君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

台湾鉄道事故:事故車両の「設計ミス」に関して

www.nikkei.com

結局、そういう話になっちゃうんですね……という感覚。

当初懸念されていた動力系の不具合とは違う話ですが、こんなところで思わぬミスが明らかになりました。

で、これは上記記事によると日本車両製造側が

ATPは1編成につき両側の先頭車両に付いており、その全てに同じ配線ミスがあるという。 

と「ミス」であることを認めているようなので、その見解に従っていますが、一方で、「台湾の報道では、台湾鉄道側が意図的に伝達機能を切って納品させたとされている」という説もあり、そういう説があることにも留意はしておくべきかと思います。

日本車両製造側の見解については、報道を通しての抜粋ではなく、当事者の発表を直接参照すべきかとは思いますが、現時点で日本車両製造のWebサイト(http://www.n-sharyo.co.jp/)にはまだ掲載がありません。

 

このミスが事故にどう影響しているかというとまた難しい話。

www.asahi.com

上記の朝日の記事では(というより各種報道で既報ですが)、

運転士は指令員の同意を得て装置を切ったとしているが、台湾鉄道は「報告は無かった」として主張が対立している。
台湾行政院(内閣)の調査チームは無線記録などから、指令員は運転士とのやり取りを通して事故の約3分前には装置が切れていたことを知っていたとみているが、設計ミスがなければより早い段階で事態を把握できた可能性がある。

とあり、そもそも事故に至る経緯についても見解の相違が出ているようなので。

もし「報告がなかった(ので把握できなかった)」という説に立つならば、伝達機能のミスは大きな影響を及ぼした可能性があります。

一方で、運転士と指令のやり取りの上で切っていたのであれば、伝達機能があろうがなかろうが結局のところ変わりはなく、事故への直接の影響はないと考えることもできます。

 

このことを踏まえてか、事故との関連についての日本車両製造側の見解も、日経の記事では

そのため、日本車両製造は「通知機能が働かなかったことと、事故とに因果関係はなく、制御機能自体にも問題はない」としている。 

と因果関係を明確に否定し、朝日の記事は

日本車両製造は「事故原因は当局が調べているので、事故にかかわる話かどうかは何とも言えない」(同社広報)としている。 

となっており、ここでも混乱が見られます(なので一次情報を見たいのですが)。

 

このように事実関係で争いがあるような事柄については、

  • 事実関係が今後も変わりうることを認識しておく
  • 事実関係を断定するような情報はまず疑ってかかる(情報の出所を確かめる等)
  • 報道を参照する場合、単一のソースだけではなく、できるだけ複数のソースを参照する
  • 見解を示す時には、「現時点で知りえる事実関係を前提にしたもの」であることを明確にし、前提が覆った時にはそれを認めて見解を撤回する

というような態度でいるのがよいのではないかと考えていますので、参考にしていただければと思います。

特に最後、安易に誰かを攻撃するようなことを書いてその前提条件が覆り、引っ込みがつかなくなって強弁を繰り返す、というみっともない事態になることも往々にして見受けられますので。