君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

三陸花火大会の一日 (2)花火師の思いと三陸の夢を乗せて

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三陸花火大会のスターマイン。1万発の花火が陸前高田の夜を彩った

だいぶ時期が過ぎてしまいましたが、今年(2020年)10月31日に岩手県陸前高田市で行われた「三陸花火大会」を見に行った記録を、2回にわけてお届けします。

今年は新型コロナウイルスの影響で、東京オリンピックパラリンピックをはじめ、大人数が集まるイベントはことごとく中止を余儀なくされました。

花火大会もその1つで、事前に場所を告げずにサプライズで花火を上げるようなやり方しかできませんでした。

そんな中、8月ごろから大規模な花火大会の実現に向けて動き出したのが、新しく始まった三陸花火大会でした。

sanrikuhanabi.com

クラウドファンディングで開催資金を募り、開催にこぎつけた1万発の花火大会。

前回は、当日の昼から打ち上げ開始までの様子をお伝えしました。

a-train.hateblo.jp

会場の球場内でのコンサートが押していたのか、19:20ごろ、予定から20分ほど遅れて打ち上げが始まりました。

初めての花火撮影(……といういいわけ)

この日に備えてどこかで花火撮影の練習をしたいなと思っていたのですが、冒頭に書いた通りどこも中止になってしまい、サプライズにも出会えなかったのでぶっつけ本番になってしまいました。

一応基本的な撮り方は調べたものの、いろいろとうまくいかなかったことも多く、満足いかない点もありますが、その点は予めご了承いただいたうえでご覧いただければと思います。

1章「三陸花火大会が始まる!」

1章は音楽に乗せてのスターマインのショー。

露光を始めたはいいものの、次々と花火が打ちあがるので、どこで閉じていいのかわかりません。

最初の方に撮ったのは露光しすぎて白飛びしてしまったのですが、そもそもスターマインは写真じゃなくて動画で撮ればいいんじゃない? と思い、動画で撮っていくことにしました。

実際はBGMがあるのですが、風向きによって曲が聞こえていたり聞こえていなかったりします。

なぜか後半は再度写真で撮っていたりします。どういう心境だったのか記憶がありませんが……*1

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こんな感じであたふたしながらの1章でした。

会場の最後方で、他の撮影メインの方々と並んで撮っていたのですが、他の方々はカメラを2台並べてたり、隣の人はおそらく合成用の連続撮影を仕掛けて毛布かぶって寝てたりして、小型のエントリー向けカメラ1台と、か細い旅行用の三脚で撮ってる私とはやっぱ貫禄が違うわー、と思わされます。

2章「全国の思いを三陸花火大会に!Part 1」

「全国の思いを三陸花火大会に!」は、全国の業者から購入した花火作品を順に打ち上げていきます。2章がPart 1として前半5社になります。

各業者のメッセージは下記サイトでご覧ください。

sanrikuhanabi.com

撮影した花火の写真を順に並べていきますが、玉の数と写真の数が一致しないので撮影をあきらめたものがあるようです。また、どの花火がどの業者のものだったかまでは記録できませんでした。

花火撮影は、打ち上げから上空で開いて光が消えるまでを記録するのが基本なのですが、シャッターを閉じて画像処理している間に次の花火が打ちあがって、打ち上げの光跡が記録できていないものが多々あったりします。

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花火は見慣れていないので、なんとなくいろんなバリエーションの花火があるなあ、ぐらいで終わってしまうのですが、それぞれの開き方を実現するための工夫などを知ると、作品の奥深さも理解できたりするのかもしれないですね。

3章「2020→Goto2021→新しい世界へ」

3章はふたたびミュージックスターマインです。1章の動画はおそるおそる細切れで撮っていたのですが、今回は長めのまとまった時間で撮ってみました。

次々と打ちあがる幻想的な花火ショーを見ながら、感極まる思いがこみあげてきたのでした。詳しくは最後のまとめのところで書きたいと思います。

4章「全国の思いを三陸花火大会に!Part 2」

4章は2章に続き、全国の花火師の作品を打ち上げます。

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引き続き、各作者のメッセージは下記サイトでご覧ください。作品名も添えられているので、どの作品がどの花火かを推測するのもありかもしれません(読者に丸投げ……)。

sanrikuhanabi.com

5章「みんなで夢を打ち上げよう」

最後はミュージックスターマインで締めくくり。

ですが、この辺でカメラの電池がいよいよ尽きてきました*2

後半は撮影をあきらめ、なんとか残り僅かな電池でフィナーレだけ撮ることができました。

最後はキラキラキラ………と光が消えていく演出が見事でした。

大会後の大船渡線BRT

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大会の終了後、観客が順次退場していきます。

動きは比較的スムーズで、渋滞して長いこと待たされるということはありませんでした。

この日は気仙沼駅近くに宿を取っていたので、大船渡線BRTで気仙沼に戻ります。

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20:28ごろ。陸前高田駅近くまで来ました。

交差点に差し掛かった大船渡線BRTのバス1台と、その直後に1台。そして左端奥の乗り場にももう1台見えます。

手前にいるのが20:01発の気仙沼行きと、20:14発の陸前矢作行き。本来は、20時に花火大会が終わり、観客をある程度収容して発車する想定だったのが、大会が終わるのが20分ほど遅くなったので、ガラガラのままでの発車となったのではないかと思います。

