JR東日本の気仙沼線は全区間でBRT(Bus Rapid Transit=バス高速輸送システム)が運行されており、その大部分で、鉄道の線路敷を活用した専用道が整備されています。
専用道の整備は沿線自治体の復興事業や河川の防災対策と足並みをそろえる形で進められてきましたが、最後の大物として残ったのが気仙沼市の市街地を通る松岩~不動の沢間で、2020年春に専用道に移行することが発表されています*1。
参考として、2019年10月時点の気仙沼線BRTのルート図は下記記事になりますのでご参照ください。
今回の移行対象となるエリアは以下の通りです。赤線が現在の運行ルート、グレーの線が昔の鉄道線、つまり移行予定の専用道になります。
専用道上の新駅として赤岩港駅を設置する予定となっています。
1月中旬に移行予定の専用道付近を巡った様子を下記の記事に書きました。
今回は、2月下旬に一部の進捗を見てきましたので、そのご報告です。本当はすべて見て回りたかったのですが、天候に恵まれなかったなどで時間がなく、赤岩港駅付近については見ることができませんでした。
松岩駅付近
松岩~赤岩港間の地図。アルファベットは写真の撮影場所、矢印は撮影方向です(以下同様)。
今回は、A地点(松岩駅北側)で変化があったのを発見しました。
上下2枚を比べてみると、感応式信号が設けられているのがわかります。前の記事で以下の通り書いていたのですが、最後の予想は誤りでした。
専用道で右側に張り出した部分は待避所。BRTには感知式信号とバスロケーションシステムを連動させて閉塞を設けている区間と、待避所を多数設けて運転士が各自の判断で待避する区間とがあり、その後者のようです。
実際、こう書きつつも、トンネルを含む区間を無閉塞ってのは危なくないかな? というのは実はちょっと疑問だったのですが、その疑問は間違っていなかったようです。
南気仙沼駅
上の地図のG地点が新しい南気仙沼駅になります。
南気仙沼駅はニュースリリースにて、円筒形の駅舎になることが公表されていましたが、1月時点ではまだ工事用の枠組みだけでした。
2月下旬時点では、まだ工事中ではありますが、円筒形駅舎が姿を現していました。
駅舎はまだまだ工事中で、これで3月14日に間に合うのかな? という疑問もあるのですが、すでに乗降場は出来上がっています。
もし駅舎が間に合わなくても、少なくとも屋根だけは完成させれば、一応は駅として機能できるのかな、とも思いました。
こちらは気仙沼行きのホーム。1月には基礎だけできていましたが、乗降場は舗装され、上屋も付き、後は背面のパネルを付けるだけになっています。
駅前ロータリーから、乗降場へつながるルート。これも舗装は完成しています。
駅のすぐ南側には感応式信号が設けられていました。
この先は川を渡るために高架になるので、待避所が設けられないということでしょう。
南気仙沼→不動の沢
上の図のJ地点(大川の橋の上)で、前回は北西向きに撮影したのですが、南東向きを撮影してみると、なかなか面白い構図なのでした。
上の構図で、左右に横切る線がいくつも見えると思います。
一番手前にあるのが歩行者用の橋。その奥、中央が山なりになったコンクリート橋がBRTの専用道(赤岩港~南気仙沼間)。左の方に見えるアーチ橋が、唐桑半島と大島を結ぶ気仙沼大島大橋(鶴亀大橋)。その橋のてっぺんにかぶさるように伸びているのが、工事中の三陸自動車道。
4つの橋が概ね均等に縦に並ぶというのも、なかなか面白いのではないでしょうか。
左上に見える山は、気仙沼一帯を俯瞰できるビュースポットとして知られる亀山になります。
BRTを撮影するという観点でいうと、たぶん側壁が高くてあまり映えない場所ではないかと思います。ただ、手前に歩行者がいたり、奥に行き交う車が見えたりすると(見えるのかな?)いい構図になるような気もします。
K地点付近。今回はBRTの車内から撮影しました。
1月にはまだガードレールも防風柵もなかった場所ですが、すっかり整備が完了していました。
簡単ではありますが、ざっと見てみると、南気仙沼駅の駅舎の進捗が気になるものの、その他は順調に整備が進んでいるようでした。
同時に開業する、大船渡線BRT側の新駅(陸前今泉、大船渡丸森、地ノ森、田茂山)についても見てきましたので、別記事にて紹介します。
*1:2019年10月9日 JR盛岡支社プレスリリース「気仙沼線 BRT 新駅の設置について」(https://www.jr-morioka.com/cgi-bin/pdf/press/pdf_1570598238_1.pdf)、「気仙沼線 BRT「南気仙沼駅」の専用道上への移設に向けた駅舎の工事について」(https://www.jr-morioka.com/cgi-bin/pdf/press/pdf_1570598385_1.pdf)より