※本記事は、下記の記事から抜粋して再構成し、一部加筆を行ったものです。
開幕日、初パビリオンの日本館へ。物質の循環を学ぶ場
開幕日の夜、いろいろとあって会場の西から東へ迷いながら歩き通し、そして入口がわからずにさまよって、くたくたになってたどり着いた日本館。
会場マップもほとんど見なくなった今(9月1日)にして思えば、いかにも不馴れな開幕日という感じでした。
日本館は複数の同心円で構成されるパビリオンになっていて、この形状が「循環」というテーマを象徴しているようです。華やかにライトアップされる他のパビリオンと比べると地味な見た目ですが、そこが日本らしいというような気もします。
ここで学べる「循環」は、海と山と大地を巡る水の循環ではなく、物質の循環の話です。
人が廃棄したものを微生物が分解し、エネルギーや水を生み出す。水で育つ藻の力で新たな素材を生み出す。その素材をもとに日本独自のものづくりによって新たなものを作り出す。そういったことが、時に神秘的な表現を交えて説明されています。
また、循環の実演として、実際に万博会場から出たごみを微生物で分解して水を生み出し、パビリオン中央にある水盤を作り出しています。




(右)南極で発見された火星の石。その成分から、当時の火星に水があった可能性が示唆されている


後半には藻類に変身したキティちゃんや、ドラえもんの漫画などを活用したモノづくりの説明などが導入されています。もしかしたら、そろそろ飽きてきた子どもにも見てもらえるように、という工夫だったりするのかもしれません。
ものづくりでは「やわらかく作る」ということがテーマとして挙げられていて、伊勢神宮の式年遷宮、東京スカイツリーの揺れを抑えるための心柱、流れ橋、風呂敷、変身ロボット玩具といったものが紹介されています。
展示の内容はかなりボリュームがあって、正直、これらを一通り見ただけですべてが理解できるということはないでしょう。展示を見た経験をもとに、例えば上のガイドページで振り返るなどして学びにつなげるのがいいのだろうと思います。
また、後日バーチャル万博の日本館も訪ねたのですが、リアルな展示とはまた別の形で充実した内容だったのが印象的でした。
その後、海外パビリオンも多数見て回りましたが、SDGs的な内容であっても、実質的に理念を掲げるだけというようなパビリオンも少なくありませんでした。
その中では、3エリアの明確なコンセプトの設定、パビリオンでの水盤の実演、多種多様な表現など、質量ともかなり充実していて、さすがホスト国と言える内容だったのではないかと思います。