2020年1月下旬、仙台~鳴子温泉間で運転された「風っこストーブ湯けむり号」に乗車してきたので、乗車時の様子や、鳴子温泉で短時間ですが滞在した記録を書きたいと思います。
「風っこストーブ湯けむり号」とは
1月25日・26日に運転された「風っこストーブ湯けむり号」は、JR東日本のトロッコ風車両「びゅうコースター風っこ」を使用した全車指定席の臨時快速列車で、仙台~(東北本線)~小牛田~(陸羽東線)~鳴子温泉間を結びます。
この区間で定期的に運行されている「リゾートみのり」は鳴子温泉の先、新庄まで運行されるので、それと比べると運行区間は短めになります。
「びゅうコースター風っこ」は2019年の夏、JR北海道の宗谷本線を走ったことでも話題になりましたが、窓を取り外すことができるトロッコ風の車両です。
もちろん、真冬ですので窓は取り外しません。
この冬には他に、1月11日~13日に「風っこストーブ女川号」(仙台から小牛田経由で女川まで運行)が運転されたようです。
仙台駅から乗車。編成外観と車内の様子
朝9時過ぎ、仙台駅に列車が入線してきました。
先頭で入ってきた茶色い車両は、「イベントカー」として増結されているリゾートみのりの車両。普段は3両編成の中間にあって、先頭部を見ることはできないようです。
車両の連結部。風っこ側に「仙台⇔鳴子温泉」の運行区間表示が掲出されています。
3両編成の全景。鳴子温泉行きは風っこ側が先頭になります。
車内へ向かいましょう。確保した指定席は、風っこの1号車。先頭から2号車、1号車、イベントカーの順番になります。
イベントカーの車内。車外と同じ茶色系の暖かみのあるシートカバーで、鳴子峡の紅葉があしらわれているのが目立ちます。
風っこに入ると、うって変わってとても素朴な雰囲気。
窓の外に、窓を取り外した際の安全対策として柵が付いているのが特徴的です(目線の高さに来るので実は微妙に邪魔…)。
白熱灯のランプがいい味を出しています。
列車名にもなっているストーブは、2号車の車内でガンガンに稼働していました。
らせん状のしっかりしたドリンクホルダー。窓を外した時に風が吹くことを考慮したものなのでしょう。
仙台を出発した列車は東北本線を北に向かい、松島に停車した後、小牛田から陸羽東線に入っていきます。
仙台・松島では駅員の方のお見送りがありました。
超余談になりますが、乗車の前日、松島付近の山の上からチラッと東北本線が入るので仙台行きの風っこストーブ湯けむり号を撮ろうとしたら、見事に貨物列車に被られてしまったのでした。
陸羽東線に入ると一面の田園地帯。
例年なら日によっては一面の雪景色だったりするのかもしれませんが、この冬はそういうことは期待できそうにありません。
古川駅、そして鳴子温泉へ
東北新幹線と接続する古川駅に到着。停車時間が11分あります。
列車が到着してから、歓迎の幕を用意する駅員さん。微妙に遅い気がしないでもありませんが、こういうものなのでしょうか。あるいは、最初はホームの後方で列車を迎え、その後に先頭側に移るところなのかもしれません。
風っこ側からの写真。ホームに座り込んでいる方は、床下の機械をのぞき込んでいるのでしょうか。
渋くていい色。リゾートみのりもいつか乗ってみたいですね。
古川駅を出発。真剣な表情で出発シーンを撮影している方がいました。
お見送りを受けて西へ向かいます。
うっすらと雪化粧した山並みを見ながら進みます。
岩出山駅で対向列車との行き違い待ち。
発車の時、沿線で手を振って見送ってくれていました。
前の方にストーブがあって管理する係員がいたので、もしかしたら係員の方が手を振っていたのかもしれませんね。
川渡温泉駅を出る時に、それを線路わきで見ていた方々。
とてもいい表情だったのだけど、さすがにちょっとそのまま出せないのが残念です。
