君と、A列車で行こう。

旅行などで訪問した場所に関することを綴るブログ。鉄道などの交通に関することが多めです。主にX(旧twitter)では書きにくいような長文を書きます。当面は大阪・関西万博がメイン。

【大阪・関西万博】新しい試みを導入するも、利便性はイマイチだった場内バス「e Mover」

大屋根リングの下を走行するe Moverの電気バス(2025年8月17日)

※本記事は下記の記事から抜粋したものを再編集し、さらに加筆を行ったものです。

a-train.hateblo.jp

停車場所に要注意な外周バス「e Mover」

大阪・関西万博で場内の移動手段として導入されたのは、Osaka Metroとその子会社の大阪シティバスが運行する電気バス「e Mover」です。

開幕日の4月13日、14時過ぎに入場後もしばらくは雨模様だということは予報でも出ていたので、まずは会場内の外周バスで会場をぐるっと巡ってみることにしていました。一部のバスは自動運転を行っているそうで、乗れたら乗ってみたいのですが、1便の定員が9人、しかも当日先着順で予約ということなので、まあ無理でしょうと思っていました。

「e Mover」は、1回乗車が400円で、1日乗り放題だと1000円です。いくつかの停留所の建物のデザインもいろいろと工夫されていて、それらを見るのも1つの楽しみ方だと思います。

なお、「e Mover」という名称は、Osaka Metroが推進する都市型MaaS「e METRO」にちなむものだと思います。

「東ゲート南」停留所(2025年4月13日)

e Moverとして運行されるバスのうち、自動運転バスは20分に1本、その他のバスは3~5分に1本という頻度ですが、どれも小型EVバスでの運行のため乗車可能人数が少なく、開幕日は通常バスは立っている人も含めておおむね満員で、積み残しも出るという状況でした。

また、e Moverが停まる停留所は、系統によって細かく異なっています。

e Moverの路線図。時計回りと反時計回りで停車場所が異なる点に注意
Osaka Metro 2025年3月28日プレスリリースより引用)

すべての停留所に停車するのは、会場に接する側の車線を反時計回りで走る系統です。外側車線を時計回りで走る系統は、両端のターミナルと、途中の「東ゲート南」停留所しか停車しません。

外側車線はバスのドアも外側になるので、場所によっては外側に停留所を設けるのが難しかったり、さまざまな業務用車両や緊急車両も通行する道路のため、入場者を横断させると安全が確保できないといったこともあるのでしょう。それにしても何とかならなかったのかとは思いますが。

また、自動運転バスは両端のターミナルのみ停車し、途中の停留所はすべて通過です。ですので、移動手段というより乗車体験という趣が強いものになります。

開幕日は東ゲートから入場後、「東ゲート南」停留所から反時計回りで「リング西ターミナル」行きに乗車し、そこから時計回りで「西ゲート北ターミナル」まで乗り通して会場全体をぐるっと巡りました。この2本目のバスで、予想に反して自動運転バスが予約できてしまったので乗車してみました。

e Moverを利用して西ゲート北ターミナルへ

e Moverの自動運転バス(2025年4月13日)
(左)自動運転バスの予約時に渡される乗車証
(右)自動運転バス車内のモニター。大屋根リングの下を走行中(いずれも2025年4月13日)

e Moverが走る道路は会場の構内道路なので20km/hの速度制限があり、どの車両もゆっくりと進みます。

開幕日の自動運転で気になったのは大屋根リングの下を走行する部分です。円形のリングの下を走るということは常にゆるい右カーブになるのですが、ここで不意に大きく曲がる操作をし、運転手が手動で修正するという場面が2度ほどありました。

しかし、8月24日に再度自動運転バスに乗車した際は、そういったこともなくスムーズに走行していました。この日は快晴だったので、もしかしたら開幕日は風雨の影響もあったのかな、とも思います。

e Moverについての詳細は下記ページをご覧ください。

subway.osakametro.co.jp

また、そのうち自動運転バスについては、下記ページもご参照ください。

autonomous.osakametro.co.jp

東ゲートの混雑緩和策の影響を受けたe Mover

6月頃からは、会場の東西2つのゲートの混雑度の格差が問題となっていました。Osaka Metro中央線で来場する人が事前の予測よりも多く、そのため、中央線での来場者が入場する東ゲートが混雑する一方、西ゲートは余裕がある状態が続いていました。

