4月13日に開幕した大阪・関西万博。
期間中いつでも入場できる「通期パス」を買ったので、こまめに訪ねていろいろと巡りたいと思っています。
7度目の訪問は5月3日。4連休の初日となりました。
- 万博ならではの「コモンズパビリオン」へ
- 日本の弁当の見本のような天むす弁当と、微生物によるコンポスト発電
- NOT FOR SALE。紛争当事者となった国の出展
- いのちパークで吹き出るミスト。貴重な子どもの遊び場という感じ
- パビリオン前のショーからパレード、ナショナルデーまで、サンマリノ共和国に密着
- 新しい驚きがないのはしょうがない。アメリカパビリオンでのバーガーとジャズ
- 昼も夜も踊っていたマレーシアパビリオン
- 5月3日のまとめ:生身の世界を感じられる万博
万博ならではの「コモンズパビリオン」へ
この日は11:30ごろ入場したのですが、15:00ごろまでは予定がなく、当日予約を見てみたものの、この時間帯での予約はできませんでした。
なので、予約なしで行けるパビリオンを見てみることにします。
東ゲートからリングの内側に入って歩いていて、比較的すぐに入れそうだったのがコモンズパビリオンのA館だったので、入ってみることにしました。


コモンズパビリオンとは、広いフロアに多数の国が共同で出展しているパビリオンのことで、大阪・関西万博では「COMMONS-A」などのパビリオン名とともに、出展国の国旗の柄が表示されています。
単独でパビリオンを出展するのはそれなりに大きく、日本でも知られている国がほとんどなのですが、コモンズパビリオンには日本でほとんど知られていないような国もあり、そうした国について知る機会ともなります。
「万博といえばコモンズパビリオン」という人もいるくらいで、万博ならではというコンテンツなのでしょう。
コモンズパビリオンの内部は、国ごとに、フロア外周に沿って配置されたブース用のスペースと、フロア中央部の小さなスペースの2か所が割り当てられているようです。その2か所を、国によっていろいろな使い方をされていました。
だいたいの国は見るだけの展示なのですが、たまに、触れる民族楽器が置いてあったりします。ノリノリで太鼓を叩いていたパビリオンの方に合わせて、低音の太鼓で4拍子を叩いてなんとなくセッションになったり、ドラム缶を再利用したスティールパンを演奏できるところもありました。
問題なのは、ふらっと出くわしたものを楽しんでいた感じで、それがどこの国なのかということを覚えていないことです。「後で写真を見返せばわかるでしょ」ぐらいのつもりだったのですが、残念ながら見返してもさっぱりわかりませんでした。


(右)スティールパンの演奏ができたブース
やがてブルンジ共和国のブースの前を通った時、担当者の方から「この豆をショップに持っていったら5%引きになりますよ」とコーヒー豆を1粒渡されたので、そのままショップに向かいます。
そして、アイスコーヒー(648円)とカヌレパフェ(1,728円)を購入。コーヒー豆を渡すと専用の小さなカゴに回収されていました。これで販促効果を確認するんでしょうね。
なお、割引は税込み総額から5%引きとなっていました。


コーヒーはブルンジ産です。カヌレパフェは大阪の店とのコラボで、本来はブルンジ産のはちみつを使うらしいのですが、まだ届いていないとかで現時点では和歌山産のはちみつを使っているようです。ただ、カヌレ、おからスナック、ソフトクリームをメインとしたパフェは、それはそれでおいしかったのでありだと思います。
ただ、パビリオン内では食べられないし、外で食べようにも、座れる場所が見つからなければ速攻でパフェのアイスが溶けていくので、立ったまま食べるしかありません。付近にはベンチも数多く置かれていますが、来場者で埋まっていることもあり得るので要注意です。
日本の弁当の見本のような天むす弁当と、微生物によるコンポスト発電
その後、ちゃんとした昼食を取るために会場内をぶらぶらして、並んでいる人が少なかった「f fields」に入りました。ベジタリアン向けのメニューも多数あるようですが、注文したのは普通の天むす弁当(天むす5個・1,700円)でした。


天むすをメインに唐揚げ・卵焼き・酢の物・各種の煮物と、日本の食事の基本が一通り揃った弁当で、これは外国人向けの料理としていいような気がしました。
なお、店舗の中央にある木の枝のオブジェは、店舗で出る野菜の切れ端などを微生物で分解し、それにより生成された電気で照明が灯るようになっているようです。微生物によるごみの活用は日本館で詳しく展示されていて*1、それと相通じるものがあります。
NOT FOR SALE。紛争当事者となった国の出展
この後はサンマリノ共和国のナショナルデー関連がメインになるのですが、その間の他の話を先にまとめて書いておきます。
サンマリノ共和国の出展を見るためにコモンズパビリオンC館へ。
万博に出展している158の国の中には、紛争の当事者となっている国もあります。我々日本人がよく知っている紛争もあれば、日本で報じられることがない、内戦のような紛争を抱えている国もあるのだと思います。
C館を歩いていると、ウクライナのブースがありました。「"NOT" FOR SALE」と大きく掲げられています。VR?を利用した展示があったようですが、だいぶ並んでて見る時間がなかったので見送りました。
また、館内を巡っているとイスラエルのブースもありました。こちらは、「日本との関係」を軸にした展示になっていたようです。


