このフレーズって、父親が大好きでよく聴いていた(したがってよく聴かされていた)フォーク・クルセイダーズの「帰って来たヨッパライ」が由来なのだと思っていました。が、その曲の「天国よいとこ 一度はおいで」自体が草津節のパロディだったのですね。
以前、草津とは縁があったのです。といっても、群馬県の草津町ではなく、滋賀県の草津市でした。
その話をする時に、つい何気なく「草津」と言ってしまうのですが、東京では一瞬話が伝わらないことがあり、「群馬の草津ではなく滋賀の草津」ということを説明してようやく理解してもらえる、ということがたまにあります。
さて、下記の記事の続きになります。
東京から上越新幹線で高崎に出て、吾妻線で大前まで行って長野原草津口へ戻り(ここまでが前の記事)、そして草津温泉へ向かいます。
大前からの電車は11:17着。上野からの特急「草津31号」は11:22着。
そして、長野原草津口から草津温泉へ向かうバスは、11:31に急行(直行便)と普通(途中のバス停に停車)が出ることになっています。
この日は多客を想定してか、急行便に2号車が用意されているようでした。
先にバスに乗り込んでのんびりしていると、特急が到着し、大勢の行楽客が排出されてきました。
乗り込んだ1号車は、全席が埋まって出発。ぐんぐんと高度を上げ、長野原町から草津町に入っていきます。それとともに、紅葉も次第に鮮やかさを増してきた感じでした。
草津温泉バスターミナル
やがて草津温泉バスターミナルに到着。突き当たり型のターミナルは現実的にはそれほど数が多いわけではないですが、「A列車で行こう9」ではこれしかなく、嫌と言うほど見慣れた形状です。
到着した12時直前の時点で、折り返しのバスを待つ長い行列ができていました。
バスターミナルの外観。
2階に路線バス・高速バスが入り、1階の入り口には各旅館・ホテルの送迎バスが待ち構えるという使い分けをしているようです。
2階には、確かおなじみのロゴマークは出ていなかったと思いますが、みどりの窓口の役割をする窓口があります。「JR時刻表」の索引地図でも、草津温泉は鉄道駅ではないにもかかわらず、緑のマーク(みどりの窓口のある駅)となっています。
運賃表には、長野原草津口乗り換えのバス運賃+鉄道運賃を合計した、主に東京方面の運賃が掲示されていました。
帰りをどうしようかというのは決めかねていたのですが、「充電用のUSBポート付き」というのに惹かれて、新宿行きの高速バス「ゆめぐり号」にすることにし、乗車券を購入しておきました。
バスターミナルの目の前にある、ご当地ローソン。
この左側の店で昼食をいただきました。
六合(くに)産舞茸を使った舞茸天丼ということで、大ぶりにカットされた舞茸の天ぷらがドンドンドン、と乗っていた天丼でした。
キノコ類なので基本的に満腹感はないですが、どうせこの先いろんな店でつまみ食いするに決まっているので、これでいいのです。
ちなみに「六合(くに)」というのは、今は中之条町に編入された旧六合村で、草津の隣村だったそうです。
草津は温泉で有名ですが、地場の特産品があるわけではありません。なので、地域色を出そうにも、「群馬名物ひもかわうどん」とか、「信州そば」とか、「下仁田ネギ使用」とか、どうしても近隣エリアの特産品を借りることになり、草津独自の何か、というのはなかなか難しいようです。
その中では珍しく、ご当地色の強い食材と言えるのではないかと思います。
さて、食事も終わっていよいよ温泉街へ向かいます。
湯畑から西の河原公園、そして露天風呂へ
バスターミナルから徒歩数分で、草津温泉の中心となる「湯畑」へ。
近づくと硫黄の臭いが立ち込めてきて、一瞬たじろぐものがあります。
が、とりあえず入ってみないことには始まりません。
写真の奥に並んでいる籠は、湯の花を採取するためのもののようです。
この湯畑を中心に、ベンチや足湯などの観光客が逗留できる設備、周囲を取り囲んで飲食店や旅館等が並んでおり、また、視点を変えれば四方に延びる道路に対するラウンドアバウト型の交差点としても機能しているようです。
