君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

しなの鉄道の有料快速「軽井沢リゾート号」乗車記

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信濃路を駆ける軽井沢リゾート号。あいにく浅間山は雲隠れ。

8月下旬、しなの鉄道が今年7月に導入した新型車両・SR1系で運行する有料快速「軽井沢リゾート号」に乗車しましたので、その乗車記をお届けします。

車両と列車の概要

SR1系は、老朽化した115系電車の置き換えのためにしなの鉄道が新規導入を進めている車両で、JR東日本が新潟地区で導入しているE129系をベースにしています。

形式名としてはすべてSR1系で共通ですが、用途は大別して2つに分かれていて、有料快速に使用するデュアルシート(ロングシートクロスシートの転換が可能)のライナー車両と、車両の半分をロングシート、もう半分をボックスシートとした一般車両になります。

先行して導入されたのがライナー車両の2両×3編成で、今年7月4日より運行を開始しました。

有料快速は以下の3種類があります。

  • しなのサンライズ
    平日の朝、小諸発長野行き1本を運転。途中停車駅は上田のみ。6両編成での運行のようです。
  • しなのサンセット
    平日の夕方、長野発上田行き2本、上田発長野行き1本を運転。途中停車駅はなし。4両編成での運行のようです。
  • 軽井沢リゾート号
    土曜・休日に軽井沢~妙高高原間、軽井沢~長野間で1往復ずつ運転。それぞれ2両編成で、1両は食事プラン(軽食付き)用、もう1両は指定席となります。停車駅は列車によって異なります。

以前から、しなのサンライズ号・しなのサンセット号は現在とは違う形ですが運転されていましたし、SR1系の導入までは無料でしたが、それ以前は有料で運行していた時期もありました。SR1系の導入を機にこれらの再構築を図ると同時に、観光列車「ろくもん」に続く観光向け列車として軽井沢リゾート号を設定したという形になりそうです。

停車駅・時刻について詳しくは以下のページでご確認ください。

www.shinanorailway.co.jp

指定席の予約方法

有料列車の指定席は主要駅や車内でも購入できるようですが、Webサイトから予約することができます。

www.liner-yoyaku.shinanorailway.co.jp

予約方法は画面の指示に従って操作していくだけですので、そんなに難しくはないと思います。

  • 会員登録などは不要
  • 料金の精算はクレジットカード
  • チケットの受け取りは不要で、予約完了画面や、予約完了メールを提示すればOK。ただし、発券状況は車掌が車内でも確認できるのか、車内で提示を求められることはありませんでした。

SR1系の走行シーン、駅留置シーン

この日は、朝一番の新幹線で軽井沢へ。

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酷暑が続く日々でしたが、下車した瞬間に感じた爽やかな高原の空気に、軽井沢にやってきたことを実感します。

とはいえ、若干の暑さもあり、しなの鉄道の列車に乗り換えるまで20分ほど駅前を歩いているとそれなりに暑くなってきました。

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列車に乗るためにホームに入ると、SR1系の回送列車が入線してきました。後で撮影する軽井沢リゾート1号に充当する車両のようです。

まずは軽井沢から3駅、御代田駅の西側で、軽井沢リゾート1号、2号を撮影します。

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長野、そして妙高高原へ向かう軽井沢リゾート1号。バックに雄大浅間山が入るはずだったのですが、分厚い雲に覆われてしまっていました。

こうしてみると、爽やかな青色の車体に、水色の波打つラインが印象的ですね。軽井沢を吹き抜ける清々しい風のようでもあり、千曲川の流れのようでもあります。風景に映える秀逸なデザインだと思います。

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続いて軽井沢へ向かう軽井沢リゾート2号。柔和な印象の側面と異なり、運転席部分の黒い縁取りと、ゴールドの直線を配した端正な顔立ちがカッコいいと思います。

軽井沢駅に戻ると、この軽井沢リゾート2号の車両が側線に留置されていました。

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「軽井沢リゾート3号」乗車編

昼は上田電鉄を訪ね、軽井沢に戻ってきたら軽井沢リゾート3号の発車まで4分しかありません。

とりあえず外観を撮って列車に乗り込みます。

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今回予約したのは指定席の方。前日に予約したのですが、食事プランの方はもう期限が過ぎていました。

まだ、新車の心地よい匂いがプンプンしていました。

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座席は進行方向にクロスシートで配置されています。

ドア間に5列あるのですが、車窓を楽しみたい場合は2列目、4列目をお勧めします。1列目・5列目はドアの戸袋部分にあたるため窓がありません。3列目は窓の間の梁の部分なのでこれも眺めがよくありません。ちなみに私が予約したのは車両の最前列、まさに戸袋の真横でした。

