この記事は約1年前の振り返りになります。
ここのところ、ブログの更新がすっかりおろそかになっていました。
今まで、主に旅行記としてブログを書いていたのですが、それがtwitterの中でだいたい完結してしまうようになり、改めてブログとしてまとめるモチベーションが低くなってしまった、というのが大きな理由です。
かつて、旅行した経験を伝えるには文章を書くしかなく、そこに下手な写真を添える程度でしかなかったのですが、今はある程度写真で伝えることができるようになり、文章の比重が大きく下がったということがあります。
しかし、文章としてまとめておきたいようなこともありますので、そういったことはぼちぼちと書いていきたいと思います。
気仙沼の氣嵐(けあらし)を訪ねて
何度となく宮城県の気仙沼市や、その周辺地域を訪ねていることはこのブログでもご覧いただけますが、その中で一度見てみたかったのが、「氣嵐」(けあらし)と呼ばれる気仙沼湾から立ちのぼる霧の風景でした。
詳しくは下記の観光情報サイトでも特集されています。
気仙沼では「氣嵐」と表記することにしているようですが、ここでは、一般的な用語として「気嵐」と書いていきます(他に「毛嵐」と書く場合もあるようです。また、気象用語としては「蒸気霧」となるそうです)。
海面や川から霧が立ちのぼる現象はいたるところで見られ、決して気仙沼独特の現象というわけではありません。
ただ、気仙沼の特徴は、霧が発生するのが漁船が行き交う湾内であり、冒頭の写真のように「霧に包まれた海を進む漁船」という光景が数多く見られることや、市街地に囲まれた湾のため、豊富なビューポイントによって多種多様な光景が見られることがあります。
気嵐は、気温が海水温より大きく下がり、その空気が川から海に流れ込む日に発生するそうです。つまり私の理解では、まだ海水温が下がり切らない10月から12月にかけてが一番の狙い目であり、すっかり海水温が下がり切ってしまう真冬は、よっぽど極寒の日でないと発生しづらいのではないかと思っています。
昨シーズンは1度だけ、盛大な気嵐を見ることができました。観光客としては、訪ねた日に発生しないと見ることはできないわけですから、なかなかレアな経験と言えると思います。
昨年は10月中旬ごろから、わりと頻繁に気嵐が発生していたようです。天気予報を見ていると、10月24日の日曜日、穏やかな天気で最低気温が大きく下がるという予報になっていて、これは大チャンスと見て気仙沼に向かいました。
日の出前の気仙沼湾
当日の朝、最低気温は3度の予報でした。気仙沼湾近くのホテルから外に出てみると、気仙沼市魚市場の向こうの海に霧が立ちのぼっているのが見え、急いで魚市場の屋上に向かいました。
魚市場の屋上は駐車場なのですが、海側は展望デッキとなっていて、隣接する観光施設「海の市」から連絡通路を通って自由に立ち入ることができます。屋外通路なので、「海の市」が閉館している時間でも通行できます。
気嵐とは関係なく、気仙沼湾を一望するビューポイントとしておすすめできる場所です。
市場近くの岸壁にも、撮影する方が集まっていました。
日が昇る方向はすでに朝焼けとなっていて、海面から立ちのぼる霧の中を進む漁船が見られました。
日曜日で魚市場が閉まっているためか、漁船の数は少ないですが、全くないわけではありません。
気仙沼湾の朝日は、東の唐桑半島の向こうから昇るので、いわゆる「日の出の時間」よりもだいぶ遅く見えてきます。
朝日とともに訪れるクライマックス
陽光で霧が照らされると、幻想的な光景がいっそう際立ちます。
そんな中を進む一隻の漁船。その時は何気なく姿を追いかけて撮影していたのですが、後でよくよく見たら、NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」のロケで使用された船だと気付きました。
対岸の小さな漁港では、盛大な気嵐の中、防波堤の先端で釣りを始めた人がいました。なんとなく中国の水墨画のような光景だと思いました。
日が高くなるにつれ、気温が上がるので気嵐も収まっていきます。
この間、だいたい1時間10分ほど。
この日は魚市場から見ていましたが、気仙沼湾の周囲にビューポイントはいくつもあるし、北側にある安波山や震災復興祈念公園から見下ろすこともできます。
新たな気嵐の風景を見るために、今年もチャンスがあれば狙ってみたいと考えています。