勢いよく湯畑からお湯が流れ落ちる湯の滝。
湯畑を取り囲む一角にあったのがご当地セブンイレブン。
さて、事前に調べていて一番見てみたくなった、西(さい)の河原公園の方へ向かいます。
風情ある温泉街の佇まい。
紅葉の最盛期にはまだ達していないようでしたが、道中には鮮やかに色づいた木々も見られました。
そして西の河原公園へ。
川が流れていますが、これは水ではなく温泉です。さわってみるとぬるめのお湯程度の温度。
足湯的な湯だまりもあり、たくさんの人がこの河原で思い思いの時を過ごしているようでした。
念を押しておくと、ここは西(さい)の河原であって、賽の河原ではありません。
ですが、誰かが冗談半分に始めたことが、他の観光客が面白がって真似をして、こんなことになった……のかもしれません。
ただ、昔は「鬼の泉水」と呼ばれていたそうで、もしかしたら「西の河原」というネーミングも、何かしら「賽の河原」(石を積んでいると鬼が壊しに来る)とひっかけたのかもしれませんね。
河原を上っていき、ビジターセンターを過ぎると露天風呂があります。
せっかくなのでこちらで草津の湯を味わってきました。
草津の湯は熱い、というイメージがあったのですが、湯元から離れていれば全然そんなことはなく、普通に入れます。
湯畑からはそれなりに距離があるので、暑い夏や寒い冬には少し訪ねづらいかもしれません。春や秋のように気候がいいと至福のひとときになるのではないでしょうか。
湯畑に戻って
露天風呂を出て、来た道を戻ります。
次の予定の湯もみショーまではだいぶ時間があるので、沿道にある店をじっくり見ながら戻っていきます。
草津には地場の特産品がない、ということを書きましたが、それだけにそれぞれの店がオリジナリティを出そうといろんな工夫を凝らしていて、特定の産品に頼らない多様性を生み出しているという点では、それも悪くない、という感じがしました。
湯畑に戻ると、もう14時を回っているというのに、蕎麦屋などの飲食店には、最初の時(12時台)には見られなかった行列が多数できていました。
ここで、ベンチに腰かけて、こし餡と栗餡をセットにして詰めた餅と、近隣の牧場で生産しているという濃厚なヨーグルトドリンクをいただきながら、温泉街の旅客流動について考えてみました。
上野→長野原草津口の特急草津は、以下のようなダイヤになっています。
- 草津31号(土・休日運転) 上野 9:00→長野原草津口 11:22
- 草津1号(毎日運転) 上野 10:00→長野原草津口 12:18
- 草津○号(臨時運転) (始発駅は列車によって異なる)→長野原草津口 13:43
- 草津3号(毎日運転) 上野 12:12→長野原草津口 14:34
もっと早く着く列車がないのが、以前から気になっていました。
逆方向も、長野原草津口発が12:04~15:43と、朝や夕方ではなく昼過ぎの時間に集中しています。草津温泉からのバスも考慮すれば、11:00~15:00頃に集中しているといってもいい感じです。
考えてみれば、草津温泉を訪れる人の大半は、宿泊前提で来るわけです。
そして宿泊するということは、だいたいの場合、午後~夕方にチェックインして、出発日の午前にチェックアウトすることになります。
そのまま帰る人は昼前ぐらいには草津を出るだろうし、ついでにどっか見ていこうという人は午後になるかもしれない。
そういう人のためのダイヤを組むとしたら、昼過ぎ頃に到着して、昼頃出るダイヤになるのはむしろ理にかなっているわけです。
そして、そういう動きをするからこそ、昼時ではなく、昼を過ぎてから多くの利用客が集まって来て、店に行列ができるのでしょう。
温泉街への輸送に特化したダイヤというのは今まであまり考えたことがなかったのですが、特急草津の場合、高崎までは新幹線があるため、中之条も含めてほぼ温泉目的に特化した運行形態になっているということを、今回、現地で人の流れを目の当たりにして認識できたような気がしました。
この後は湯もみショーを見て帰るのですが、もう3,300字を超えているということで記事を分けることにします。続きは下記の記事で。