君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

まだ見ぬ絶景、まだ見ぬストーリー

なんといっても水田ですよ水田!
ダイヤ設定でお手伝いをさせていただいている役得として、事前にマップを見れるということがあるのですが、この風景を最初に見た時の衝撃は忘れられません。

それから結構時間が経っておりまして、田んぼをテーマにした動画があがる度に、先を越されるんじゃないかとヒヤヒヤしていたのですが、そうなる前に無事公開となり、私も(作者本人ではないのですが)ホッとしたというところです。


今回の動画の走行区間は、私としてはほとんど手をつけていない部分のため、個別のスポットについてではなく、ストーリーの核となる「公設民営化方式」ということについて書いてみたいと思います。

おそらく、線路・設備を自治体等(第2種鉄道事業者)が保有し、運営会社(第3種鉄道事業者)が鉄道の運行を行う「上下分離方式」をイメージするのが一番わかりやすいのではないかと思います。
ただ、動画中には「周辺自治体が土地を保有し、民営会社に鉄道の経営、運営を委託」とあるので、ローカル線の経営対策としての一般的な上下分離方式とは異なり、線路や設備を保有するのも鉄道会社になるのかもしれません。まあ、そこを深く突き詰めるのはあまり意味がないでしょう。

現実には、新幹線の並行在来線に限らず、国鉄・JRの路線が廃止になる場合、運営を引き継ぐ会社は、地元自治体や関係企業が出資する第3セクター方式で経営されてきました。
一方で、それらの多くが苦境に立たされ、ついに廃線となった路線が少なくないことも、このブログの読者の方であればご存知だと思います。

その理由は、自治体が主体となって「地域の足を守る」ということで設立したはいいものの、それ以上の「攻めの経営」を行わない、行えないことにあるのではないかと思います。

こうしたあたりの事情は、下記の記事が示唆に富んでいます。
近距離交通特集:廃線の危機を脱するアイデアとは?――ある第三セクターの再生物語 (1/5) - ITmedia ビジネスオンライン


それなら、運行・運営に責任を持つ主体が一体的に経営する方が、様々な手を打つ余地があるのかもしれません。例えば立山宇奈月温泉という2つの観光資源を持つ富山地方鉄道が、両者を結ぶ直通特急を運行しているように、若馬鐵道の地盤となる地域と、八方高原など北部の観光地も含めた観光キャンペーンを展開するようなことも可能でしょう。

現実的には、観光施策が当たったとはいえ、それほど路線長もない本線と短い支線を持つだけの若馬鐵道には、北部の広大なローカル線と、嫌がらせのように建設された並行路線まで面倒を見るのはしんどいだろうと思います。

でも、架空鉄道にはそうしたリアリティは必ずしも重要ではありません。
思い描く世界を提示し、観る者を引き込む「説得力」こそが重要。このシリーズで提示されている数々の絶景は、そこを走るのが衰退する第3セクター鉄道ではなく、活躍する地方鉄道であって欲しいと思わせるのに充分な説得力を備えていると思います。