月曜~土曜の朝に放送されている、おなじみNHKの朝の連続テレビ小説。
2021年春からの作品は、宮城県の気仙沼市・登米市などを舞台とした「おかえりモネ」となることが発表され、すでにロケも行われているそうです。
主人公は永浦百音(ももね)。その愛称が「モネ」です。
高校卒業までを過ごすのが気仙沼湾の沖にある自然豊かな島・大島。
前回はその大島の南端、龍舞崎(たつまいざき)を訪ねました。
今回は、気仙沼湾から大島周辺まで一気に見て知って学ぶことができる、気仙沼ベイクルーズの乗船記をお届けします。
「おかえりモネ」のロケ場所と思われるところも見ることができました。
- 気仙沼湾を巡る遊覧船
- 内湾からの出航
- 気仙沼湾を南へ
- 市場と漁船のこと
- 気仙沼湾横断橋と造船所
- 気仙沼大島大橋をくぐって大島沿岸へ
- ロケ地発見?
- 震災の影響と教訓について
- 内湾に到着
- まとめ:気仙沼について知るうえでぜひ乗っておきたいクルーズ
気仙沼湾を巡る遊覧船
気仙沼ベイクルーズは、気仙沼の内湾地区を出発し、気仙沼湾から大島の北側まで進んで折り返す、約50分のクルーズになります。
震災後は運航を休止していましたが、2015年より再開したとのことです。土曜・日曜・祝日を中心に運航しています。
運航日・料金などは下記サイトでご確認ください。
出発場所となる気仙沼エースポートは、気仙沼の内湾(ないわん)地区にあり、JRの鉄道・BRTの駅からは少し離れています。
ミヤコーバスの市内路線バス(JR大船渡線BRTとして利用できる鹿折金山行きも含む)、本吉タクシーの市内循環バス、岩手県交通の一関大船渡線などで、「魚町一丁目」もしくは「南町」が最寄りのバス停になります。
気仙沼市内の交通については、市役所の下記のページにまとまっているので参考にしてください。
もしくは、気仙沼駅前や観光施設「海の市」でレンタサイクルを利用するのもひとつの手です。
内湾からの出航
今回は、前回の記事で訪問した龍舞崎からの帰り、14:30の最終便にギリギリ間に合いそうだったので駆け込みで乗船しました。
こちらが遊覧船の乗船券売り場。購入したら目の前に桟橋があります。
出航時間が近づいているので、とりあえず撮るだけ撮ってそそくさと乗船。
1階席は、まるで鉄道のような座席が並んでいました。
出航すると、案内係の方から、沿岸の風景に合わせてさまざまな案内があります。
以下、記憶をもとに書いたのでもしかしたら誤りがあるかもしれませんが、その内容に沿って紹介します。
気仙沼湾を南へ
発着所付近の風景を見ながら、南へ進んでいきます。
つかみはウミネコの話から。
かつてはここから大島へ定期航路が出ていましたが、2019年4月8日に気仙沼大島大橋(鶴亀大橋)が開通し、それと同時に廃止に。なのでウミネコもお腹を空かせているそうです。
南の松島では、フンで松が枯れるということでウミネコへの餌やりが禁止されたため、こちらに引っ越してきたウミネコもいるそうです。ほんまかいな。
市場と漁船のこと
すぐ南には多数の漁船が停泊していて、やがて気仙沼市魚市場の横を通ります。
漁船に書かれている「JM6734」などがどういう意味かの説明があります(が、ほとんど忘れてしまいました)。
魚市場は、海から見るとシャッターが閉まっているのですが、セリを行う卸売場は衛生面から閉鎖式になっているそうです。
気仙沼湾横断橋と造船所
さらに進んで、三陸自動車道の気仙沼湾横断橋の下をくぐります。現在は仕上げの段階に入っていて、今年度末には開通する予定になっています。
その南側は、水産業者が集積する一帯。
この「ヨコレイ」の冷蔵倉庫は後で紹介します。
さらに南に進むと、震災後に新設された造船所「みらい造船」があります。
船はどうやって造船所に出入りするのかというと、中央左側に見える黒い台が昇降する形になっていて、海に沈めた状態で船が出入りし、陸に揚げる場合はこの台を上昇させるそうです。なるほど。
気仙沼大島大橋をくぐって大島沿岸へ
気仙沼湾横断橋をくぐった先、沿岸に果てしなく伸びる防潮堤。
言うまでもなく、震災後に建造されたものです。
このへんで進路を南から東に変え、大島へ向かいます。
大島の小さな漁港が見えてきました。
気仙沼大島大橋をくぐって、大島の北側へと進んでいきます。橋の構造や大きさなどについても案内があります。
沿岸の養殖筏や漁港の風景を眺め、それらの説明を受けながら進んでいきます。
すでに始まっている「おかえりモネ」のロケの話になり、「写真も撮らしてくれないしサインもしてくれない」と嘆いておられました。
大島の北東側まで進んで折り返し。気仙沼湾は周囲を大島などの陸地に囲まれて穏やかですが、この先は波が高くなるらしく、実際にそれまでよりも揺れが大きくなっていました。
この辺でデッキに出てみます。
2階席はサロン風の作り。中央上の男性の方が案内をされていました。
隣で子どもさんがかっぱえびせんを撒いていたので、ウミネコが群がってきていました。まさに餌をキャッチしようとしているのが一羽いますね。
大島や唐桑半島ののどかな風景を見ながら、180度回転して引き返していきます。
ロケ地発見?
