千葉県の東の端を走る銚子電鉄は、三方を太平洋に囲まれた、雄大な眺望に恵まれた銚子半島を走る路線でありながら、鉄道自体は町なかの比較的平坦なところを進んでいくため、雄大な眺望と合わせての撮影はなかなか難しい面があります。
Googleの画像検索で「銚子電鉄」と入れていただくと、一面の畑、懐かしさの残る駅舎、本銚子駅付近の緑のトンネル、仲ノ町駅付近の醤油工場の合間、といったような、近景の写真が大半なのがおわかりいただけるかと思います。
本当に、雄大な風景に組み込むことは無理なのか。いくつかの地点で試してみました。
上の図が、撮影場所と、そこから列車が見えるポイントを示したものになります。
それぞれどんな感じで見えるかを挙げていきたいと思います。
1.満願寺南の高台
犬吠駅から西に歩いて5分ほど、地球の丸く見える丘展望館へ向かう道の途中にある高台です。銚子電鉄の車両の他、犬吠駅、犬吠埼灯台、そして太平洋をバックに撮ることができる定番のスポットです。
犬吠駅に入線する場面で撮ってみたもの。
沖合の船がもっと左だといいのですがこればかりはどうしようもありません。
この場所で大変なのは、電柱や電線、植え込みなど、電車を遮るものが多く、それを避ける構図が要求されるということです。
駅を出たところの広いスペースで撮ってみましたが、灯台と列車が左右に離れすぎてしまいました。
さっきの列車が外川から戻ってきたところ。犬吠駅の手前で撮影。
右に交通案内標識があり、それを避けようとしたら重心が左に寄ってしまった上に、いろんなものが被りまくって……。
これは別の日に、もう少し外川寄りで灯台にこだわらずに撮ったもの。ちょっとすっきり爽やかな感じ。
ただ、手前の木の枝が被ってしまったのが痛いところ。踏切を渡る部分をアップで捉えるぐらいの構図の方がいいのかもしれません。
簡単に見えて、実は案外難しい場所という印象でした。
2.犬吠埼灯台から
銚子電鉄の列車に乗っていると、わずかに犬吠埼灯台が見える区間が海鹿島~君ヶ浜間にあります。
列車から灯台が見えるということは、灯台から列車が見えるはずということでもあります。
ちなみに、灯台の展望台はこんな感じです。
ちょうど写真を撮ろうとしている方がいますが、幅は人が辛うじてすれ違えるぐらい。観光施設なので営業時間が決まっており、観光客も随時やってくるので、三脚を立ててガッツリ撮るというのは難しそうです。
ちなみに入場料は大人200円(子供は無料)になります。
これは列車を左下に置いてみたもの。
まず、列車を入れられるスペースは非常に限られます。これより左になると下側が防風林に隠れてしまいます。2両編成を全部入れることはできないので、どのように切るかということもポイントになりそうです。銚子行きとして撮るか、外川行きとして撮るかにもよるかもしれません。
右上に風車を入れようとしてみましたが、こうしてみると散漫な印象もあるので、もっとカットして、煙突や空も切って、画面の大半を町で覆いつくすというのも一つの案なのかもしれません。
がさっとトリミングするとこんな感じです。
列車を左上に置いて、海を入れてみた例がこちら。
海をどの程度入れるか、空や町をどの程度切るか、といろいろと試し甲斐がありそうです。
海岸の公園が間に来るので、無人では寂しいかも……。何かをしている人がいて、その背景として列車が走っている…とかだといい感じになりそうですね。
3.地球の丸く見える丘展望館から
銚子半島の最高点にある展望台。入場料は大人380円ですが、銚子電鉄の一日乗車券「弧廻手形」を持っていると、30円引きの特典があります。
どこで列車が見えるのかよくわからないまま訪れてみましたが、3か所見つけることができました。
西海鹿島~海鹿島間
銚子ポートタワーの右下にちらっと列車が覗きます。
これはかなり遠い距離なので、肉眼で見てチャンスを捉えるのも大変です。
あまり付近に目印になるものがないので断定しきれないのですが、おそらく、西海鹿島駅を東に出てすぐのところだと思います。
銚子行きの列車は、後で紹介する南側の撮影ポイントで捉えていればある程度構えることができますが、外川行きの列車は左の家並みから急に飛び出してくるので、定刻で動いていることを願って時刻表と時計を見比べながら、じっとタイミングを待つしかありません。
上の写真だと上下が冗長すぎる感じがあるので、16:9にトリミングしてみたのがこちら。
やっぱりポートタワーと列車が離れすぎな感じ……。
これも、ポートタワーは捨てて、列車と家並みと背後の海、という感じで撮る方がいいのかもしれません。
ここは、ポートタワーを手掛かりに列車が見える場所を把握するだけで精いっぱいだったのですが、機会があれば別の構図を考えてみたいです。
君ヶ浜~犬吠間
周囲が畑で、列車が一番ゆったりと見える場所。
といっても電柱が立ち並んでいるので、うまい入れ方を考えないといけないのですが。
君ヶ浜駅から犬吠駅に向かって直後の場所です。君ヶ浜駅には白い柱が3本立っていて、遠くからでも見えるのでそれが目印になります。
上の写真は、広角で海岸に打ち寄せる波も入れてみたもの。列車が色的に周囲に溶け込んでしまっているのですが、他の青系の色の編成ならもうちょっと存在感が出ると思います。
これはもう少し拡大してみたもの。列車の存在感はばっちりですが、海側、右上に何かが欲しいような……
ちょうど船が通っていれば、それだけでも絵になりそうな雰囲気はあります。
犬吠~外川間
これも列車が覗くスペースは限られていて結構シビアです。ただ、距離が近いので難易度は低いかも。
右上に長崎鼻一ノ島照射灯を入れてみましたが、思ったほど目立たないのであまり期待しないほうがよさそうです。
倍率を高くしてみました。すぐ左側は家で隠れてしまうのと、何気に先頭部の隣にある電柱が気になります。
奥に見えるのは中学校のグラウンド。ここで活動している人が見えるといいなあ、と思いますが。
比較的バランスがいいと思うのがこの写真。
白波を強調する感じで上を切ってみるとこんな感じ。銚子らしい荒々しい一面が出ているような気がします。
とりあえず、こんな感じで「どこから列車が見えるか」はだいたい把握できたので、今後機会があれば、構図や時間帯なども考えながら挑戦してみたいなと思っています。