君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

「おかえりモネ」の舞台を訪ねて (1)気仙沼・大島ウェルカムターミナル(浦の浜)

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気仙沼大島・浦の浜の風景

月曜~土曜の朝に放送されている、おなじみNHKの朝の連続テレビ小説

2021年春からの作品は、宮城県気仙沼市登米市などを舞台とした「おかえりモネ」となることが発表され、すでにロケも行われているそうです。

www6.nhk.or.jp

主人公は永浦百音(ももね)。その愛称が「モネ」です。

ざっくりとあらすじをまとめると、こんな感じのようです。

  • 高校までは気仙沼湾沖の自然豊かな島で育つ
  • 2014年、大学受験に失敗し、登米市に移り住んで林業に携わる
  • 訪れた気象予報士の言葉に感銘を受け、資格を取って上京
  • 2019年、全国の台風災害を目の当たりにして、気象予報士として故郷の役に立ちたいと気仙沼に戻る

気仙沼で育ち、登米へ移り住んで、やがて上京し、そして気仙沼に帰る。だから「おかえり」なのでしょう。

気仙沼登米も、少し離れてはいますが気仙沼線の沿線になります。いいきっかけですので、その舞台を訪ねてみることにしました。

今回は、「気仙沼湾沖の自然豊かな島」、つまり大島にある浦の浜を訪ねた記録をお届けします。

ミヤコーバスで大島へ

大島は、気仙沼湾の東の沖にある島で、気仙沼線BRTでいえば陸前階上~松岩間の対岸になります。

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大島のシンボルとなる亀山。対岸の気仙沼線BRT松岩駅付近で撮影。

島の北部には、大島のシンボルとなる亀山。その頂上からは気仙沼一帯が見渡せる絶景の場所だそうです。また、南には岬の景観が楽しめる龍舞崎(たつまいざき)、東には小田の浜海水浴場など、さまざまな見どころがあります。

少し前までは、気仙沼湾の最奥部から出ている定期航路が唯一のアクセスでしたが、2019年4月8日に気仙沼大島大橋(上の写真で亀山の左に見えるアーチ橋)が開通し、道路がつながると同時に、気仙沼中心部からアクセスできるバス路線も設定されました。これにあわせて、定期航路は廃止となっています。

つまり、最初は船で渡っていたモネは、おかえりする時には道路で帰ることになるはずです。

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その大島へ向かうミヤコーバスの大島線に乗車。JR線の駅でいえば不動の沢駅付近、気仙沼駅前、鹿折唐桑駅前を経由して大島へ向かいます。

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鹿折唐桑駅を出てしばらくして南に下るようになると、右手が気仙沼湾となり、対岸には沿岸部の風景が展開します。

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気仙沼市魚市場から、水産業者が集まる一帯へ変わっていきます。

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やがて三陸道の気仙沼湾横断橋が見えてきます。今年度(2020年度)末の開通予定とのことです。

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そして、先に紹介した気仙沼大島大橋を渡って大島へ入ります。

島の入口部分にある「浦の浜(大島ウェルカム・ターミナル)」で下車しました。

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バスはこの先、大島を南に向かい新王平(しんおおたいら)が終着となります。

昼食は刺身たっぷり「鶴亀丼」

大島ウェルカム・ターミナルは、かつて定期航路が発着していた浦の浜付近に整備された観光拠点で、先行して飲食施設が集まる「野杜海(のどか)」が開業していましたが、6月6日に、インフォメーション、産直販売、湾を眺めるテラス席や写真展示などからなる施設が新たにオープンしました。

oshima-welcome.jp

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大島ウェルカム・ターミナルとミヤコーバス
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ターミナルに隣接する商業施設「野杜海(のどか)」

まずは昼食ということでいろいろと店を見てみますが、島らしいものをいただきたいと思いつつ訪ねたのは、これらの施設から駐車場を挟んだ先にある食事処「こまつ」でした。

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定食メニュー。刺身・カレーライス以外は黒板に書いてあるというあっさり感が良いですね。旬によってメニューを入れ替えていることを想起させます。

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その黒板です。5種類の丼・定食が用意されています。この中の、不動のNo.1という鶴亀丼を注文してみました。

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鶴亀丼です。いわゆる多種盛りの海鮮丼。一つ一つ味わいながらいただきますが、やはりこういう場所だとどれも美味しく、ハズレがないのがいいですね。

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他にあら汁、豆腐、ひじきの煮物、果物がついていました。

ちなみに「鶴亀」というのは、大島の亀山と、橋の対岸となる「鶴ヶ浦」に由来していて、気仙沼大島大橋も「鶴亀大橋」という愛称があります。

以前は海沿いで営業していたそうなのですが、震災で被災し、今の場所にあった田んぼをつぶして再建したとのこと。震災前は亀山の山上までリフトがあり、店からはその跡が見えることも教えていただきました。

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これは別角度から撮ったのでリフトの跡は見えないのですが、なるほど、よく見ればここは亀山の麓なのでした。

浦の浜の風景

昼食を終えた後、ターミナルの裏手に出てみると、浦の浜ののどかな漁港の風景が広がっていました。

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かつて、大島と気仙沼中心部を結んでいた定期航路の船。「気仙沼行」の表示があります。

今にも出港しそうな雰囲気で、何かに使っているのかと思ったのですが、桟橋には何の案内もありません。

もしかしたら、「おかえりモネ」のロケ用に使うのかな?と思っていたのですが、twitterで事情を教えてくれた方がいました。

後日、気仙沼側にももう一隻停泊しているのを見たのですが、もしロケで必要だとしたらどちらかの船を使うのではないかと思っています。

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もちろんこの一帯も津波で甚大な被害を受けたのですが、そういったことを忘れてしまうような風景です。

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岸壁沿いを走るミヤコーバス。この時はこの経路でしたが、付近で工事中の県道が11月4日に開通するとの表示があり、今はおそらくそちらに移っているものと思います。

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遠くには、気仙沼湾の防潮堤と、その奥の町並みが見えます。

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漁港の横を通り抜けて、新王平行きの次の便が来ました。

この後はバスの折り返しの合間にチラッとだけ龍舞崎を見て市街地に戻りました。

まとめ:昔も今も大島の玄関口として

唐桑半島とをつなぐ気仙沼大島大橋が開通するまで、定期航路が発着していた浦の浜。

今は橋を渡って大島を訪ねる人たちの玄関口として、施設整備が進んでいます。

この場所は大島の玄関口として、おそらく「おかえりモネ」でも出会いと別れを象徴するようなシーンで出てくるのではないか、という気がします。例えば、登米市に旅立つモネを見送るようなシーンとか。

ウェルカム・ターミナルには、大島や浦の浜の震災の時の様子を紹介する資料も置かれていますので(設定的にはモネが高校に入学する頃になるはずです)、訪ねてみると作品の背景について理解が深まるのではないかと思います。

(この項は2020/11/8に加筆しました)

 

次回は、後日時間を取って再訪した龍舞崎について書きたいと思います。

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