君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

2017年夏の女川 初めて降り立った津波の被災地

※本記事は2017年7月の記録になります。

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東日本大震災で被災後、再建されたJR女川駅

東京から常磐線、仙石東北ライン、石巻線を乗り継いでやってきた女川駅

震災から6年4か月後、津波で被災した地域に降り立った初めての場所でした。

福島第一原発事故による帰還困難区域を含む、女川までの道中については下記の記事をご覧ください。

a-train.hateblo.jp

女川について遠く離れた関西の地で伝えられたのは、事故を起こさずに停止した女川原発で多くの人が難を逃れたというニュースでしたが、それは山一つ隔てた高所に建つ原発の話。

現地でいろいろな情報を見ると、海沿いの町にはやはり筆舌に尽くしがたい甚大な被害があったことを知ることができます。

女川駅も大津波で流された後、嵩上げののちに再建されたのでした。

駅周辺を見ても、山を切り崩して高台を造成している現場があちこちにありました。

女川駅前から海岸へ

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女川駅のホームの隣にある駐車場と、その奥にある色とりどりの簡素な建物。

これを見た時、仮設住宅だと思っていたのです。「他に用地がないのか、こんなところに晒されて暮らさないといけないなんて、まだまだ大変だなあ……」という感想でした。

ところがそれは大ハズレ。

この訪問の翌日に移転工事が完了し、1週間後に営業を開始したトレーラーハウス宿泊村「ホテル・エルファロ」の、移転開業直前の姿なのでした。

hotel-elfaro.com

震災直後から、宿泊施設の再建のために駅の北側のエリアで営業を開始し、当該エリアの嵩上げ工事などもあって駅前に移転したそうです。

ただ、本来であればきっちりとしたホテルを建てたいところだったのではないかと思うのです。それが叶わなかったという点では、「仮設」という直感だけは、間違っていなかったような気がしないでもありません。

駅前からは海へと続くなだらかな下り坂となっていました。

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嵩上げされた土地をどのように活用するかは腕の見せ所。港町に暮らし、海と交わり生きてきた人たちにとって、海とのかかわりを完全に絶って生きる、という道はないのだろうと思います。

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駅前にあるのは「シーパルピア女川」という、プロムナードと左右の店舗で構成された商業施設。この海側には、海産物を中心に扱う「地元市場ハマテラス」があり、それを過ぎると海岸に出るという構成でした。

そのハマテラスで、遅くなった昼食として海鮮丼をいただいた後、海側へ向かってみます。

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まさに復興工事の最中でした。

後で調べてみると、この海岸一帯はメモリアルパークとして整備される予定とのことでした。

そのメモリアルパークの重要な施設となるのが、津波の引き波の力で根元からなぎ倒され、駅前から海岸まで運ばれた女川交番の遺構。

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この訪問時点ではまだ、保存するかどうかも最終決定にはなってなかったのですが、半年後に、保存して震災遺構として活用することが決まったそうです。

 

他にもいくつか店舗を訪ねたりして、わずか1時間半ほどの滞在でしたが、初めて見た津波の被災地のありようとして、深く印象に残った時間でした。

あれから2年、今はどのようになっているでしょうか。

今度、もう少し時間を取って再訪してみたい場所です。

帰り道の風景

女川からは石巻線陸羽東線で古川へ出て、新幹線で一気に東京へ戻りました。

石巻駅で20分以上停車時間があったので、途中下車して外に出てみます。

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石巻駅の駅舎。宮城県出身の漫画家石ノ森章太郎の「石ノ森萬画館」が石巻市にあることにちなみ、キャラクター像があちこちに置かれています。

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駅に停車していた、仙石線を走るマンガッタンライナー

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駅前にある石巻市役所。ショッピングセンターに入居しているように見えますがそうではなく、閉鎖したショッピングセンターを再利用しているもの。1階には通路の両側にいくつか店舗がありましたが、何しろ休日で市役所自体が稼働していないので閑散としていました。

石巻の先、前谷地にて気仙沼線に乗り換えができます。この時には、後ろ髪をひかれつつも再訪することを誓って見送ったのですが、今年になって乗車することができました。それは下記の記事をご覧ください。

a-train.hateblo.jp

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前谷地駅を出発する、小牛田行きの石巻線列車(2019年5月撮影)

上の写真は、気仙沼線で前谷地まで来た時のものになります。

 

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小牛田駅にて、東北本線の上り列車岩沼行きと、乗ってきた石巻線の列車。

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乗り継いで古川に向かった陸羽東線のキハ110系。汎用型とは少し塗装が違っていました。