君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

「ぐるっと九州きっぷ」3日間の旅 (4)特急料金100円で「新幹線」 珍しさ満載の博多南線へ

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博多南線博多駅へ向かう列車

 「ぐるっと九州きっぷ」を利用して福岡・熊本・鹿児島を巡るシリーズ。前回・前々回で門司港レトロ地区の観光列車や街の風景を堪能してきました。

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今回は、珍しい要素がたっぷり詰まった「博多南線」を訪ねます。

※今回乗車する山陽新幹線 小倉~博多間、および博多南線は「ぐるっと九州きっぷ」のエリア外になります。

博多南線の珍しさについて

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博多駅博多南駅を結ぶ博多南線Googleマップより)

博多南線は、博多駅と、ほぼ南の住宅地にある博多南駅の2駅を結ぶ8.5kmの路線です。

鉄道関係の雑学ネタとしてよく登場する路線で、いろんな珍しさが詰め込まれています。

  1. 九州内のJR在来線でありながら、管轄はJR西日本
  2. 走る列車はすべて新幹線車両
  3. 走る列車はすべて特急列車
  4. JRの特急列車でありながら列車名はなく、線内の特急料金は100円
  5. 路線の一部は九州新幹線に転用された

もともと、ここには1974年(山陽新幹線が博多まで全通する前年)に設置された国鉄の「博多総合車両部(JR化の際に博多総合車両所となった)」があり、山陽新幹線車両基地として博多駅との間を結んでいました。

ところで、上の地図を見ればわかる通り、鹿児島本線西鉄天神大牟田線は東側を通っており、博多郊外でありながらこの辺で使える鉄道がありません。博多に向かうにはバスしかなく、渋滞もあってとても時間がかかっていたといいます。

そこで地域の強い要望があり、JR西日本に移行した後の1990年になって、この回送線を走る列車を利用して旅客扱いするために、車両基地の片隅に博多南駅が設けられたそうです。

そして、九州新幹線を建設する際には、この博多南線のルートをそのまま活用する形で南に延ばし、2011年3月に博多~新八代間が開業して九州新幹線が全通しました。

こうして歴史をみると、上の5点の物珍しさもその理由がわかってきます。

少しマニアックな点に注目すると、似たような路線として上越線の越後湯沢~ガーラ湯沢間があります。在来線扱いですが、乗り入れるのはすべて上越新幹線からの直通列車です。

ただ、この2つの違いとして、上越線側は上越新幹線の列車名(例えば「たにがわ〇〇号」)でそのまま直通するのに対し、博多南線山陽新幹線と通しの列車名ではなく、ただの「特急」に変わる、ということがあります。

なお、線内全列車が特急であることから、青春18きっぷ」では博多南線が利用できないということもこの路線の特徴です。

実際に乗ってみた

門司港から小倉へ移動し、博多南線に直通するこだま737号に乗車します。

(※山陽新幹線は「ぐるっと九州きっぷ」は使えません。今回は初乗車だったので新幹線にしていますが、「ぐるっと九州きっぷ」を利用する場合は博多まで在来線での移動になります)

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かつて、「のぞみ」を補完し、山陽エリアの中規模の都市にも停車しながらのぞみに追い抜かれない列車として設定された「ひかりレールスター」用の車両。何と言っても鮮やかな黄色いラインが特徴です。

今はその役割を九州新幹線直通の「さくら」に譲り、ほとんどこだま用(たまにひかりとして運転しているようです)として運用されています。

ただ、乗車する時、この列車が博多南線直通である旨のアナウンスが一切なかったのです。駅のアナウンスや行き先表示も、乗り込んでからの車内アナウンスも「博多行き」ばかり。

間違いないはずだけど、もしかしたら列車を間違えたのかとちょっと不安になってきます。

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最後尾の8号車は自由席ながら、2+2の4列シート。

ひかりレールスター」は、グリーン車がない代わりに指定席が2+2シートというのが売り物で、その時の指定席・自由席の割り振りに応じて座席が置かれているので、こだま運用で自由席が増えた場合はこうした乗り得車両も出てくるようです。

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門司港で結局昼食にありつけなかったので、小倉駅で買ったかしわ飯弁当。

九州のかしわ飯と言えば折尾駅のものが有名ですが、どう違うんでしょうね。そちらは食べられなかったので比較はできないですが、こちらも風味豊かな醤油飯の上にたっぷり乗せられた鶏のほぐし身と、錦糸卵・刻みのりのバランスが抜群で、パクパク食べているうちに博多駅に近づいてきました。

博多駅到着の際のアナウンスで、「この列車は博多駅から、博多南線博多南行きとなります」という旨が告知されて、ようやく安心しました。

小倉で乗車した時にはガラガラだったので、昼下がりの博多南行きは同じようにガラガラじゃないかと予想していたら、案に反して座席がほぼ埋まるぐらいの乗客がありました。

博多南駅にて

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博多南駅は、上述の通り、車両基地の端に1線だけ設けられたホーム。改札と結ぶ通路は博多寄り先頭車付近にしかなく、改札からホームを覗くとこうして「Rail Star」のロゴが見えるのが面白い風景です。

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博多南駅駅名標と各種設備。すべてJR西日本仕様ですが、特に、右下の「意地でも線路側を向けない」ベンチが、JR西日本らしさを強硬に主張しています。

博多南駅は福岡市から外に出てしまっているので(春日市那珂市の間)、もともと買っていた東京都区内~福岡市内まで有効の乗車券では下車できず、乗り越し精算をして改札を出ます。

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駅の自販機も、使えるのは「SUGOCA」ではなく「ICOCA」です(もちろん、相互利用できるカードは何でも使えますが)。

今来た列車ですぐに折り返すのも何なので、1本遅らせて駅周辺を見てみることにします。

博多南線を走る列車を撮れる場所がないかと事前に探していたのですが、市街地の中で、しかも真上を九州新幹線が走るということでなかなかいい場所がなく、博多南駅の北側、10分ちょっと歩いた場所で撮ったのがこちら。

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すぐ上の高架が九州新幹線で、それに合流するために勾配を登っていくところです。

博多南駅は、その設置の経緯からして駅前は特に何もないんじゃないか、というイメージだったのですが、実際は立派なデッキと、カフェやコミュニティスペース、屋上庭園などがある立派な駅前ビル「ナカイチ」が建てられていました。

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美しく花が植えられたデッキは憩いの場として、イベント広場として活用されているようです。

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デッキの下はバスターミナル。西鉄バスコミュニティバスが発着しています。

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駅前にはドラッグストア。ちょっとしたスーパーぐらいの大きさがあります。

他にも、保育所やカフェ、各種診療所など、駅前として申し分ない施設があり、事前に抱いていた「寂しい駅」というイメージを大きく覆すものでした。こういう発見があると来てよかったと思います。

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デッキから駅に続く通路には提灯が飾られていました。

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博多駅に戻るために自動券売機で300円のきっぷを買うと(ICOCAは使えません…)、200円の乗車券、そして100円の特定特急券が出てきました。

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ホームの目の前の留置線には、東海道新幹線から近々引退する700系車両の姿が。

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博多南線の上り列車は、博多まで行く列車、というイメージが強いのですが、行き先として新大阪行きとか岡山行きとかアナウンスされるのはなんか不思議な感覚です。

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帰りも、行きと同じ700系レールスター車両。乗車したのは上り列車の最後尾となる1号車です。こちらはもともと自由席車だったのか、2+3列のシートでした。

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博多駅で下車し、次回は九州新幹線を一気に乗り通します。

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