君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

実りのBRT沿線を訪ねる (6・終)西下駅・小友駅・陸前今泉駅・大船渡魚市場前駅

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大船渡線BRTの大船渡魚市場前駅。道端にはコスモスが咲いていた

気仙沼線BRT・大船渡線BRTの稲刈り前の風景を訪ねた記録をお届けしています。

2日目は大船渡線BRTの各地を巡りました。

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3日目は、朝は曇り、でも9時ごろから晴れてくるんじゃない? という予報。

初発便でまず大船渡線BRTの唐桑大沢駅を訪ねました。これまでスルーしていた駅を訪ねるということも、いろいろな合間にやっていきたいと思っています。

早朝の唐桑大沢駅

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唐桑大沢駅はミヤコーバス・岩手県交通の大沢停留所と同じ位置です。

岩手県交通のバスは一ノ関駅と大船渡方面を結びますが、ミヤコーバスの路線バスは気仙沼中心部からここが終点になります。

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付近にある漁港の対岸は陸前高田市。前回の記事でご紹介した脇ノ沢駅付近になります。海沿いに平地が広がる中心部とは異なり、山裾に町が広がる風景を見ることができます。

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通過していく上り気仙沼行き。背後の坂は青野沢川に架けられた橋で、もともとはもっと低い橋だったのですが、最近になって付け替えられました。以前道路が通っていたのが左の工事中の部分で、土を盛って堤防の建設が始まっているようです。

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バス停で待っているとやってきた下り盛行き。この付近は漁港を中心とした、わずかな平地に拓けた静かな集落で、リアス海岸の典型的な場所と言えます。

その昔、三陸縦貫鉄道に期待された使命はこうした集落を結んでいくことであり、その意味では、鹿折唐桑陸前高田間、山側へ入り込んでいた鉄道線よりも、海岸沿いを結ぶ今のルートの方が使命に忠実とも言える気がします。

この後、午前中は三陸鉄道三陸駅へ。これについてはまた別に記事をまとめたいと思いますが、昼過ぎに盛駅に戻ってきて、まず向かったのは西下駅でした。

小友駅付近を俯瞰で見下ろす西下駅

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この写真は前の記事でご紹介したものですが、左奥の車通りが多い道路に、その上を横切る橋が架かっているのが見えますでしょうか。

あのあたりが大船渡線BRTの西下駅付近になります。あの橋の上から見れば、手前の田園地帯を見渡すことができそうな気がします。

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盛行きのバスがやってきました。

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通り過ぎたところを後ろから撮影。中央の上の方(電柱の左側)に小友駅が見えます。

現代の鉄道車両は、機関車列車を除けば編成の前後は同じ顔で、ヘッドライトかテールランプかの違いぐらいしかないのですが、バスは明確に前後がわかります。なので、後ろから撮影するということの意味も少し変わってくるんじゃないかと思っています。明確に言語化できていませんが。

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さらに田園の真ん中を進んでいきます。

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盛方面から次のバスが来るまで、付近に留まっていた赤トンボを撮ったり、蜘蛛がトンボを捕食しているところを撮ったりしていました。

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バスは西下駅に停車。昨年(2019年)3月にできた新駅ですが、自分以外に乗り降りした人を見たことがありませんでした。

でも、駅ができるということは需要があるということ。部活帰りの高校生のようです。

盛方面からの次のバスは当分来ないのでこの場所は切り上げることにします。

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温泉旅館の目の前、大船渡丸森駅

次に向かったのは大船渡丸森駅。「大船渡温泉」という温泉旅館の目の前に、今年(2020年)3月に開業した駅です。

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このあたり、BRTは掘割の下を進みます。緩やかなカーブといい、いかにも鉄道らしい配置ですね。

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大船渡丸森駅を発車する盛行き。柱の影には、どうも大船渡温泉に向かう雰囲気のお二人が通過を待っています。

夕暮れが近づいてきました。そろそろ陸前高田駅付近で夕食をとろうかと思い、気仙沼行きのバスに乗ったのですが。

小友駅に差し掛かったところ、車窓に見えた箱根山が夕陽に照らされて鮮やかに輝いていたので、思わず飛び降りてしまいました。

金色の水田と輝く箱根山、そして終焉へ

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降りてすぐ、小友駅から撮影した箱根山

手前は陰っていますが、山には夕陽があたって、神々しく輝いているように見えました。もうBRTを撮るとかそういう次元の話ではありません。

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雲が流れて、だんだんと田園にも陽があたってきました。構図の作り方にはとても悩みましたが、手前に大きく水田を入れる形で撮ってみました。

この付近は何度も訪ねていますが、これまでで一番美しい箱根山だったと思います。

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やがて、夕陽は林の向こうに沈みだし、あたりは薄暗くなってきます。

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その薄暗くなった頃を見計らってか、これまで一面の稲穂が輝いてた水田で、ついに稲刈りが始まりました。

その奥を走り過ぎていく盛行きのバス。

これまで書いてきたように、稲刈り前の各地の田園風景を追いかけてきましたが、その終わりが来て、また一つ季節が進んでいくことを悟った、そんな瞬間でした。

陸前高田の夜景

陸前高田駅付近で夕食をとって駅に戻ると、空には三日月が浮かんでいました。

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最近、夜の撮影も少しずつ練習をしています。

陸前今泉経由の気仙沼行きに乗り、陸前今泉で下車。なぜかすごく混んでいて、2駅分とはいえ珍しく立っての乗車になりました。

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付近の高台から撮影した夜景。手前に道の駅高田松原、その奥に運動公園の芝生などの緑、さらに奥に山裾の町並みが見えます。

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明かりの少ない山側には満天の星空。家の灯りなどが目立つのではないかと思いましたが、意外といい感じに収まってくれました。

市街地方面で同じように撮ってみたのですが、町の光や、箱根山の向こう、おそらく大船渡からの光が強すぎてどうも思うようにいきませんでした。

動く魚市場、穏やかに咲くコスモス

翌日は4連休の最終日。大船渡市魚市場には入船情報が掲載されていたので、また始発便で向かってみました。

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大船渡魚市場駅の近くで路傍に咲いていたコスモス。

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付近の国道45号に上がってみると、カラスが留まって市場の方を虎視眈々と見つめていました。

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BRTの向こうには旋網船が入ってきていて、トラックやターレが行き交い、屋根の上にはカモメが無数に集結し、とても賑やかな市場の風景でした。市場が動いているところを初めて見ることができました。

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この後はまた三陸鉄道に行ったり、震災遺構の撮影をしたりしていたので、このシリーズはこれで終わりとなります。

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南は柳津から北は大船渡魚市場前まで、各地をひたすら巡っていましたが、その中で初めて見た風景もあれば、以前もっといい天気で見たいと思っていた景色にも出会うことができ、個人的にも実りの秋だったという感じがします。
10月に入ると沿線の探訪も「2周目」になるのですが、例えば南三陸町の震災復興祈念公園が完成し、気仙沼湾横断橋もいよいよ完成が近づくなど、沿線はずっと変わり続けていますので、1年前とはまた違った経験ができるのではないかと思っています。