また、浅間山が見える北側(北しなの線では東側)はA席になります。

Webでの予約画面では、シートマップから選択することもできるので参考にしてください。

デュアルシートの座席ということで、決して悪い乗り心地ではないのですが、リクライニングするわけでもなく、京阪電鉄の3000系(表面の材質にこだわり)や8000系(ロングシートがハイバック式)のように何かこだわりがあるわけでもなく、もう1つ何かが欲しい、と思ってしまいました。

同様のデュアルシート車の導入が進んでいる首都圏では、大半の車両がロングシート車です。なので、クロスシートというだけで付加価値があったりするのですが、今のところ、他の115系車両はすべてボックスシートですし、中にはJR時代そのままではなく更新されてそこそこの乗り心地になっているものもあります。それと比べた時に、座席には大きな付加価値を感じにくい面があります。

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車番表示。形式名は「SR1系」ですが、車番としてはクモハSR111+クモハSR112の編成になるようです。

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トイレは車いす対応の大きなものです。

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しなの鉄道の車両では初めて、ドア開閉ボタンが導入されました。SR1系のドアは自動では開かない旨の掲示があちこちで見られました。

JRでは、開閉ボタン付きの車両であってもコロナウイルス対策で換気のため、乗務員が必ず開閉していますが、しなの鉄道では乗客が開閉する形で運用されていました。

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各席に設けられた電源コンセントは座席下に配置。

前に座席がある場合は、前の座席の背面にあるコンセントを使えばいいはずなのですが、ドア間の最前列の場合、前に座席がないので自分の席の真下にあるコンセントを使わざるを得ません。いったん座席を立って、コンセントの位置を確認して差し込むか、手探りでまさぐって差し込むかの2択になるので正直使いづらいです。

車窓だけでなく、こういう観点からも、ドア間の最前列はあまりお勧めできない席と言えそうです。

さて、軽井沢リゾート3号は軽井沢を16:08に出て中軽井沢に停車した後は、どんどん駅を飛ばして上田、戸倉のみに停車し、17:13に長野に到着。小海線との乗り換えとなる小諸も、篠ノ井線との乗り換えとなる篠ノ井も通過していきます。軽井沢~長野間の所要時間は65分。

後続の直通列車となる軽井沢16:40発の普通列車の、長野までの所要時間は89分。それと比べるとかなりの飛ばしぶりです。

しなの鉄道には、料金不要の快速が長野~軽井沢間に1日2往復ありますが、その所要時間が最速77分なのと比べてもだいぶ速いと言えます。

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長野に到着した後は、折り返し戸倉行きの普通列車に。

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軽食付きコースの車両には、こんな形でテーブルが置かれていました。

この置き方には見覚えがあるような……。

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上の画像は、千葉県の房総半島を走るいすみ鉄道のもの。レストラン列車用に置かれているテーブルになります。

500円は高いか安いか

軽井沢リゾート号の指定席料金は区間を問わず500円ですが、今回のように軽井沢~長野間で乗ったとして、その価値があるかはなかなか難しい、人によって判断がわかれるかもしれないと思いました。

例えばJR東日本の臨時快速列車だと、500円ちょっとの指定席料金で特急車や、特急車並みの設備の観光車両に乗れてしまったりします。でもそれと比較するのは酷というものです。

乗車体験の大きな部分を占める座席については、上述の通り、高い付加価値を見出すのは難しいかもしれません。

一方で、停車駅の少なさ、所要時間の短さは大きな価値があると言えそうです。

後は、電源コンセント、Wi-Fi、ドリンクホルダーといった設備にどのぐらい価値を見出すか、になりそうです。今のスマホに交換してから、充電がかなり持つようになったのでコンセントの価値は自分の中では低くなっているのですが、交換する前はガンガン充電が減っていってコンセントがあるのがとても貴重だったので、そういうところでも差が出てくるかもしれません。

この列車に乗るなら、いっそ食事プラン(現時点で2,000円ですが、提供されるメニューによって変わったりするかもしれません)でサービスを満喫する方がいいのかもしれません。

私はだいたい、天気予報を直前までチェックしながら行く場所を決め、旅程を組むのが前々日とか前日とかなので、なかなかこういう事前予約が必要なサービスは使えないことが多いのですが、また乗る機会があれば今度は食事プランにしてみたいと考えています。