君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

阪急京都線「京とれいん」新旧乗り比べ (2)「京とれいん 雅洛」河原町→梅田

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阪急京都線に新登場の観光列車「京とれいん 雅洛」

今年、阪急電鉄のうち大阪と京都を結ぶ京都線(梅田~河原町間)に登場した「京とれいん 雅洛」。宝塚線神戸線で運転されていた7000系電車をベースに、「ご乗車された時から京都気分」をコンセプトに大胆に改造された車両です。料金不要で運賃のみで乗車できます。

www.hankyu.co.jp

「京とれいん」としては、2011年に登場した初代に続く2編成目になります。休日ダイヤでこれまで日中2時間間隔で運転していたのが、2編成あわせて1時間間隔の運転となり、ぐっと存在感が増した感じだと思います。

初代については下記に書きましたのでご覧ください。

a-train.hateblo.jp

「京とれいん 雅洛」について

上述の通り、2019年3月に運転を開始した編成。初代と同様の6両編成です。

改造前は3ドアロングシートの一般的な車両だったため、中央のドアをつぶして円窓とし、座席配置も様々な工夫を凝らしています。

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ドアをつぶして円窓とした部分。

このように、ドアをつぶす改造をした車両は、その部分がドアをつぶしたのがみえみえな感じで残ることが多いのです。例えば、最近登場した車両でいえば京阪8000系の「プレミアムカー」やJR東日本日光線用の「いろは」、JR西日本の新快速の「Aシート」などです。

ところが、この「京とれいん 雅洛」は、ドアの痕跡をまったく感じさせずに、円窓と扇の絵など(絵柄は車両によって異なる)をあしらうことで、まるで元からそういったデザインであったかのような出来栄えになっています。料金を取らない車両なのに、その力の入れようは有料化した車両以上と言えます。

このドアをつぶした部分を車内でどう扱っているかも注目点ですが、車内を見て行きましょう。

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1号車・6号車は2人用+4人用のボックスシート。ちなみに梅田側が1号車です。円窓の部分もボックスシート用の窓として機能しており、まったく違和感はありません。窓の大きさという意味では前後の席より劣るかもしれませんが、京都らしい演出として、それはそれで1つの楽しみと言えると思います。

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運転席背後は2席分の横向きシート。ここは一般車両と変わりませんが、エントランスと格子で区切られているあたりがおしゃれです。

また、運転席と反対の車端部には、L字のソファ状に配置された座席もありました。

2号車・5号車には、ドアをつぶした中央部分に話題となった坪庭があります。

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上が2号車の枯山水の坪庭、下が5号車の京町家の坪庭です。

坪庭の向かいには畳座席(ロングシート)が配置され、坪庭を愛でつつ、円窓の向こうに西山や北摂の風景を眺めて楽しむという趣向になっています。

坪庭の両側はロングシートの座席ですが、座布団状のシートとなっており、柄にも工夫が凝らされ、和の雰囲気を高めるデザインとなっています。

3号車・4号車は、北側は2席分と3席分を組み合わせた窓向きの座席、南側は1席分のクロスシート(円窓を中心とした集団見合い型固定式)の座席となっています。つまり、円窓の部分は向かい合わせのボックスシートになります。

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窓向き座席の眺望については、同じ方向で車窓を撮影した下記記事も参考にしてください。

a-train.hateblo.jp

このように座席の配置がバラエティに富んでいる他、車内の数々の装飾も、初代にはない工夫が凝らされています。

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民家の横開きの玄関のようなドア。

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案内表示にも花の柄をあしらった装飾が。

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エントランス部分の竹状の装飾。

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円窓にあしらわれた梅の柄、両側に飾られた扇子。

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上部を彩る簾のような装飾と、木材を組み合わせた木造建築のようなデザイン。

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簾状の遮光幕。

全般的に、座席そのものの居住性としては転換クロスシートが中心の「京とれいん」の方が上かもしれませんが、窓向き、ボックス、1人掛け、ソファ状など多様な形状の座席を用意した上で、内外装にこだわり抜き、見た目の楽しさ、京都気分を味わえるという点で、これまでにない特色を持つ編成と言えるかと思います。

また、「京とれいん」と同様に無料Wi-Fiが使えるほか、この編成の独自サービスとしてスマホなどで前方展望が楽しめる「前方映像配信サービス」が用意されているなど、機能面でも充実しています。