古川を出てから、ずっとカメラを車窓に向けていた方が。車窓を撮っていたんでしょうか。
観光向けの臨時列車ですが、特に車内でイベントがあるわけではなく、非日常の車内でそれぞれの時間を楽しむ、といった感じで鳴子温泉へ到着しました。
鳴子温泉にて
左側のご当地キャラはこけしがモチーフの「なる子ちゃん」です。
列車から降りたホームで、観光協会の方が歓迎セット一式を配布していました。
タオル、観光マップ、スタンプラリー企画の台紙(後述)といった内容でした。
列車の到着に合わせて、おしるこのふるまいがあるというので喜んでいただきました。
鳴子温泉の駅舎。
2階にテラス風のスペースがあったり、その真下に足湯があるのが温泉街の雰囲気ですね。
到着が11時01分。次に乗る新庄行きの普通列車が13時05分発予定なので、滞在時間は2時間ほどです。
まあ、昼食をいただいて、後は少しぶらぶらしたら終わりという感じでしょう。
とりあえず駅前を見回してみると…
さっき駅でお出迎えをしてくれたなる子ちゃんが、路地を去っていくのでした。
1人でとぼとぼと去っていく後ろ姿になんともいえない哀愁が漂います。
でも、この後、この道の先にある交差点では観光客相手に元気に愛嬌を振りまいていたのでした。ご当地キャラも大変だなあ。
町の風景。奥の方にいかにもな温泉旅館が立ち並びます。手前の施設は休憩スポットで、屋内には手湯があります。
鳴子郵便局。懐かしい円形ポストもこけし風にアレンジされていました。
昼食は、鳴子郵便局の目の前にある「たかはし亭」さんでいただきました。
11時を回ったばかりなのでまだまだ空いています。
旅館風の内装で、日の当たる座敷席というのがまた落ち着ける感じです。
注文したのは鳴子産の蕎麦粉を使ったという塩焼きそば、「鳴子焼蕎麦・塩」。
実は、メニューが御膳・蕎麦・カレーといった定番ものだったので、そこまで期待はしていなかったのです。
ところが、この塩焼きそばが一般的な概念を覆す見事な一品でした。
見てわかる通り、色とりどりの具材が盛られた鮮やかな色彩。キャベツや鶏肉、茄子の輪切りで炒めてあるだけではなく、ダイコンや紫玉ねぎの千切りを添えてシャキシャキとしたみずみずしさがあります。
面白かったのは添えられたオレンジ。まあ、焼きそばとは別に食べればいいのでしょうが、あえて焼きそばと一緒に丸ごと食べてみました。すると、これがまた新しい味覚で美味しい。決して、バランスは悪くないです(ただし、酢豚のパイナップルやポテサラのりんごが苦手な人はやめておきましょう)。こんな組み合わせがあったのかとびっくりです。
付け合わせも塩麴に漬けたしっとりとした豆腐、野菜のピクルス、わかめスープ、漬物、そして温泉玉子(オプション)と充実。意外なところで感動を味わうことができました。
食後に注文した冷やしぜんざい。さっきおしるこもらったやん!と突っ込まれそうですが、食べたいんだから仕方がない。
もしかしたら夏季限定かな、と思って聞いたら冬でも出してるとのことですが、寒い冬に暖かい部屋でこういうものを食べるのも、また乙なものだと思います。温泉を浴びた人にもいいかもしれないですね。
こういった甘味については、個人的に「甘さがくどすぎない」ということを重視してます。そういった意味では、甘さがあまり後に残らず、ほどよい好みの加減でした。
スタンプラリーの台紙。2つの店で買い物をしてスタンプを押してもらおう、というもの。抽選で当たったのは3等のハンドタオルでした。
抽選を終えて会場を出ようとすると、「どの店で買い物をしたか」をさっそく集計に書き加えていたようで、なるほどと思いつつ、店ごとの競争の厳しさを感じさせられたりもしました。
この後は普通列車で新庄へ。
風っこはまた乗ってみたくなったし(今度は夏がいいかな)、鳴子温泉もまた行ってみたいと思える、いい経験でした。