そういった状況から、中央線で来場した人を西ゲートへ流すため、まずは午前中の徒歩ルートの開設が6月16日に実施されました。

www.expo2025.or.jp

さらに、7月1日には東ゲートから西ゲートへバスで移動できるようになりました。この一方で、午前中(11:30まで)は東西移動ルートに重なるe Moverの一部の区間が運行休止となりました。

www.expo2025.or.jp

実際にこのバスを利用したことはないのですが、おそらく西ゲート側の降車場所がe Moverのリング西ターミナル停留所なのでしょう。停留所において、東西バスの利用者(まだゲートを通っていない人)と、場内バスの利用者(ゲートを通った人)の区別ができず、不正入場を防ぐのが難しいことから、場内バスの方を停止せざるを得なかったのだと思います。

利便性がイマイチだったe Mover

場内バスe Moverは、全車電気バス、レベル2自動運転、道路上での自動給電、といった技術を取り入れた反面、利便性の面では総じてイマイチだったと言わざるを得ないと思います。

利用者目線が欠如した停留所設定

文中にも書いた通り、e Moverは時計回りと反時計回りで停車する停留所が異なっていました。

両端のターミナルを除いて、外側の道路を走行する時計回りルートは東ゲート南停留所にしか停車しませんでした。

まともな交通事業者ならこんな設定をするはずがありません。おそらく、Osaka Metroは外側を通るバスも全停留所に停車できるよう博覧会協会に要望したはずです。しかし、e Moverが通るのはバックヤードの構内道路で、搬入用のトラックや緊急車両も通行することから、その道路を来場者が横断することを協会が頑として認めなかったのだろう、と想像しています。

構内道路を通行することによる遅さ

e Moverが通行する構内道路では20km/hの速度制限が定められていました。

一般的に構内の安全を確保するためには妥当な制限だと思います。しかし、そこで乗客を輸送するとなると、どうしても速度が遅く、ちんたらした感は否めませんでした。

速度が遅いうえに、会場の外周を移動することから、会場内を移動する徒歩ルートと比べて移動距離が長くなります。このため、

  • 施設A-施設B (直接徒歩で移動)
  • 施設A-e Mover乗車バス停-e Mover降車バス停-施設B

の移動方法を比較した時に、バスを使うメリットが見出しにくいことが多々ありました。

小型バスに起因する輸送力不足

e Moverの宣伝ポスター(2025年7月23日、Osaka Metro弁天町駅)

夏になると、Osaka Metroはe Moverの宣伝を大々的に始めました。地下鉄の駅にポスターを張り出したり、X(SNS)で宣伝広告をしたりしていました。

利用客が想定より少なくてテコ入れが必要なのかな? と思っていたのですがさにあらず。夏の猛暑の中、e Moverで暑さを避けて移動したいと考えるのは誰しも同じで、停留所には長い列ができ、何台も待って乗るということが常態化していました。

そして乗ったバスは満員で、立ったまま先述の通りのんびり走るバスで移動するということで、快適とは到底言えない状態でした。

そうなると、そもそもなぜ小型バスを採用したのかという話になってきます。Osaka Metroが導入したバスでは、桜島駅などと万博会場を結ぶシャトルバスには大型EVバスが導入されているのだから、同じバスをe Moverで使用してもよかったはずです。

結果論かもしれませんが、小型バスを採用したことによる輸送力不足が、e Moverの快適性を損ねた面はあったと思います。

乗車体験にとどまった自動運転バス

自動運転バスは途中の停留所に停車せず、両ターミナル間の移動に限られ、しかもそのターミナルは西ゲートの左右に近接して置かれていたため、実質的に乗車体験にとどまり、移動手段としてはほとんど活用できませんでした。

せめて東ゲート南停留所だけでも停車できていれば、東西間の移動に使えたのですが。自動運転システムで途中停留所の正着制御ができなかったのか、乗車管理のためにあえて途中停留所に停車しなかったのかはわかりませんが、とてももったいないと思いました。

ライトアップされた大屋根リングとe Moverの電気バス(2025年4月26日)