気仙沼線BRT・大船渡線BRTを鉄道っぽく撮ってみた(3)
下記の記事にて最後に書いた通り、11月頭の3連休で再度、気仙沼線・大船渡線BRTを訪ねて撮影に行ってきました。
今回は以下の3つのテーマを用意しての訪問でした。
1.と2.については前回の記事でご紹介しました。
本記事では3.についてご紹介します。
大船渡線BRT・小友~盛間の専用道で撮影場所を探す
これまで、朝は日の出ならではの風景を撮ることを目指していたのですが、この日は3日間の最終日で、夕方に現地を発って帰京しないといけないこともあり、朝から時間を有効に使うことを目的に移動します。
まずは気仙沼から小友駅へ移動。
以前から、一面の田園風景を撮ってみたいと思っていた場所でした。
駅の少し東側から、陸前高田の展望スポットである箱根山を背後に撮影。
見事な快晴だったので、この日は色彩の鮮やかさを強調して撮影していきます。
バスの速度は鉄道より遅いので、シャッタースピードは1/320秒で大丈夫だと思っていたのですが、実はちょっと足りてなくて車両が微妙にぶれているのは内緒……。
また、田植えの時期とかにリベンジしたいと思います。
次は大船渡へ向かうのですが、少し時間があるので下船渡で下車してみます。
この駅は、気仙沼線・大船渡線BRTでは珍しい、鉄道駅の駅舎をそのまま利用している駅で、BRT単独駅では他には気仙沼線の陸前階上・本吉しかありません(陸前矢作駅は鉄道駅舎も稼働していますが、それとは別にBRT用の駅舎が整備されています)。
共通する特徴としては、元の駅舎に連子の飾りをつけてゆとりを感じるイメージにしているところですね。
ただ、この駅は通路の屋根や手前の白い柵が目立ち、駅舎が隠れた感じになるのが少し残念なところです。
この次のバスで大船渡駅へ。駅の南側の商店街にある自転車屋さんが、大船渡駅付近で唯一のレンタサイクルをやっています(以下の写真は返却時に撮影)。
変速付き自転車が1日500円、電動アシスト付き自転車が1日700円。大船渡は湾に向かって斜めに切れ込んでいる坂の町なので、電動アシストがある方がいいと思います。
簡単な手続きで自転車をお借りして、9:40ごろに町めぐりに出ました。
細浦駅付近から攻めて最後に大船渡に戻ってくる方向で、まずは湾岸を一気に南下。途中、下船渡から細浦へ向かう時に丘を越える必要があるのですが、電動アシストのおかげで楽に進めます。
細浦駅北側の漁港付近から、湾岸を走るBRTを撮影しました。
上下のバスが近接した時間に走る場合は、こうして両方の向きで構図を考えて撮るようにしています。バスの場合はどっちを向くかで写真の意味が大きく変わるのが大変です。
山が素敵な感じに紅葉しています。
真っ赤な紅葉もいいですが、こうして緑の中に映える鮮やかな赤、というのも好きです。
次は細浦駅付近で東西から漁港を入れて撮影。
活気を感じる漁港の風景が心に残ります。
昼を回ったので、2枚目の写真の左側に見えるローソンでそそくさと昼食を買って食べ、次の目的地である大船渡魚市場駅付近へ向かいます。
午前中に通ってきた海側の通りは、歩車分離されていなくて神経を使ったので、山側への迂回経路にはなりますが、歩車分離されているらしい県道38号線を進んでいきます。
県道沿いは木々が伸びていて、残念ながら海側は見えません。ひたすら北を目指します。
ところが、ぐんぐん高度を上げ、丘の最高地点まで到達して後は下るだけ、というところで、一瞬だけ海側が見えるのに気づきました。
戻ってみてみると、そこには息をのむ美しい風景が。これを逃がす手はない、とばかり上下のバスを撮影しました。
鮮やかな海と、大船渡湾入り口の防波堤。手前の築堤を走るバス。
思わぬところで、大船渡線随一ではないかと思える風景に出会えました。
大船渡湾の防波堤は、かつてチリ地震津波の被害を受けて建設されたものが東日本大震災で破壊され、より強化して再建されました。そういう意味ではこれも震災を物語る建造物で、ぜひ撮ってみたかったのです。
駅から徒歩の範囲で撮っていたら出会えなかっただろう風景。付近は駐車場などもなく、車で来るのも少し面倒な場所です。自転車だからこそ出会えた、レンタサイクルの神(笑)が降りて来たかのような出会いに感謝しつつ、さらに北へ向かいます。
大船渡魚市場駅付近はいくつかピックアップしていたのですが、途中で、twitterで教えていただいた場所を見つけたのでそこで撮ってみることにしました。
はじめまして。既にリサーチされているかもしれませんが、大船渡魚市場前駅の下船渡側で海をバックに撮影できますので、参考まで。
— こうの@JN18 (@mc101_jp) 2019年10月19日
(1枚目の場所は順光は夏の午後遅め限定ですが) pic.twitter.com/y4wkc8nw6g
教えていただいた構図だとゆるいS字カーブが印象的だったのですが、もう午後もだいぶ時間が過ぎ、カーブの場所には影が落ちてしまっていたのでそこを避けて撮影。
前面が影になるのは方角上、仕方ない面があります。
これも悪くはないんですが、背後に海があるという以外にあまり特徴がないのが気になるところです。
こちらは北側方向の構図。奥に巨大な赤白の煙突が見えたので構図に入れてみました。
この煙突は大船渡湾のどこでもよく見えるので、個人的には大船渡のランドマークだと思っているのですが、実際どうなのでしょうね。
手前に魚市場、奥には工場地帯と巨大な煙突。港町の活気や力強さが出ている気がして、個人的にお気に入りの構図です。
ここで切り上げてもいいかと思いましたが、最後にもう1か所、気になっていた場所に行ってみます。
上記の記事のように、5月に訪問した際にも大船渡駅近くの高台から写真を撮ったのですが、そこでBRTを撮るという発想がなかったので、もう一度同じ場所に行ってみたかったのです。
巨大な煙突と、たまたま停泊していた巨大なタンカー。
この2つだけで充分構図ができてしまうような素晴らしい風景です。
下側にBRTを入れてみましたが、遠近感おかしいんじゃないかというぐらいの小ささで、それが逆に港の威容を引き立てているように思います(思い込みすぎかも)。
最後に盛行きのバスを待っているうちにどんどん影が伸びてきてしまい、でも煙突や工場の煙、そしてBRTが入る場所はまだ光が当たっていたので、やけくそで撮って思いっきり加工した1枚。
黄昏の工業地帯に、1台の赤いバスがやってきた。
降り立ったのは一人の旅人。煙草を咥えるその横顔を夕陽が照らす。
「ここが、かのオーフ・ナートか……」
旅人は誰にともなく呟いた。
……なんとなくそんな感じです。
わんこそばのキャラのラッピングがすべてを台無しにしている感はありますが。
自転車を返却したところで、ゆっくりする余裕もなく気仙沼行きのバスで帰路へ。
大船渡市内は6時間近くレンタサイクルで駆け回りましたが(といっても、撮影のためにバスを待っていた時間がだいぶ長いのですが)、思わぬ発見もあり、収穫の多い日でした。
今回ご紹介した場所の撮影地などは下記の記事で紹介しています。
大船渡線BRTのルート図は下記の記事をご覧ください。