湾内にいくつか立つ小さな照射灯。岩礁があるため注意を喚起するものですが、それでもたまにぶつかってしまう船があるそうです。
行きにも見た大島の漁港。
この記事を書く際、この画像はどこなんだっけ? と思いつつ調べてみたら、どうやらここが「おかえりモネ」のロケ場所らしいということがわかりました。
「永浦水産」の文字が見えます。これで検索したら場所がわかるかと思ったのですが、ヒットするのは「おかえりモネ」の話ばかりで、実在する会社は見当たりません。
主人公は永浦百音。その妹は牡蠣養殖の家業を継ぐため水産学校に通うという設定で、そのことばかりヒットするのでした。
周囲の船に乗っている方々。どうも地元の漁業関係者という雰囲気ではありません。ドラマの制作スタッフと考える方がしっくりきます。
つまり、ここはドラマのロケ地であり、「永浦水産」というのがモネの家の家業になるようです。
ちなみに、この場所はGoogleのストリートビューで見ることができます。2014年7月撮影という画像がこちら。
「ヤマヨかき処理場」とあります。この施設を、看板を被せて撮影に使っているようです。
たぶん、この辺の案内も実はちゃんとあって、私が聞き逃していたのだと思います。気になる方はぜひ乗船してみてください。
震災の影響と教訓について
折り返しは東日本大震災についての案内が多くありました。
気仙沼湾には大島があったため、陸前高田市や南三陸町のように巨大津波をダイレクトに受けることがなく、まだしも被害を軽減できたとのことです。
このヨコレイの倉庫は、外壁の汚れているところが津波が到達した場所で、窓を設けなかったため内部が破壊されずに比較的短期間で復旧でき、後に造られた倉庫のモデルになったそうです。
唐桑地区の高台移転した住宅地。震災前は沿岸に家が並んでいたそうです。
こういった形で、震災の影響や教訓となる話なども、数多く聞くことができます。
内湾に到着
気仙沼湾に停泊していた、かつて定期航路に使われていた船。行き先を探しているとのことです。道路の開通による廃止であって、船の老朽化とかではないですからね。
魚市場の前を通過。
船員のなり手が不足して高齢化が進んでいて、船員はインドネシア人などで賄っているものの、機関士は日本人が務めるため、すでに認知症の症状がみられるような人すら務めているという(誇張かもしれませんが)、漁業の現状についても紹介がありました。
内湾の周囲は、紅葉で美しく彩られていました。
そして、50分のクルーズは終了となりました。
まとめ:気仙沼について知るうえでぜひ乗っておきたいクルーズ
思ったより濃密なクルーズでした。
まず、市街地から魚市場や水産地区、そして雄大な橋を2つくぐってのどかな養殖漁業の風景へと、ダイナミックな景色の変化が楽しめること。
少し前、宮古市の浄土ヶ浜の遊覧船に乗りましたが、これはひたすら自然の造形による景観の中を進むので、比較的変化は乏しいという面があります。
今なら、「おかえりモネ」のロケ地も見ることができそうです。
また、係の方の案内も、図鑑的な説明や素晴らしいもの、美しいものの紹介にとどまらず、震災の影響や漁業の現実など、学ぶべき点、考え込んでしまうような点についても率直にお話をされているのが印象に残りました。
気仙沼という土地を知るうえで、ぜひ経験しておくべきだと思います。個人的には、もっと早く乗っておけばよかった、という思いでした。
次回は、気仙沼の伝統的な行事である「出船送り」について書きたいと思います。