君と、A列車で行こう。

鉄道とシミュレーションゲーム「A列車で行こう9」を中心に綴るブログ。当面、東北地方太平洋沿岸の訪問をメインにしています。

動画のBGMについて 後編:映像とBGMのシンクロ

http://www.nicovideo.jp/watch/sm6856834

  1. 動画構成 7/10
  2. 動画技術 4/10
  3. A列車的面白さ 8/10
  4. 演出面の面白さ 9/10
  5. 好み度 9/10

これまで見た「A列車で行こう」動画の中で、いわゆる「前面展望」にもっとも心を揺さぶられた作品。
数ある映像上の演出の1つとして、走行シーンの再生速度を調節することで、速度を変化させているように見せる、という手法が使われています。
これの表の意味は、実際の列車のような速度変化を表現し、リアル感を演出することにあるわけですが、よくよく考えてみると、裏の意味として「BGMとのシンクロを容易にする」という意味があったのではないかと見ています。この動画の随所に、映像とBGMが組み合わさって大きな効果をあげている部分が見られます。
その多くは作者が意図したものとみていますが、ひょっとしたら、偶然生まれたようなものもあるかもしれません。いずれにせよ、その「映像とBGMのシンクロ」が、この動画をとても印象深くする要素の1つといえます。


以下、映像とBGMの相乗効果どのように生まれているのか、冒頭から順に見て行きます。
効果的な演出を考える上で、参考になる部分が多々あるのではないかと思います。

  • 0:07〜0:08 映像とBGMのタイミングあわせ

「特急プリマ」「特急ωタテヤマ」「Sixth Senseロゴ」の3枚の画像が、BGMのアクセントにあわせてパッパッパッと切り替えられ、てきぱきとしたイントロになっています。これは、そのまま次のスピード感ある導入へとつながっていきます。

  • 0:10〜0:18 スピード感のある導入

特急プリマのマップ外からの走行シーンに、「ライオン」のきびきびとしたイントロを組み合わせることで、スピード感のある導入を演出しています。だらだらと前説をつけないのもスピード感を出すポイントと言えます。

  • 1:08 ハイライトの一致による盛り上げ

列車が豊穣駅を通過し、トップスピードで長い坂を駆け下りていくハイライトシーンにあわせ、BGMもサビの部分に突入していきます。BGMのサビ前のリバースシンバルが、特筆すべき盛り上げ効果を生み出しています。

  • 3:24 収束の一致・その1

列車がマップ外へ出て行く収束と、BGMの収束する部分とが一致し、このシーンの終わりを印象付けています。シーンの終わりとBGMの終わり(もしくは節目)を一致させるのは、映像とBGMのあわせ方としては基本的な手法です。


で、CMの部分はさくっと飛ばして……

  • 4:36 「静」から「動」への切り替え

静かなBGMとともに桜見環状線を走ってきた特急ですが、「GO!」の声とともに、連絡線を通って冬木本線に入っていきます。「静」から「動」へと切り替わり、本格的な旅の始まりを演出しています。

  • 5:53 シーンの切り替わり

BGMがいったん落ち着くとともに、冬木登山線の最初の坂に差し掛かっていきます。都心の路線から、山岳路線へという雰囲気の変化を感じさせます。

  • 7:09〜7:11 ほんの一瞬の開放感

トンネルの中をぐるぐると進んできた列車が、ごく短い区間だけトンネルを抜けたところに、BGMの「ボーカル以外が一瞬抜ける部分」を一致させ、「ほんの一瞬の開放感」を強く印象付けています。

  • 7:37〜7:49 盛り上がりが去り、ふと気づいてみると

トンネルを抜けて月島町駅を通過すると同時に、激しいBGMがふっと消え、穏やかな雰囲気に。気がつくと周囲を荒涼とした山々に囲まれた、寂しさの漂う山上の盆地地帯。都心から離れたところにやってきたことを否が応にも感じさせられる、この走行シーンでもっとも印象的な場面です。

  • 8:52〜9:06 収束の一致・その2

曲が終わり、次第に音が消えていくとともに、列車はとりあえずの目的地に到着します。ここでも、シーンの終わりとBGMの終わりが一致しています(若干映像側が長いような気はしますが)。