鉄道に関心のある方には今更紹介するまでもないと思いますが、JR全線の普通列車等が定額乗り放題になる「青春18きっぷ」の夏の利用期間(7/20~9/10)となっています。
青春18きっぷの時期、特に夏になると、利用方法のガイド、青春18きっぷで乗れる観光列車や乗り得列車、限界への挑戦など、いろんな記事が出てくるのですが、そういったものからは離れて、これまでの経験や、今後乗ってみたいルートなども含めて、4つほど日帰り案を考えてみました。
青春18きっぷ自体は5日分が1枚になっており、分割はできないのですが、4日分使って1日だけ残ってるとか、金券ショップで1日残っている分が売られているというようなこともありますので、そうした使い方を想定しています。
なお、各ルート案の最後に「乗り通した場合の運賃」を参考に表示しました。そのあとの+〇〇円、というのは、青春18きっぷの1日当たりの料金(2,370円)との差額で、それだけ得になる、という意味で表示しています。実際には、途中で下車した場合などに運賃が変わる可能性もあるので、あくまで参考としてご覧ください。
東京発 東海道線・御殿場線周回ルート
乗り通した場合の運賃:4,750円(+2,380円)
よく、「東京と熱海を往復するだけでも元が取れる」という話がありますが、少しひねって片道を御殿場線経由にするのもよいかと思います。
もともと、東京から箱根を越えて西に向かうルートは今の御殿場線でした。その後に今の熱海ルートが建設されて、そちらに本線が移ったという歴史があります。そういった予備知識があると対比も楽しくなるかと思います。
東海道線が海沿いを走り、御殿場線は富士の裾野を走るので、それぞれ違った景観が楽しめます。
列車本数が多く、それほど時間もかからないのでルート例などは紹介しませんが、湯河原・小田原・熱海・沼津・御殿場等で立ち寄り観光をすると一日満喫できるのではないかと思います。
お得感は減りますが、御殿場線からは小田急直通の特急「ふじさん」を利用するのも〇。
大阪発 明石海峡と瀬戸内の風景
大阪-(JR神戸線)-播州赤穂-(赤穂線)-岡山
岡山-(山陽本線)-相生-(JR神戸線)-大阪<参考スケジュール>
大阪 8:00-(JR神戸線 新快速)-9:42 播州赤穂
播州赤穂 10:01-(赤穂線)-11:33 岡山
岡山 12:13-(山陽本線)-13:18 相生
相生 13:21-(JR神戸線)-13:40 姫路
姫路 13:42-(新快速)-14:43 大阪乗り通した場合の運賃:6,040円(+3,670円)
大阪から西へ向かうルート。いつも通過するばかりなので、一度ちゃんと見ておきたいという個人的な願望でもあります。なお、上記のダイヤは2019年7月時点のダイヤになります。
途中、阪急や山陽電鉄と併走したり、須磨・明石付近では海岸沿いを走ったりするのが見どころ。
トワイライトエクスプレス瑞風のビューポイントとして、明石海峡大橋と、山陽本線(相生~岡山間)の和気付近の風景が挙げられています。
また、姫路城や、忠臣蔵でおなじみ赤穂の城下町、岡山市街などの見どころもあります。上記の参考スケジュール通り、普通に乗り通すと昼過ぎには大阪に戻ってくるので、何か所か立ち寄る時間はありそうです。
こういったスケジュールを考える時は、まず最短の移動時間を調べておいて、途中の観光に使える時間が何時間あるか、ということを踏まえて考えるとよいかと思います。
知り合いには、赤穂線の日生駅に牡蠣入りのお好み焼きを食べに行った人もいましたが、考えてみれば夏は牡蠣のシーズンではないですね。でも、漁港沿いなので海鮮料理を楽しみに行くのもいいかと思います。
もし岡山まで行くのが面倒なら、途中のどこかで折り返すのもありだと思います。
仙台発 震災後の輸送ルート(仙石東北ライン・気仙沼線BRT)を体験
仙台-(仙石東北ライン)-石巻
石巻-(石巻線)-前谷地-(気仙沼線)-気仙沼
気仙沼-(大船渡線)-一ノ関-(東北本線)-仙台<参考スケジュール>
仙台 7:24-(仙石東北ライン)-8:19 石巻
石巻 8:23-(石巻線)-8:42 前谷地
前谷地 9:02-(気仙沼線)-9:25 柳津
柳津 9:33-(気仙沼線BRT)-11:24 気仙沼気仙沼 12:22-(大船渡線)-13:41 一ノ関
一ノ関 13:53-(東北本線)-14:40 小牛田
小牛田 14:53-15:40 仙台
<途中で立ち寄り観光を追加する場合のスケジュール候補>
気仙沼 16:15-(大船渡線)-17:38 一ノ関
一ノ関 17:55-(東北本線)-19:33 仙台乗り通した場合の運賃:5,570円(+3,200円)
青春18きっぷでは気仙沼線BRT・大船渡線BRTにも乗れます。そんなわけで、震災後に生まれた仙石東北ラインと気仙沼線BRTに乗車するルートです。
仙石東北ラインの列車はハイブリッド気動車で、車内の装置には動力をどのように賄っているかがリアルタイムで表示されるパネルがあります。
また、気仙沼線BRTは、鉄道ルートを転用した専用道が整備された区間が多く、鉄道らしいルートでバスに乗るという少し不思議な体験や、専用道と一般道を移動するというようなBRTならではの経験ができます。
途中、大船渡線の列車本数が少なめなので、気仙沼などで立ち寄り観光を追加する場合のスケジュール候補も挙げておきます(もっと遅い便もありますが)。一ノ関~仙台間は新幹線にする手も。
上野発 全線復旧前の常磐線、651系普通列車に乗る
<参考>
上野 6:04-(常磐線)-8:00 水戸 8:18-9:50 いわき
いわき 10:27-11:09 富岡 ※651系で運転されると思われます
富岡 11:40-(常磐線代行バス)-12:10 浪江
浪江 12:20-(常磐線)-12:40 原ノ町
原ノ町 12:54-14:18 仙台仙台 15:02-(東北本線)-16:23 福島
福島 16:28-18:10 新白河
新白河 18:14-18:38 黒磯
黒磯 18:57-19:50 宇都宮
宇都宮 19:59-21:44 上野乗り通した場合の運賃:12,200円(+9,830円)
富岡~浪江間が不通となっている常磐線の全線復旧は今年度末の予定であり、現在の状態で運行される期間も短くなってきました。ルート上、いわき-富岡間には651系で運転される普通列車が走っていますが、全線復旧後、651系はどうなるのかというのも気になります。
思いついたはいいものの、上のスケジュールを見てもわかる通り、ひたすら乗り通して1日がかりという、かなり上級者向けコースになってしまいました。
運賃は十分に稼げているので、仙台あたりで1泊するか、適度に特急や新幹線を利用するなど、うまくゆとりを持たせる方がよいかと思います。
こういうのは、「ルートを考える時が一番楽しい」(いや、行動するのがもっと楽しいのは当然なのですが)というのもあり、時刻表を見ているといろんな案が浮かんでは消えていきます。
極限に挑戦したり、乗り得列車や観光列車に乗るだけが青春18きっぷの使い方ではないでしょうが、どうしても列車に乗る時間が長くなるので、単なる移動ではなく乗車自体に意味を持たせられるようなルートにできると、青春18きっぷを有意義に使えるのではないかと思います。