君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

動画でダイヤを魅力的に表現するために

「対々急行鉄道」シリーズでおなじみ裸単騎一発自摸さんのネットラジオを聴いていたら、リスナーのコメントにこんなものが。


>そもそも手本のダイヤって何?っていう疑問も生まれました。
>ゲーム内時間、列車の流れ、開発指向、寄るところで分かれるのかな?


これに関して、「手本といえるものを示しても、それをみんなが真似してしまったら面白くない」ということが語られたりもしました。
聴いていて、面白いテーマなので「ダイヤコンテストに便乗してみた」の第6回にしようかと思いましたが、現在進行中の「はるかとラピート」シリーズもあるし、基本的には「A列車で行かない」内容なので、動画にするのはやめておきます。


手本になるダイヤとは何か。

  • 特急がバンバン走るダイヤ
  • 特急から各停まで、たくさんの種別が設定されたダイヤ
  • 複雑な直通運転系統が入り組んだダイヤ
  • 大規模な配線を使いこなしたダイヤ
  • 平面交差をぎりぎりのタイミングで走りぬけるダイヤ
  • 少ないホームにたくさんの電車を詰め込んだダイヤ
  • 単線でぎりぎりの交換を繰り返すダイヤ


いずれもよりよいダイヤを目指して行うことの1つですが、枝葉に過ぎません。


A列車で行こう」を使った動画作品において、「手本のダイヤ」とは、「説得力」があるダイヤ、と言えます。
本来のダイヤ論としては、細かいことを言えば、編成ごとの運用、乗務員のやりくり、変電設備の都合など、その他いろいろな要素があるわけですが、「A列車で行こう」シリーズでは表現しにくい事項なのでとりあえず省きます。


例えば、海の上に浮かぶ小さな島の短い鉄道に、最新鋭の特急がバンバン走っていたら。
2階建てで10本以上乗り場があるような巨大な駅に、2両編成の気動車がたまにしか乗り入れなかったら。


それらは到底、説得力があるとはいえないでしょう。(※もちろん、その現実離れした設定に説得力を持たせるように物語を描く、というのも大いに「アリ」です)


いくつか、「説得力」の視点から、手本となるであろう事例を挙げてみます。


京浜急行品川駅で行われる、本線上折り返しによる3番線から1番線への移動、通称「浦賀サイドターン(UST)」は人気のシーンですが、それをただやりたいからやる、というのでは不十分。東鳩急行電鉄の事例のように、「ダイヤの都合上、入線時のホームと出発時のホームを別にせざるを得なかった」という事情がちゃんと説明されてこそ、意味があるものになります。
下の動画の2:34〜4:46が、その部分です。
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また、全体の路線網や列車種別を、現実の鉄道路線になぞらえて敷くことで、ダイヤに説得力を持たせたのが、「鶴屋電車北岸(きたぎし)地区」の事例です。
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この動画の2:31〜2:38、14:11〜14:15に示される路線図と、動画内の走行シーンでわかる配線を見れば、いくつかアレンジはされているものの、京阪電車をベースにした路線・ダイヤであるということがわかります。それにより、各種別の意味、沿線の各駅のポジションを理解することができます。


現実の鉄道で見られる様々なシーンには、理由なく行われているものなどひとつも存在しません。そして、その理由を我々も知っているからこそ、鉄道趣味として魅了されるシーンとなりうるのでしょう。


例えば、「カオス駅」として知られる名鉄名古屋駅
多数の列車を、上下1線ずつの狭い設備で神業的に捌いている理由は、周辺各エリアから名古屋への直通列車を乗り入れさせる必要があるにもかかわらず、都心部の地下にホームがあって、駅の拡張ができないためです。
これが、拡張が容易な場所で同じことをやっても、鉄道会社の怠慢だと叩かれるだけでしょう。


それと同様に、動画内でも、ダイヤや配線の根拠を、何とかして視聴者に伝えられるようにしたいものです。


つまり、キーワードは「説得力」です。
趣味的に面白いから、だけではなく、その根拠をきっちり提示できれば、あなたが創作したダイヤの面白みは、飛躍的に増すと思います。