「京とれいん」と比較してのメリットと注意事項は以下の面があります。

  • 多様な座席が用意され、1人~複数名までいろいろな利用シーンに対応可能
  • 車内の装飾にこだわり、見た目で京都の雰囲気を楽しめる。
  • ベースが一般の3ドア車両なので、十三駅に設置されたホームドアにも対応可能。宝塚線神戸線との乗り継ぎにも便利。
  • Wi-Fiの他、「京とれいん」にはない前方映像配信サービスが利用可能。
  • もともと、宝塚線神戸線で運用されていた車両なので、京都線専用ではなく直通運転が可能(京都線の車両は若干サイズが大きく、宝塚線神戸線に入線できない)。実際に2019年春の平日に西宮北口~嵐山で運転された実績も。
  • すべての座席は固定式。3・4号車の1人掛けクロスシートも集団見合い式なので、進行方向と反対向きになる席も。ロングシートも多く、クロスシートを期待すると不向き。

実際に乗ってみた

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この日、ひとしきり旅行を終えて河原町駅に戻ってきたのは、発車まで30分近くある16:14ごろでした。右側の特急の発車時刻の「16:18」がそのあたりの証明です。

梅田からやってくる「京とれいん 雅洛」が到着するのが16:15の予定。

まあ、発車まで26分もあれば、10分間隔で運転している特急を差し置いて京とれいんを選ぶ人もそんなにいないだろうし、座席は選び放題、撮影もし放題……

……と思ってたらそんなに甘くはなく、発着する2号線に行ってみるとすでにかなりの乗車待ちの人が。

やはり、登場してまだ3か月弱の新車、それも凝りに凝ったデザインの車両ということで、「京とれいん 雅洛」を選んで乗りたいという人はまだまだ多いようでした。

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上にも貼った写真ですが、すでに多くの人が乗車していて、露骨に写さないように撮るのが精いっぱいな感じでした。

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先頭部で写真を撮ってると、同じようにいろんな人が撮影のために入れ代わり立ち代わりやってきます。

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最初に確保していたのは、運転士の後ろの席。写真で黒いリュックを置いてある席ですね。反対側の席は、すでに他の鉄道ファンと思われる人が取っていました。

ところが、そこに座ってると、目の前に親子連れが入れ代わり立ち代わりやってくるわけです。

子ども「先頭がいい~」

母親「はいっ、先頭。ほら、前が見えるだけでしょ、行くよ」

子ども「……」

そんな、ひどい……。

さすがにいたたまれなくなって、後ろの方のロングシートの席に移りました。どこかの子どもさんが楽しんでくれていたらいいのですが。

この日最後の京とれいんで、京都を観光して帰るのにもちょうどいい時間帯ということで、烏丸を出る時点ですでに立ち客が出るほどの混み具合でした。なので、車内のデザインなどもあまりじっくり見ることができません。

ここで、先ほどから紹介している前方映像配信サービスを利用してみることにしました。

前方映像配信サービスを利用してみた

車内にはアクセス用のQRコードがいくつも貼られていますが、それを探して読み取らせるのも混んだ車内では難しいので、あらかじめURLを登録しておくのがよいかと思います。

やり方としては、

  1. 車内で利用できるWi-Fi「Garaku_View_exclusive_use」に接続する
  2. http://garaku.hankyu.co.jp/ に接続する

というだけなのですが、要注意点として、「Garaku_View_exclusive_use」はインターネットへの接続はできません。つまり、これに接続した状態で、インターネットを利用してその先の手順を確認しようとしてもできないわけです。ちょっとこの辺は使い勝手がいまいちだと思う点。

また、仕様として

  • 進行方向の先頭車(河原町行き=6号車、梅田行き=1号車)のみ閲覧できる
  • 駅に停車しているときは配信も中断される

ということも押さえておく必要があります。

映像は、遅延も少なく意外と鮮明です。スマホの画面で見る分には問題ない程度の画質と言えます。

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西山天王山駅を通過するところ

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大山崎駅手前、JR京都線の下をくぐっていくところ

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上牧駅を通過。左側には東海道新幹線

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茨木市駅を通過

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淡路駅を発車後。左側には千里線(天神橋筋六丁目方面)が分岐

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十三駅を出て、淀川を渡る直前。向こうには梅田のビル群が

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梅田駅到着の直前。

私の隣に座っていた子どもも、親御さんに設定してもらって見ていたようです。
こういうサービスは、近鉄アーバンライナーや西武のLaviewなど、車内の案内モニターで実装されていたりしますが、若干設定がとっつきにくいとはいえ手元のスマホで楽しめるというのは画期的なサービスではないかと思います。

梅田到着後は撮影会に

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梅田に到着したらそれで終わりではなく、車両の写真を撮っておきたい、という人が多く残っていました。

デザインに力を入れた甲斐はあったのではないか、と思える人気ぶりです。

車内にはいろんな座席があるので、「次はあの座席に乗ってみたい」という感じで、何度も楽しめそうな列車です。