると下の写真になります。
甘すぎずほどよい味わいの練り切りと、風味豊かな抹茶をいただきました。
玄関近くにはこうして土産品も売っています。
さて、ここを訪れた理由は、「将棋のタイトル戦が行われた場所」だということです。
対局時の写真パネル、棋士の揮毫などがいくつも展示されています。
羽生善治、渡辺明、久保利明、郷田真隆……いずれも今の将棋界を代表する一流棋士。その対局場所に立ち入れる機会というのはそんなに多くありません。このように数百円で立ち入れる場所というのは珍しいです。
茶室の外、天守閣のたもとにこういったものもありました。
カヤ(榧)は将棋盤に、ツゲ(黄楊)は将棋駒に使われる木です。
こういった場所にポンと植えてちゃんと育つものかどうかよくわかりませんが、9年たって順調に育っているように見えます。
茶室だけでなくこうしたものを見ることができるとは思いませんでしたが、将棋ファンにとっては訪れる価値がある場所ではないかと思います。
天守閣の威容と城下の眺望
上の植樹があるあたりから見上げる天守閣。江戸時代に地震で倒壊し、明治になって廃城となったものの、1994年に本格的な木造建築として復元されたそうです。
天守閣への入口。入ってすぐ左のところで入場券を売っています。
ひたすら石段を登っていくとこのような簡素な門が。
この辺からの眺めはこんな感じです。
間近に見る天守閣の姿。
内部に数々の展示物や紹介資料がありますが、時間がなかったのでほとんどスルー。
この図面ですが、特徴として、字の向きが統一されておらず、四方それぞれ外側から読めるように字が書かれているということがあります。
こうした図面は、伊豆の下田にある「黒船ミュージアム」で展示されていた、幕府側の資料にもありました。
まあ、少し考えてみれば推測がつく話。机に図面を広げて軍議をするシーンは時代劇などでもよくありますが、その時に四方から囲んで図面を見るので、それぞれ文字が読めるように書いていたのでしょう。
今なら、人数分コピーを取って「お手元の資料をご覧ください」で済むのですが、当時はそういうわけにもいきませんから。
東南方向の眺め。写真左側に、入口で見た広場があります。
こちらは南西方向の眺め。
特筆するようなランドマークや地形があるわけでもないのですが、この城下に江戸時代の姿を思い浮かべて支配者の気分に浸るのも、天守閣の楽しみだと思います。
公園内には御殿や美術館、花広場など、他にもさまざまな施設があり、それらをじっくり堪能すると半日ぐらいはかかるのではないかと思います。
この後に乗った天竜浜名湖鉄道については、下記記事に書きましたのでご覧ください。