※本記事の写真は2018年4月のものです。
JR豊橋駅付近を拠点とする豊橋鉄道には、渥美半島を三河田原方面へ向かう鉄道線(渥美線)と、併用軌道上を東へ向かう路面電車(市内線)があります。
市内線の正式名称は「東田本線」ですが、これは路面電車で他にも路線があった頃の名残のようで、一般的な案内上は、渥美線と対比する形で「市内線」と呼ばれています。
渥美線については下記の記事をご覧ください。
この日は、新幹線で東京→新大阪へ向かう途中の寄り道なので、列車の往復だけで沿線の立ち寄りとかは特にありません。
渥美線は「新豊橋」駅から出発しますが、市内線はズバリそのまま「駅前」停留所からの出発です。「豊橋駅前」や「新豊橋駅前」ではなく「駅前」です。潔いです。
豊橋駅から続くデッキを歩くと、こうして案内看板が見えてきます。
季節列車としてビール電車や、おでんをつつける「おでんしゃ」を運転しているようです。
駅前からは運動公園前行きに乗車。終点1つ手前の井原停留所で2方向に分かれ、1方向は赤岩口停留所、もう1方向は運動公園前停留所、どちらも終点となります。
平日の通勤時間帯でしたが、逆方向のため混んでいるということもなく、全線にわたる併用軌道上を東に進んで運動公園前停留所に到着。
停留所からは、公園でのイベント時などの増発に使う留置用の線路がしばらく延びた後、こうして横断歩道の前であっけなく線路が途切れます。道路上だから車止めとかも置けないのですが、ここまであっさりした終端を見るのは初めてだったと思います。
運動公園前→赤岩口は徒歩で移動します。
コメダ珈琲店。愛知県内だと本当にどこにでもあります。
県外に住んでいるとコメダは市街地にあるイメージなので、こうして山のふもとのような郊外にあるというのはちょっと意外な感じ。でも、それでもこうして風景に溶け込んでいるのがさすがですね。
井原停留所付近。ここで、赤岩口方面と運動公園前方面が分岐します。ちょうど、右(赤岩口方面)から左へ駅前行きの列車が通り過ぎていきました。
運動公園前方面へカーブする方には、日本の鉄道における最小曲線半径(11m)が存在することで知られる場所。そのため、このカーブを曲がれない車両もあり、運用上の制約となっています。
通り過ぎた駅前行きの列車を後ろから撮影。これは駅前方面の停留所で、赤岩口行き、運動公園前行きはそれぞれ交差点を通過した先に停留所があります。
この付近は単線で、途中にすれ違える設備もありません。終点の赤岩口も運動公園前も1線しかありません。ただ、赤岩口方面と運動公園前方面に分かれているのが列車交換の役割を果たしていて、
- 駅前→赤岩口行きの列車が通り過ぎると、それを待って運動公園前→駅前行きの列車が通り抜ける
- 駅前→運動公園前行きの列車が通り過ぎると、それを待って赤岩口→駅前行きの列車が通り抜ける
という形でダイヤが組まれています。なるほど、うまく考えているものです。
赤岩口停留所付近。帰りは停留所に見える最新鋭のLRV(T1000形)に乗りたかったので、運用を確認して狙っていました。
が、道中のんびりしすぎたせいか時間がギリギリ。ダイヤが乱れて発車が遅れていたおかげで助かりました。
こちらは、午前中に駅に向かう列車ということで、途中からどんどん乗り込んできます。立ち客で通路が埋まり、席を譲るべき方も乗ってきたのでそこからは通路に立っていきます。
途中、路面電車らしい風景としては以下のようなものがあります。
- 競輪場前停留所付近に引上げ線があり、道路沿いにまるで駐車場のような感じで車両が留置されている。
- 路線名にもなっている東田停留所には安全地帯がなく、歩道で列車を待ち、列車が来たら車道を横断して乗り込む形。
- 豊橋駅に近づくにつれて、細い街道がどんどん太い幹線道路となり、綺麗に整備された街並みに変わっていく。
豊橋鉄道が推している風景としては、途中、東田坂上停留所付近で線路が石畳で舗装されているところがあります。この区間には33パーミルの勾配もあり、車窓に変化を与える部分ではあります。
ただ、過度な期待を持たないほうがいいと思います。周囲が石畳が似合う趣ある街並みというわけではなく、単に線路敷部分が石畳になっているというだけの話ですので。
そうしてほぼ満員の中、豊橋駅に戻ってきて寄り道は終わりとなりました。