いのちパークで吹き出るミスト。貴重な子どもの遊び場という感じ
会場内を西から東に歩いていたら、中央あたりにある「いのちパーク」に来ました。定期的にミストが噴き出す場所として知られています。
周囲にはベンチが数多く置かれているのでそこで一休みしていたのですが、アナウンスとともにミストが噴き出すと、周囲にいた人たちが一斉にそこに駆け込んでいったのでちょっとびっくりしました。
ミストが噴き出すのはパークの外周部だけなのですが、そこを通る時、さすがにカメラを出したまま通るのはまずいなと思い、いったんバッグにしまってから通りました。
今回の万博は乗って楽しめるようなアトラクションがないので、会場各所にある遊具や、このいのちパークの少し北側にある水辺とともに、子どもが遊んで楽しめる貴重な場所になっている感じがしました。


パビリオン前のショーからパレード、ナショナルデーまで、サンマリノ共和国に密着
この日はサンマリノ共和国のナショナルデーでした。
ナショナルデーというのは万博の開催期間中に各参加国に1日割り当てられ、国際機関の場合はスペシャルデー、そして開催国の日本の場合はジャパン・デーとなりますが、万博への参加を祝うとともに、対象国がイベントなどを行う場でもあります。
催されるイベントも国によって違いますが、サンマリノ共和国のイベントとして15:00から大屋根リング下のパレード、16:30からナショナルデーの式典が予定されていました。
サンマリノ共和国が出展しているコモンズパビリオン前でのショー
パレードはリング西側のシンガポールパビリオンあたりから始まるとのことで、その方向に向かっていたところ、途中のコモンズパビリオンC館前を通りかかった時に、突然ラッパの吹奏が聞こえ、何やらショーが始まりました。中世を思わせる衣装に身を包んだ方々は、最初はどこの国なのかわからなかったのですが、途中から見えた旗のシンボルからサンマリノ共和国なのだとわかり、ちょうどいいので見ていくことにしました。
演じられていたのはサンマリノ・クロスボウ連盟のショーで、ファンファーレトランペットや太鼓隊が盛り上げつつ、旗手が演舞を行います。旗を上空に放り投げてそれを見事にキャッチする、という場面が見せ場でした。


パビリオンの見学と大屋根リングのパレード
その後、コモンズパビリオンC館でサンマリノの展示へ。実はサンマリノといってもどんな国なのかさっぱり知らなかったのですが、イタリアの領内にある小さな国で、世界最古の共和国とされていることや、主な特徴などをざっと知った後、15:00からのパレードへ向かいます。
大屋根リングの下の通路を通るパレードをどこから撮ったらいいのか……と考えていたところ、近くにリングの上に上がる階段があり、その踊り場から下の通路がよく見えることを発見。急いで向かい、パレードの通過に間に合いました。




その後、ナショナルデー式典の会場となる、東ゲート側エリアにある「レイガーデン」へ。
最初はその付近でパレードの到着を待って、撮影してから会場に行くつもりだったのですが、すでにだいぶ長い列ができていて、遅れると会場に入れなくなる懸念もありそうだったのですぐに列に並びました。30分ほど待って開場となり、さらに30分ほどして式典が始まりました。
レイガーデンでのナショナルデー式典
両国の政府代表が登場する式典ということもあり、取材の報道陣もスタンバイしています。


サンマリノ共和国の政府代表団が入場後、サンマリノ、日本の順に国旗を掲揚。そして日本政府からは伊東良孝国際博覧会担当大臣の歓迎の挨拶、サンマリノ共和国からはデニス・ブロンゼッティ、イタロ・リギの両執政による挨拶が行われました。
サンマリノ共和国は執政が国家元首ですが、必ず2名で務め、任期はわずか半年で連続再選は禁止、という形で独裁を防ぐ体制となっています。これが約800年前から続いてきているとか。




その後は音楽・文化パフォーマンスとしていくつかのパフォーマンスが行われました。
まずは国立サンマリノ音楽学院によるアンサンブル。弦楽四重奏にピアノ、フルート、クラリネットという構成です。いくつかの楽曲が演奏された後、何気ない前奏から始まったのは久石譲さん作曲の「Summer」でした。このメロディが流れた瞬間に会場の空気が変わったのが感じられました。