奥の盛行き(所定で20:03発)は、観客を乗せてから発車していきました。

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駅の交通広場に待機する3台のバス。

大船渡線BRTで臨時運転の予告はなかったのですが、さすがに臨時便を出す態勢は整えていたようです。

気仙沼陸前矢作・盛の各方向に順次ピストン輸送するのかなと思ったのですが、そういうわけではありませんでした。

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乗り場に停車する盛行きの臨時便。職員さんの案内によれば20:58発とのことで、20分ちょっとの待ち時間があります。本来であれば陸前矢作発盛行きの発車時刻ですが、それは渋滞で遅れてくるはずなので、陸前高田を所定時刻で発車する便を別途仕立てる形の対応だったようです。

気仙沼行き、陸前矢作行きも同様の対応でした。

同じ形がよく見られるのは、東海道新幹線で大幅な遅延が発生した場合の山陽新幹線で、東海道新幹線から直通する「のぞみ」の代わりに、新大阪以降をそれと同じ時刻で運転する臨時の「のぞみ」を運転することがあります。

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乗り場は、昼間に見かけた資材を使って、方面別に列を作るように区切られていました。

ということで、本来であれば盛発気仙沼行きが発車する21:09に、陸前高田始発の臨時便で出発します。

会場付近は渋滞していましたが、そこを抜けて次の駅の奇跡の一本松付近まで行くとそんなに混雑もなく、気仙沼には10分程度の遅れで到着。

車内では、運転士とは別に職員の方が乗車されていて、気仙沼から大船渡線に乗り継ぐ人がいないかの確認がありましたが、誰も反応はありませんでした。

そもそも大船渡線気仙沼発の最終は19:36なので、花火大会を見てさらに大船渡線に乗ろうなんていう人はいないはずです。

ただ、花火大会とは無関係に、大船渡線BRTの遅延のために大船渡線の最終列車に乗り継げなかった人の救済が必要、ということはあり得るかもしれません。

とはいえ、19:36発の列車を22時ごろまで待たせるのはとても現実的ではないし、どうするのかと思っていたのですが、気仙沼に着くと、一ノ関行きの臨時列車が用意されていました。

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昼間、気仙沼駅では臨時列車の案内を見かけなかったので、「隠し玉登場!」という感じだったのですが、でも、予め列車の存在を知らなければ、それに乗る前提で予定を組む人もいないはずです。

気仙沼駅から宿に向かう途中で臨時列車が横を通り過ぎていきましたが、ざっと見る限りでは誰も乗っていなかったのではないかと思います。

臨時列車はなんだか空振りに終わった感もありますが、もしかしたら必要になった場面もあるかもしれません。事前にはBRTの臨時便も含めて何の告知もなく、地域の一大イベントなのにJRはなんか冷淡だなあ、などと思っていたのですが、実はきちんと備えていたことがわかってなんだか嬉しくなりました。

まとめ:「復興」を前面に出さない大イベントを成功させた、復興の力

この地域のイベントは、「復興」を掲げて行われることが多いのです。

「復興五輪」を掲げた東京オリンピックパラリンピックもそうです。だから、福島・宮城・岩手の3県では特別に、聖火リレーに先立って聖火を展示する「復興の火」イベントが行われました。

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2020年3月23日、大船渡駅前で行われた「復興の火」イベント

そんな中、三陸花火大会が「復興」を前面に掲げないことはやや意外に思いました。

大会名は「三陸復興花火大会」ではなく単に「三陸花火大会」であり、その目的は、コロナ禍で出番をなくした全国の花火師の花火を打ち上げる機会を作ろう! というものでした。「三陸の復興のために」ということは、もちろん思いとしてはあるのでしょうが、大会の目的として表に出てくることはありませんでした。

「復興」を掲げて国や県が担ぎ上げるようなイベントだけではなく、普通の大イベントを普通にやれる、それだけの復興を遂げたんだ、ということを示していくのは今後この地域において必要になってくると思います。

実際、会場の高田松原運動公園も、BRTを含めた交通の迂回路となった道路も、今年になって整備が完了したものでした。それだけ復興が進んだからこそ実現できたイベントでもありました。

今年、これだけの花火大会が実現したのが東京でも大曲でも長岡でもなく、震災で甚大な被害を受けた陸前高田の地であったということがいかにも痛快で、とても素晴らしかったと思います。

今回の大会は、来年以降、「三陸花火競技大会」として続けていく夢の一歩としてのプレ大会だそうです。この地域の代表的なイベントとして定着していくことを願っています。

*1:ただ、写真で撮っていたおかげで、この記事のアイキャッチに使える写真ができたという面はあります。

*2:前回書きましたが、予備バッテリーの充電ができておらず、わざわざ大船渡のドトールまで電池を稼ぎに行ったのでした。