※本記事は2017年10月の記録になります。
長野駅からしなの鉄道北しなの線・JR飯山線方面に、北陸新幹線の延伸に合わせて誕生した観光列車、快速「おいこっと」が運転されています。
「ふるさとの里山」の雰囲気を表現した列車で、列車名は「TOKYO」を逆さまにした「OYKOT」を「おいこっと」と読ませ、また、「おい」「こっと」という音の雰囲気からも田舎らしさを感じ取れる、秀逸なネーミングだと思います。
列車に関して詳しくは、下記サイトからご確認ください。
春・夏・秋は長野~十日町間で1日1往復ですが、冬は運転区間を短縮し、「冬のおいこっと」として長野~戸狩野沢温泉間を2往復になります。
乗車される場合にはダイヤ・運転区間をよくご確認ください。
当時のかがやき503号で長野へ。8:43に到着し(列車名、ダイヤは乗車当時。以下同様)、おいこっとの発車は9:15になります。
「おいこっと」の車両
「おいこっと」はキハ110形を改造した、赤……といっても渋い色合いの赤さが印象的な車両。
この日は1両での運転でしたが、日によっては2両編成で運転することもあるようです。
側面は格子風のデザインで郷愁を醸し出しています。草むらの上を鳥が飛ぶ挿絵がとてもいい感じですね。
木目調の天井、蛍光灯カバーの石積み風の模様、黒いつり革と荷棚で落ち着いた雰囲気にまとめ上げたインテリア。
車内には、童謡「ふるさと」の世界を表現した絵がぼんやり浮かび上がる室内灯があります。遮光幕も障子のようなデザインに。
ボックスシートにはテーブルがあります。
軽食や飲み物(アルコール含む)の車内販売のメニューと、車内で提供される野沢菜漬け。右のそば茶は個人で長野駅の売店で買ったものですが、野沢菜漬けと好相性でした(※車内で提供されるものは変わることがあるようですのでご確認ください)。
列車が発車すると、要所要所で、懐かしの「まんが日本昔ばなし」などで出演していた声優さんのナレーションが入り、それがまた田舎らしさを演出します。
飯山駅の様子
途中、新幹線が発着する飯山駅で長い停車時間があるので、駅に出てみました。
地元産品の売店やレンタサイクルなど、新幹線での旅行客を迎えるためにいろいろな取り組みをしている様子が見て取れます。
のどかな車窓
飯山線は、千曲川沿いのゆったりとした山里の中を進んでいきます。まさに東京の対極にある世界。この風景を眺めながらいただく野沢菜漬けの美味しいこと。
戸狩野沢温泉を過ぎたあたり。北側には荒れた山肌も見られました。
この年の春、山崩れがあったところ。それ自体は飯山線への直接の影響はなかったのですが、千曲川に注ぐ川に土砂が流れ込むことで飯山線が被害を受ける恐れがあるため、しばらく区間運休を余儀なくされていました。
積雪記録の駅、森宮野原
秋にはこのような穏やかな風景が広がりますが、冬は積雪が多く、昭和20年にはJRの駅としては日本最高記録となる7.85mの積雪もあったそうです。
左側の標柱はそれを示すものです。
こうした難所があるがゆえに、冬のおいこっとは手前で折り返す形になっているのかもしれないですね。
終点の十日町へ
終点の十日町が近づいてくると、地元の観光協会の方が乗車され、十日町のプロモーションビデオの上映や、近々予定されているイベントの案内などがありました。
(個人的には、最後までのんびり乗っていたかったなあ、と思いますが……)
十日町到着は11:48(2019年8月時点では11:50になっているようです)。
駅前から伸びる商店街の様子。
この駅は、別の観光列車「越乃Shu*Kura」が発着する駅でもあります。「おいこっと」と両方運転される日には、やや時間は開きますがここで乗り継ぐこともできます。
飯山線ののどかな車窓を活かし、「ふるさと」を積極的に押し出した車両は乗っているだけでも楽しく、また季節を変えて乗ってみたいと思える列車でした。