全部で6曲ほどだったと思いますが、美しいアンサンブルを堪能した後は、サンマリノパビリオンのアンバサダーを務めているバイオリニスト、川井郁子さんの演奏。美しい桜の木の映像を背景にした演奏や、和楽器のアレンジを加えた「Jupiter」(組曲「惑星」の中の第4楽章「木星」として知られている曲)の演奏など、和の表現を前面に出したパフォーマンスとなっていました。
建国以来戦争がないというサンマリノの歴史にちなみ、平和な世界への願いを込めて演じられたJupiterは、バイオリンの最低音域の切々とした音色から、きらびやかな最高音域まで、幅広い表現を堪能できる素晴らしい演奏でした。


そして最後はサンマリノ・クロスボウ連盟のショー。ここでは単に旗を投げて取るだけではなく、ペアでの旗の受け渡しや、1人で3本の旗を操るなど多彩な演技が披露されました。


これでおよそ90分にわたる式典は終了となりました。
その後、ポーランドのシロンスク歌舞アンサンブルのショーを見に行く予定だったのですが、ナショナルデーの式典が思ったよりもかなり長く、急いで会場に行ったもののすでに立ち見でした。さすがに1時間で予定されているショーを立ち見で見る根性はなかったので断念しました。
新しい驚きがないのはしょうがない。アメリカパビリオンでのバーガーとジャズ
ポーランドのショーを諦めて代わりに何をしようかと歩いていると、アメリカパビリオンの長い列の横で、レストランやステージへ続く入口がガラガラなのを見つけました。
行ってみるとほとんど待ちがなかったのでそのままアメリカパビリオンのレストランへ。注文したのはスパーク・バーガー(1,780円)とオーロラ・アラスカンサーモンバーガー(1,620円)。飲み物はなしです。その辺の自販機で200円未満で売っているようなものが800円だったので、さすがに手が出ませんでした。


スパーク・バーガーはバンズにビーフパティ、チーズ、ケチャップベースのソースというハンバーガーの王道。オーロラ・アラスカンサーモンバーガーはサーモンパティと野菜を挟み、ドレッシングやマヨネーズでの味付け。こちらも、例えばモスバーガーのモス野菜バーガーとかでなじみがある感じの味付けです。
どちらも任天堂のゲームみたいな星のキャラがデザインされているのは、たぶんパビリオンのマスコットキャラなんでしょうね。
チェーン店ではない、ちょっとこだわりのハンバーガーショップで1,200~1,300円ぐらいで食べられそうな感じのバーガーなので、万博物価ということを考えればそんなものかなという値段です。ただ、アメリカの食文化は日本に深く入り込んでいるので、食べて何か新しい発見があるわけではありません。アメリカを選んだ時点で、それは最初から期待してないので別にいいのです。
バーガーを食べ終えて外に出ようとする頃、隣接したステージでジャズの演奏が始まりました。Leonieke and the New York Groove(ラヨニーカ・アンド・ニューヨーク・グルーブ)という、オルガンのラヨニーカが率いるバンドのジャズライブでした。
オルガンの他、サックス、エレキギター、ドラムの4人組。ジャズも文化としてすっかり日本に根付いていて、これも万博ならではの何かがあるわけでもないのですが、日が暮れゆく中をジャズに浸って過ごすというのも、それだけで悪くない時間だと思います。
昼も夜も踊っていたマレーシアパビリオン
マレーシアパビリオンの内部は以前に訪ねたのですが*2、東ゲートに近いところにあるので、東ゲートから入場して西側に行こうとすると、よくその前を通りかかります。
この日、入場後に通りかかった時には、表のステージで拳法をベースにした舞踊をやっていました。そして、夜はアメリカパビリオンから東ゲートへ向かって帰ろうとしたら、何やら愉快な音楽が聞こえてきて、見に行ってみたら民俗音楽風の楽曲に乗せたステージが披露されていました。やがて、来場者も巻き込んでのダンスに。とにかく陽気な雰囲気と、パフォーマンスの多様なバリエーションが印象に残ります。


5月3日のまとめ:生身の世界を感じられる万博
万博がディズニーリゾートやUSJのようなテーマパークと違うと言えるのが、この日に見たコモンズパビリオンやナショナルデーの存在なのだと思います。
1つの国が単独で建設するパビリオンは、例えば日本館が「物質の循環」をテーマにするなど、だいたい特定のテーマに沿って演出されるのですが、コモンズパビリオンはそこまで演出できるわけでもなく、国自体をPRするような場になるので、その国の生身の姿がより際立って現れるように思います。
またナショナルデーは外交儀礼的な要素もあり、世界が国際関係で成り立っているという一端を垣間見れる場所でもあります。そうした一面を見つつ、各国ごとに異なるショーを楽しめるのだから、ナショナルデーが面白くないわけがない、と納得しました。今後、機会があればナショナルデーは必ず予定に組み入れようと思いました。