君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。

ICカードと大都市近郊区間

diamond.jp

この記事を読んで気になったこと。

記事の中に、JRの大都市近郊区間の制度について説明した後、以下の記述があります。

ここまでは便利な制度だが、年々この範囲が広まってきた。その原因は、IC系交通カードの拡大にある。ICカードは「途中下車」という概念がなく、自動改札機からの「入場」と「出場」だけであり、入場の有効期間が「当日」のみであるためだ。

ところが、JR東日本Suicaの普及を背景に、利用エリアを徐々に拡大、2014(平成26年)年4月に中央本線の松本まで利用できるようになった。これにより、中央線の「松本」から常磐線の「いわき」、宇都宮線「黒磯」、上越線「水上」、房総地区の「安房鴨川」までが、東京近郊区間扱いになってしまった。

東京近郊区間でエリア内相互発着の場合は、前述したように「途中下車はできない」というルールが適用されるため、「松本~いわき」間は約451kmあるのにもかかわらず、普通乗車券の有効日数は当日限りで途中下車もできない。鉄道事業者からすれば、「Suicaの利便性を考えた」という言い分であろうが、おかしなことである。

これ、当然のように受け入れる人も多いかと思いますが、実は、この説明が通用するのは「JR東日本だけ」ということに注意する必要があります。

他のJR各社は、大都市近郊区間以外であっても普通にICカードが使えます。

JR西日本は、富山県から山口県までを一つのICOCAエリアに統合し、代わりに200kmの距離制限を基本とした駅別のエリア設定を導入しました。

JR東日本が大都市近郊区間の中にICカードエリアが含まれるようにし、整合性をとろうとしているとしたら、他の各社はどういう風に整合性をとっているんだろう、と思いました。

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交通系ICカードの全国相互利用開始記念ICOCA

例えば、JR西日本の姫路~岡山間は山陽本線経由と赤穂線経由の2つの経路があり、大都市近郊区間内でも、「特定区間の運賃計算(経路にかかわらず常に短い側の距離で計算する)」の適用区間でもないので、本来は乗車した経路に応じた運賃となるはずです。

でも、ICカードで姫路駅で入場して岡山駅で出場すれば、例え赤穂線周り(運賃計算キロ91.1キロ)で乗車しても、山陽本線経由(営業キロ88.6km)で運賃が計算されてチャージから減額されるはずです。

これは、大型時刻表の「ピンクのページ」に載っているような規則では導くことができません。

では、何を根拠にしているのか、ということでWikipediaを見てみると、「ICカード乗車券取扱約款」(http://www.jr-odekake.net/icoca/pdf/covenant_iccard.pdf)があるようで、その中にこのような条文があります。

第19条 2(前略)減額する片道普通旅客運賃の運賃計算経路は、(中略)片道普通旅客運賃が最も低廉となる経路とします。ただし、最も低廉となる経路が複数ある場合は、営業キロ(幹線と地方交通線を連続して乗車する経路の場合は運賃計算キロ)が短い経路とします。 

第20条 
(3) (中略)乗車区間の経路については、当該乗車区間に対する片道普通旅客運賃の運賃計算経路にかかわらず、利用エリア内に限り他の経路を乗車することができます。
(4) 途中下車の取扱いはしません。
(5) 入場後は、当日に限り有効とします。

つまり、別に大都市近郊区間の制度を準用しなくても、別にICカード用の規定を定めることで対応できるようなのです。

とすれば、冒頭のJR東日本に関する説明は常識的なことではなく、むしろJR各社の中では例外的な扱いだと言えます。

ならば、「なぜJR東日本だけがこんなにおかしな制度なのか」という主張も、あってもよいと思うのです。

 

それはともかく、鉄道について書かれる記事の中には、JR東日本のあり方を前提に、それを世の中の常識であるかのように書く記事が結構見受けられます。

時として「JR東日本の常識は世間の非常識」というケースがあることを気に留めておくと、記事にツッコミを入れられたり、こうしてブログのネタにしたり、いろいろと楽しいのではないか、という風に思います。